44話
ソーニャは、3階の倉庫に隠れていた。物音を聞き、逃げてきたのだ。ガクが部屋に残っているので、心配だった。
敵が近づく音が聴こえる。ソーニャは、装具を構える。
金属のこすれ合うカチャカチャ、と言う音が近づいてくる。そして、ドアの前で立ち止まる。
《戦律・震撼》
ソーニャは音波弾を放つ―猛禽類の声を思わせる高音がドアを貫く。通常であれば、頭痛や三半規管の異常で立ってはいられないはずだ。しかし、手ごたえがない。
がちゃ、と金属音が鳴る音がし、とっさにソーニャは装具の後ろに隠れる。
だだだっ、と何かが高速で叩かれる音がする。
ソーニャが装具から顔を出すと、壁に大量のナイフが突き刺さっていた。大量の柄が生えているかのような冗談のような光景。
ソーニャの肩、脇腹、耳、頬、手首―火を押し当てられたような鋭い痛み。生暖かい血が、床にこぼれていく。
かすっただけでこの威力か―ソーニャは大きく口を開ける。無意識の内に涙が零れていた。
(いたい……)
ドアから入ってきたのは、金属鎧を着た人間。再度、音波弾を撃ち込むが、びくともしない。
防音装備か― ソーニャは唇を噛み、後ずさる。
暗殺者が腕を振る。ナイフが壁から抜け、宙にふわりと浮かび上がる。そして、金属鎧の周囲に集まった。
鉄妖―
暗殺者は、剣を構え、こちらへと接近してくる。
このままでは、ズタ袋にされる―瞬時にソーニャの脳裏に、血塗れになった自分の姿が思い浮かぶ。
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