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心は燃えても肉体は弱い 「新約聖書」マタイの福音書 26章41節
―これを生み出したのは、俺なのか?
《業火》は、ぽつりとつぶやく。
目の前では、自身の異能力が発動していた。《業火》は、異能を最大火力で使うとどうなるかは知らなかった。今までは。
《業火》がまず感じたもの、それは強烈な閃光だった。世界から色が消え、全てが白く染めあげられる。何もかもの輪郭が溶ける。人々の影が伸び、真っ黒な蛇のようにのびていく。
熱が塊となって《業火》に激突―うめき声を上げる間もなく、両足は地面から離れ、体は宙で舞まっていた。
遠くから音が聴こえる。少女が悲鳴をあげるような、甲高い音。世界そのものが炸裂したかのような音。
《業火》は意識を取りもどし、まわりを見る。緑、青、黄色、赤、そして、全てをぬりつぶすような明るい白―炎が色を変え、あたりで踊っている。
強烈な熱波で、《業火》は、あわてて鎧を脱ぐ。湯気が立ちのぼるのが見えるかのようだった。爆心地の近くにいた者は、重度の火傷を負っているかもしれない―冷たい直感が背筋を走る。
あたり一体は火の海となり、黒々とした煙が空を汚していく。ふわふわと灰が落ちてきた。白い炎が建物の上でうねるように踊っている。まるで太陽が落ちてきたかのようだった。
《業火》は瓦礫をどける。腕の一部が水膨れを起こしていた。その指は震え、言葉が出なかった。胸の鼓動が速まり、呼吸が速まる。
―これを生み出したのは、本当に俺なのか?
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