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八重咲の勇者たち ~最弱スキルで最強になれ~  作者: 賢河侑伊
第一部 4章 異能殺し 編
43/66

44話

  ソーニャは、3階の倉庫に隠れていた。物音を聞き、逃げてきたのだ。ガクが部屋に残っているので、心配だった。


 敵が近づく音が聴こえる。ソーニャは、装具オルガンを構える。


 金属のこすれ合うカチャカチャ、と言う音が近づいてくる。そして、ドアの前で立ち止まる。


《戦律・震撼》


 ソーニャは音波弾を放つ―猛禽類の声を思わせる高音がドアをつらぬく。通常であれば、頭痛や三半規管の異常で立ってはいられないはずだ。しかし、手ごたえがない。


 がちゃ、と金属音が鳴る音がし、とっさにソーニャは装具の後ろに隠れる。


 だだだっ、と何かが高速で叩かれる音がする。


 ソーニャが装具から顔を出すと、壁に大量のナイフが突き刺さっていた。大量の柄が生えているかのような冗談のような光景。


 ソーニャの肩、脇腹、耳、頬、手首―火を押し当てられたようなするどい痛み。生暖かい血が、床にこぼれていく。


 かすっただけでこの威力か―ソーニャは大きく口を開ける。無意識の内に涙がこぼれていた。


(いたい……)


 ドアから入ってきたのは、金属鎧を着た人間。再度、音波弾を撃ち込むが、びくともしない。


 防音装備か― ソーニャは唇を噛み、後ずさる。


 暗殺者が腕を振る。ナイフが壁から抜け、宙にふわりと浮かび上がる。そして、金属鎧の周囲に集まった。


 鉄妖アイアンスライム


 暗殺者は、剣を構え、こちらへと接近してくる。


 このままでは、ズタ袋にされる―瞬時にソーニャの脳裏に、血塗ちぬれになった自分の姿が思い浮かぶ。

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