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4話

 ガクはすぐに小屋に戻る。するとフェルグスが剣を握(にぎ)り、立とうとしていた。


「その傷では無理です!」


 ガクが押し戻せるほど、フェルグスの力は萎(な)えていた。


「クソ……敵が近づいて来ているというのに」


 フェルグスは横になり、苦しげに息を吐く。


「追っ手ですか」


「ああ……再び戦禍(せんか)を起こそうとしている連中だ」


 ガクもよく知っていた。かつて異能力(スキル)を濫用(らんよう)した者たち。彼らが敗戦後も、再び徒党を組み、大陸の覇権を取ろうとしている。


 彼らは、異能力(スキル)を生み出す源である《神体》を狙っているのだ。


 《神体》それは空から顕(あらわ)れた謎の存在。ヒトや生物を異常進化させ、異能力者にする「未解明存在(ブラックボックス)」。


 ーまだ《神体》がどこかにあるなんて、ほら話じゃないのか?


 眉をひそめるガクを無視し、フェルグスが、


「この森は複雑だ。奴らが来るまで後一日はかかる。お前は逃げろ」


 ガクは拳を握りしめた。


 ―僕は、またここでも逃げるのか?


『あんた、まだやれるのに―』


 3年前、言われた一言が蘇(よみがえ)る。


 ぼくはあの時、逃げた。自分の才能に絶望し、自分を貶(おとし)める声ばかりに耳を傾けた。お前なら、治療者として戦える、そう言ってくれた声を無視した。


 ―僕は、誰の声を聴くべきだったのか?


「この剣はやる。高く売れるだろう、治療費だ」


 フェルグスは持っていた剣を差し出す。先の尖(とが)った無骨(ぶこつ)な剣。


 ぼくは、またここで逃げるのか。いや―


「これは受け取れません……僕も戦います」


 ガクは、フェルグスを運ぶための準備を始める。


「無茶だ……」


「無茶じゃない!」


 ガクは木を組み合わせ、担架(たんか)を作る。


「ガク、俺を運ぶのは無理だ」


「でも……」


「お前の力では、俺は運べない。だが、出来ることがある」


「できること?」


「俺の異能力(スキル)を再現するんだ」

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