表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

5話

「スキルを……再現?」


「ああ、お前のスキルで俺の身体を解析しろ。その後、俺のスキルを再現できるように、植物を構築するんだ」


「そんな……無茶だ」


「できる。お前なら、必ずできる。一日ある。お前の解析技術と、薬学知識があれば、俺のスキルを再現できる」


 ガクは歯噛みし、


「ですが……あなたのスキルは?」


「俺のスキルは《加速》だ。人を越える感覚で世界を見ることができ、動くことができる。お前なら、使いこなせる」


 フェルグスが言っているのは、こうだ。


 植物で人体の出力を再現できるのであれば、スキルの再現も可能である、と。で、それにガクの持つ《植物操作》による、知覚共有と操作を組み合わせ、植物で再現したスキルをガクが使用するのだ。


「やるしかない。良いな」


 ガクは、自分が感覚共有しているつた植物を、フェルグスの上に重ね、スキルを発動。その身体構造を細かく解析していく。


 植物は、ヒトよりも高い感知能力を持っている。それを利用し、フェルグスの身体構造を解析するのだ。同時に、その血液を採取し、植物を通じて、それが持つ分泌物質を解析する。


 スキルとは、その者が持つ体質から生まれる。つまり、肉体そのものや、血液や汗を解析することで、その発動原理を分析できる。しかし、それには高度な医学知識と、何よりも体液を分析できるセンサーのようなものが必要になる。それがガクのスキルなのだ。


 ガクは、額を伝う汗を拭き、解析を進める。植物との知覚共有は、言語と言うより、感覚に近い。痛いという言葉が聞こえる、と言うよりは、鈍痛が伝わってくるというような。


 フェルグスの身体の解析と、その身体で起きていることを植物で再現する、と言う二重の作業に、ガクは倒れそうになる。


「む……無理だ」


 気が付けば弱音を吐いていた。


「できるさ……お前なら、焦るな」


 フェルグスが青い顔で言う。その額の汗を拭う。今が峠だった。


「必ず救ってみせます」


 ガクは言い、再現を続ける。だが、上手く行かない。何か、大きな勘違いをしているという予感。


 何を見落としている―


 ガクは深呼吸をする。


 再現する、再現する、再現!


 はっ、と息を飲む。


 フェルグスの肉体を再現するのではなく、スキルを植物で再現するためには、どうするか考えろ。置換を行うんだ。


 《加速》する時は、世界がゆっくりと見える、とフェルグスは説明した。それを植物に引き起こす事象をリストアップする。捕食者によるストレス、日光を感じ取った時の渇望、高速な情報伝達―


 それらを疑似的に引き起こす薬を作り、植物に使用する。そして、知覚を共有―


 キィーン―と、ふと耳が遠くなる。


 世界が静かになる。フェルグスを見ようとすると、水中にいるかのように自分の動きが遅い。そして、目の前のフェルグスは、死んだように動かない。しかし、非常にゆっくりと、呼吸のたびに口が開き、胸が上下するのが見える。


 ぱん、と何かが弾けたような音がする。気が付くと、自分の荒い息が聞こえた。


「《加速》……したようだな」


 目を白黒させているガクを見て、フェルグスは微笑んだ。


 ガクは、さらなる配合を進めた。

 読んで頂きありがとうございます。感想、評価、レビュー、ブックマーク、お待ちしております! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ