第九話 初対面?
次回で書きたいところまで行けるかなぁ(((;°▽°))ハハハ
「え~っと…失礼、します?」
なんで疑問形なんだ親友よ。
普通に入って来ればいいのに。
まるで童貞だ。…いや童貞か。
ハイスペックすぎて声をかけることすら躊躇われてたような奴だ。
もちろん彼女なんていた事もない。
本人は彼女欲しいと嘆いていたがな。
そういえば、こっちに来てから会うのは初めてだったか。
「初めまして、勇者様。挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」
「あ、いえ、こちらこそ…」
「この度、勇者様に同行することになりました、アルミナと申します。よろしければ、お名前を伺っても?」
「つ、月海 悠です。こちらこそ、よろしくお願いします」
これは…やばい、楽しい。
この童貞ムーヴしてる悠を見るのがどうしようもなく楽しい。
「アルミナ、揶揄うのもその辺にしてやれ」
「…わかったよ。ごめんね、えーっと…ユウって呼んでいいかな?」
「う、うん」
「ありがと、ユウ。これからよろしくね」
そう言って、手を差し出す。
悠もおずおずと言った様子で握り返してきた。
内心、やばい、女の子の手握っちゃったとか思ってるに違いない。
思いっきり顔に出てるし。
うん。また今度やろう。
「まったく…ユウ殿も災難だな。この猫被りに目を付けられるとは」
「ひどっ、誰だって猫くらい被るでしょ。特に貴族相手だと、下手に不興買うと何があるかわかんないし」
「それはそうだが、それは勇者殿に対しても同じことが言えるのではないか?」
「ユウは…なんか無害そう」
悠は天才である。しかし計算高いかと言われればそうではない。
さっきもそうだが、考えていることがすぐに顔に出るタイプだ。隠す気あるのかと疑いたくなるほどわかりやすい。
コイツ自身あまり自分を取り繕わないタイプだからか、いろんな人々から気に入られていた。
なんか微妙な顔をしてる悠をスルーして、渡された紙に目を落とす。
「『不屈の心』『剣神の加護』『神界流剣術:皆伝』『聖剣召喚』『虚空の箱』…あれ?何これ」
一番最後の欄だけ文字化けして読めなくなっている。
他のスキルは問題ないな…プログラムじゃあるまいし、魔法でこんな変な不具合が起きる確率はほぼほぼゼロなんだが…
「それなんだけど、さっき鑑定の人が鑑定できなかったって言ってました」
「鑑定、できなかった…?」
鑑定はかなり高難度の魔法で成功する確率もまちまちだが、水晶のような触媒を用いることで精度も成功率も段違いに上がる。
それでもなお鑑定できないとあれば、相当な曰く付きの代物かもしれない。
地雷スキルじゃないことを祈ろう。
「それにしてもすごいな。『神界流剣術』か、是非戦ってみたいものだ」
「そ、そうですね…」
うん、シャルロットなら目をつけると思った。
…そうだ、一度模擬戦するのもいいかもしれない。
「ねぇシャルロット。一つ提案があるんだけど…」
* * *
王宮内部 演習場
模擬戦を提案してみたところ、シャルロットは快諾した。
悠は少し抵抗があったようだが、スキルの動作確認や実力を測るためと言ったらすんなり承諾してくれた。
というわけで、二人は今木剣を持って相対している。
「一応ルール確認するよ。
・お互いに攻撃は寸止め、接触させた場合敗北とする。
・魔法の使用は禁止、純粋な武術でのみ戦うこと。特例でユウはスキルありね。
以上、じゃあいくよー…──始めっ!」
俺が合図すると同時、シャルロットが仕掛けた。
「まずは小手調べだ。──『一閃万華』」
足を大きく踏み込み、地面の土を抉るほどの強さで地を蹴った。
一瞬で距離が縮まり、剣がユウの胴体を横一直線に迫る。
だが、ユウはそれを見もせずに防ぎ、背後へと抜けたシャルロットと再び相対する。
「この程度はやはり防ぐか。なら次は…『煌炎乱舞』」
懐へと再度肉薄したと同時、無数の剣閃がまるでそれぞれ意志を持ったかのように襲いかかる。
「『禍津風』」
ガァァァンッッ!
「何っ!?くっ!」
連撃にも関わらず、それがまるで一つの音のように連なって聞こえるほどの密度の斬撃を、ユウは全て弾ききり、さらに攻撃を重ねる。
「まずっ…!?」
「『神鳴』」
ッバァァァンッッ!!
この場に落雷が落ちたような轟音を鳴り響かせながら、剣を振り抜く。
しかし…
べキィッ!!
「「…」」
───剣が、折れた。
「そこまで。…武器の破損により戦闘不能と判断。勝者シャルロット」
俺がそう宣告すると、シャルロットは大きく息を吐き、体の緊張を解す。
「ふぅぅ…いやはや、あれは死んだと思ったぞ」
「す、すみません。これだと思う技がこれしかなくて…」
「いやいいんだ、そういう勝負だからな。いい試合ができた」
そう言って手を差し出すシャルロット。
ユウは躊躇うことなくその手を取った。
「ところでユウ、スキルはどんな感じだったの?」
「え、えーと、使い方が分かるって言うか、使おうとしたら半自動で体が動くみたいな?」
「へぇ〜…」
ふむ…要するに素人の体に強制的に熟練の技を覚えさせたっていう感じが近いのかもな。
そんなことを考えていると、バタバタと忙しない足音が聞こえてきた。
「勇者様!皆様もこちらへおられましたか!」
「どうした?」
「陛下がお呼びです。魔王討伐のことについてお話がしたいと」
「分かった。ユウ殿、行こう」
「はい」
どうやら王様が俺達をお呼びらしい。




