29話
ソーニャたちは、2度目の討伐任務に向かった。1度目と違い、イレギュラーな事態が起きた。戻るはずの時間になっても、ソーニャたちが帰ってこなかったのだ。
ガクは待機所で、騎士たちと合流する。
「チユキ!」 相棒の名を呼ぶ。
「おうよ!」 チユキは、白鞘を持ち、走り寄ってくる。
騎士たちと、地図を広げ、ソーニャたちが向かった場所を確認する。そして、すぐにそこへ向け、走り出す。
「討伐対象は?」 チユキが馬を操りながら聞く。
「アイメルトの残党らしい。村を略奪の為に襲ったとか」
ガクは言いながら、脳裏に浮かんだ情報を整理する。
村に着くと、焦げくさい匂いがした。広場で、ソーニャがひざを抱えていた。周りには、騎士が火傷を負い、転がっている。
騎士たちは、ソーニャらに駆け寄る。
「重傷だが、まだ助かる」 ガクは、倒れている騎士の脈を確認する。
「炎の民かな? 」騎士を運びながら、チユキが言う。
炎の民、それは発火能力を持つ、一族。いかなる領主にも従わない勢力。
おかしい―炎の民は危害を与えられない限り、攻撃はしてこないはずだ。ガクは何か引っかかるものを感じながらも、馬車に負傷者を乗せていく。
全てを終え、ソーニャに近づく。ソーニャは無表情だった。だが、その眼からは大粒の涙。次世代の異能者と言われたソーニャ。だが、目の前に居るのは一人の少女だ。
「大丈夫ですよ……」
ガクは、優しく上着を掛けた。ソーニャはびくっとしたが、リラックスしたように身体の力を解いた。その後、騎士たちは何事もなく、中央区へとたどり着いた。
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