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60話
森のなかに、ぽつりと塔が打ち捨てられている。それは、もともとは、穀倉に使われていたもので、今は廃墟と鳴っていた。
そこにひとりの男がいた。男は、《異能殺し》のリーダだ。仮面を付けられ、外見は《迅刀》に酷似している。
薬の影響だろうか、リーダーは身動きを取れず、舌も回らない。
「おれを……だましたのか」
リーダーを見下ろしている一人の男がいた。彼は北部同盟の騎士の一人で、《異能殺し》のスパイだった。
「もうすぐ、血雪が来る。そこで君は殺される。復讐心による、異能の暴走。これが我々のシナリオだよ。ソーニャを暗殺できなかったのは仕方なかったが、まだ次の矢はある」
男の脳内でシナリオが動く。
中央区には、もう一人スパイがいる。彼の手引きで、チユキはここに来る。そして、目の前の男を《迅刀》と間違えて殺す。復讐心を込め、首をはねるのだ。
チユキを追い、騎士団は交戦になる。そして、時を同じくして、戦力を削いだ状態の北部地域で《迅刀》が暴れ、分断を加速させる。
―ふたたび戦争が始まる
男は、影に隠れる。何者かが、ドアを開ける。
少し遅かったが、血雪だろう―男はほほえむ。
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