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58話

【1】


 報復まで2日―


 深夜。エッカルトは、武器庫に忍び込み、矢と剣を盗み出す。


 《異能殺し》への報復、それがどのくらいの勢力なのか分からない。だが、武器の量から考えると、20人以上はいると見て間違いないだろう。


 《異能殺し》が新たな破壊計画をたてているという噂が独り歩きし、報復派は殺気だっている。


 ―だが、噂ではなく、本当に《異能殺し》が襲撃や破壊を行おうとしていたら?


 エッカルトは、森に武器を隠しながら、手の震えを押えようとする。


 導火線に火は着いてしまった。


 《異能殺し》が動くのが速いか、それとも報復派による武力行使が先か。


 どちらにせよ、地獄が始まる。


 ―誰か、何とかしてくれ


 エッカルトは、武器を置き、森を後にした。森は、不気味なほどに静まり返っていた。





【2】


 ガクは、ベッドで横になっていた。チユキが来たことに気づいたが、天井を見ていた。チユキと目を合わせるのが怖かった。


 ガクは出来るだけ無感情で、


「何が何でも、殺しに行くつもりでしょ」


 チユキは、ふっと笑う。


「するかもしれないし、しないかもしれない」


 ガクは無表情を装っていたが、心のなかでは、チユキとの思い出がよみがえる。


 絶対に止めてやる―


 ガクは、手に持った木の実を意識する。これは、果肉が強いフェロモンを放つ。これをチユキに付けられれば、犬や虫で追跡できる。


 ガクはそれを投げようとし、歯噛みする。


 チユキは、僕のことを信じたのに、僕はチユキを信じないのか―


「お願いだから……行かないで」


 ガクはベッドに横たわり、大きく息を吐いた。


「大丈夫だよ」


 チユキは、そう言い、部屋から出ていく。

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