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ガクとサイゴウは、足を擦るように、ゆっくりと後退していく。髪の毛の射程からは離れたか離れていないか、微妙なラインだ。
ゴゴ……と建物が揺れる。おそらく、シャッフルが開始される。
サイゴウは、持っているクロスボウに矢を付け、限界まで引き絞る。矢の羽根には工作がなされており、あっちへこっちへ高速で飛び回るようになっている。
サイゴウが、こちらを見る。
ゴゴ……ゴゴ……と建物が激しく揺れ始める。
「行くぞ! ガク君」
サイゴウの声と共に、ガクは部屋を走り始める。サイゴウは、矢を放つ。虫のように、矢は部屋のなかを暴れまわる。
真っ黒い濁流が、2人に向けて、放たれる。矢は、一瞬で絡めとられる。
サイゴウは、クロスボウを放ち、素早く次弾を放つ。
2人は、部屋の端にたどり着く。だが、襖が閉じていくのが見えた。
―まずい
ガクは、必死に手を伸ばす。だが、届かない。ガクは、瞬時に思考。
これが《心髄共鳴》なら、ここで倒されてしまっても、死ぬわけじゃない。本当に恐れるべきなのは、敵の目的が完全に果たされることだ。
サイゴウなら、敵を探す能力がある。この状況を抜け出せる可能性が高い。
―やるしかない
ガクは、サイゴウの手をつかみ、自分の身体を軸にし、思い切り、扉の方へ投げる。
「ガク君!」
サイゴウが、扉の向こうへ行き、ガクは反対に髪の毛の化け物の所に倒れこんでしまう。
ガクの身体に、黒い塊がまとわりついてくる。ぬる、とした嫌な感触。
サイゴウが手を伸ばそうとするが、襖は閉まっていく。
「首謀者を倒してください!」
ガクは、笑顔で言う。その瞬間、黒い何かで、視界が閉じていく。
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