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第十二話 対策


ヤバいです。モチベがヤバいです。

 

 仕切り直して二度目の魔族の街。


 結局王都まで戻って多少の知識と物資持って来ることになったよ。

 やっぱり準備って大事だね。


 てな訳で来ました図書館。

 人間の街なら入館料とかいるんだが、ここじゃ持ち出さなければOKみたいな感じらしい。

 なので遠慮なく入らせてもらう。


『言語理解』で魔族の使っている言語も分かるから便利だな。

 …それっぽいのがあったぞ。『魔王を目指す者へ』。


 パラパラと捲ってみると、丁度いい情報を見つけた。

 どうやら、五年に一度武闘会のようなものが行われているらしい。

 そして最後に勝ち残った者のみが魔王に挑む権利を得、見事勝利すれば魔王となれる。

 だが魔王が勇者に倒されると、その時魔族の中で最も強い者が魔王となる。

 勇者に倒された際は、魔王紋は自動的に付与されるそうだ。

 俺たちの時は微妙なものだが、トドメを刺したのが(魔族)だったことで、現状継承権は俺にあるのだと思う。


 どうしてこれまでの魔王は魔王紋の詠唱を知っていたのかって?

 どうやらそれは魔王紋そのものに刻まれているらしく、過去に付与された魔王が「魔王紋が付与された時に頭に流れ込んできた」的なことをやたら仰々しく言ったようなことが書かれていた。


 …説明長すぎてややこしいな。箇条書きにしよう。


 ・魔族には五年に一度、魔王の座を掛けたイベントが催される

 ・魔王が倒される、又は死亡するとその時点で魔族最強に魔王の称号が移る(ただし魔王紋を付与する詠唱が必要)

 ・例外的に勇者に魔王が倒された場合、魔王紋は自動的に付与される(魔王紋継承の詠唱は勝手に分かるようになる)


 …くらいか?


 国のゴタゴタもあるし、時間にはある程度余裕がある。

 あの魔王(仮)は恐らく急遽据えられた魔族だろう。

 だが、周りから認められる実力はあるということだ。


 先代を倒した俺だが、その時の記憶は曖昧だし、実戦経験が足りないのも事実だ。

 あの魔族に勝てない訳では無いが、負けない可能性も少なくない。対策はしておくべきか。


「…よし。んじゃ行くか」


 読んでいた本を閉じ、俺は図書館を出る。

 そして魔王城まで行こうかと街を移動していると、ふと気になる情報が耳に入ってきた。


「魔王が…………かいが………なんだろう?」

「ああ。……だからよ、………」


 遠いからか上手く聞き取れない。

 どうも屋台の店主が何か知っているようで、買い物ついでに聞けるかもしれない。


 何気に魔族の取り扱う商品も気になる。


「こんばんは」

「よう吸血鬼の嬢ちゃん。気になるかい?」

「ええ、これなんです?」

「これはな、魔力溜りで育った植物の茎で、これを……」


 話を聞く限り、ただの嗜好品のようだ。

 タバコとかそういった類のものだが、害はない。

 ただほんの少し依存性はあるが、麻薬のように私生活に影響が出るようなことにはならないようだ。


 まぁ…魔力を多く含んだただの植物の茎だしな…

 茎に残っている魔力を取り込む際にリラックス効果を得られる程度だ。


 俺はそれを二、三本買い、王都で買ってきた金貨五十枚位の指輪を渡した。


「お、おい嬢ちゃん。いくらなんでもこりゃ多すぎるぜ」

「いえ、聞きたいこともあるので、その情報料の前払いです」

「そ、そうか。一体何が聞きたいんだ?」

「そうですね…魔王様について、など」


 店主は「魔王」の単語にピクリと反応する。


「…先代様が勇者に倒されたのは嬢ちゃんも知ってるよな?」

「…コクリ」

「だがな。もしかすると、先代様を倒したのは勇者じゃないかもしれねぇ」

「というと?」

「『同胞』が裏切ったかもしれん」

「なるほど…」


 …ハイ。私が裏切り者です。

 今あなたが話している私がその当事者です。


「…何故裏切りと?」

「嬢ちゃんも魔族なら聞いたことはあるだろ。魔王紋」

「えぇ、まぁ」

「そいつが一向に出る気配がねぇんだ。この街最強と謳われてる『ネリウス』様を据えちゃいるが、魔王紋は現れていない」

「では、先代の魔王様を倒したのは勇者ではないと?」

「そういうこった」


 なるほど、とりあえずあの仮魔王の名前はわかった。

 後は能力を調べに行かねば…


 店主にお礼を言い、その場を去ろうとすると、静かに呼び止められた。


「そうだ嬢ちゃん、代金の足しになるかわかんねぇがもうひとつオマケに教えてやる」

「なんでしょう?」

「今度の武闘会、さっきの魔王紋のこともあって開催が早められたんだ。開催は十日後。もし参加するんなら、準備は早めにしときな」

「ありがとうございます」


 そう言って、俺は移動する足を早めた。


 …これは、マズイな…


 ちょっとばかし、乱暴な手を使うしか無さそうだ。

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