37話
ガクとチユキは、召集を受けた。予告のない緊急のものだ。
急いで騎士団の事務所―領主の館―へ向かう。
館の一室に騎士たちが集まる。その中心に、杖をついた男。片足が悪いのか、引きづっていた。
「お集まりいただき、ありがとうございます。私は、北部同盟騎士団の諜報、防諜を務める特殊任務部の長です」
諜報、防諜―ガクは、それらの言葉に不穏な響きを感じる。
長と名乗る男は若く、どこか軽薄な空気を感じた。短髪に、細い眼、常に笑っているような表情。
「形式上、名前は明かせないので、情報管理官と名乗らせていただきます」
本題に入れ、とフェルグスがうながす。
「申し訳ありません」
情報管理官は、せき払いし、
「ここ数日、異能特区の建造も進み、異能への偏見が少なくなっているように感じます。ですが、それに呼応するように、異能を排除しようとするグループの動きも活発化し始めました」
ガクは拳を握る。なんで、邪魔するようなことをするんだ―
「その中で最も過激なのが《異能殺し》と呼ばれるグループです」
「《異能殺し》……」
「彼らは、ソーニャ・ダーンの命を狙っています。彼女の護衛を完璧にするとともに、残党討伐をさらに引き締める必要があります」
それぞれ、新しい警備時間が割り振られていく。大きな戦乱が起こる前触れのような静けさがあった。
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