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サクラ

「サクラ!」


あたしは、王宮の中庭に出たみたいで。


リクとリンドウとサレイが、出迎えにきてくれた。


「おかえりなさい」


リリエルもきてくれた。


その頭を撫でて、あたしは頷いた。


「戻ってきたよ。あたしは、この世界で生きたい。元の世界に戻ったけど、この世界があたしの故郷、そんな気がするんだ」


「サクラ、金の堕天使の力は?」


「大丈夫。封印したから」


リクは、安心したようにあたしを抱き寄せる。


「この3ヶ月ひやひやした」


「ええ!3ヶ月も経ってたの?」


「そうだぜ、サクラ」


リンドウも頷く。


「サクラ――ごめんなさい」


サレイは泣いていた。


「いいのよ。あたしはもう気にしていないし。レンのこと、ずっと忘れないであげて」


「うん」


サレイの金髪をかきあげて、くしゃくしゃにすると、あたしは寵姫としてまた生活を始めるのだった。


レン。


あたしも、あなたのこと、ずっと忘れないから。


ありがとう。そしてさようなら。


王家の墓地にレンの墓を経てた。


全ては、サレイからリク、リンドウにまで行き渡っていて。


みんな最初は信じられない様子だったらしいけど、古い文献を探していくうちに、シアルー女王と結婚したのが金の一族の少年で、不破レンという名前で、レンという名で通していた者だと分かって。


サレイが、金の一族とこのシャナの世界の、しかも王族とのハーフだなんて、リクは王位をサレイに譲るべきかもしれないと思ったが、サレイが拒否した。


王など、似合わないと。


リクは、王の血筋からいえば直系ではなく傍系である。それが今の王家の血だ。

サレイは直系にあたる、しかもサイカ王国の始祖の血を継いでいる。


サレイは、王族として迎えるというリクの言葉にも拒絶した。


今のままで十分だと。


何処から何処までも欲がないと、リクは思うが、それがサレイのよいところなんだろう。


あたしは、また後宮に遊びにきていた。ここにくるのも久しぶりだなぁ。


丹精につくられた薔薇園に、噴水の水のせせらぎと匂いがする。緑はさわさわ風に揺れて。


あたしは、中庭でサリーと一緒にお茶をしていた。


「オホホホ。これはラザ王国でのお菓子ですのよ」


うねうねうねと動く甲虫の幼虫みたいなのを、生で出されてびびった。


「へー。あぐあぐ」


「た、食べた!まじで食べた……」


「うーん。香ばしくて美味しいよ。さぁサリーも」


キラーン☆


あたしの目が光る。


「いやああああああああ!」


サリーの口を無理やり開かせて、虫を食べさせると、彼女は飲み込む前に吐き出して、気絶してしまった。


「あら。おいしいのに」


ぱくぱく。


あたし、こういうの平気だから。


そうだ、これエルニカの蛙君たちの好物っぽいな。

もっていこう。


皿をそのまま、もって、あたしは後宮を移動する。


サリーの悲鳴にかけつけてきた侍女たちは、またかと、サリーを介抱するのであった。


「エルニカー。久しぶり」


「あら、サクラ様。もうお病気は大丈夫なのですか?」


「え?あ、うん大丈夫」


そういや、この3ヶ月、あたしは病気で臥せって生死の境を迷っていたという設定になっているんだった。


ゼンゼンぴんぴんしてますけどね!


「これさー」


「あら、おいしそう」


ぱくり。


虫の幼虫を食べるエルニカ。


や、やるな、こやつ。


「みなさん、お食事ですよ~」


ゲコゲコゲコ。


放し飼いにされている蛙たちが、あたしに群がってくる。


けっこう愛嬌があって、これがまたかわいいんだ。


皿を地面におくと、われ先にとエサを食べだす蛙たち。中には喧嘩までする蛙もいる。


みんな首にスカーフを巻いていて、でっかいんだ。


デブリという種類の蛙だそうで。


みたまんま、デブリ!ってかんじのでぶな蛙だ。


人によく懐き、ジャンプして遊んだり、縄跳びを飛んだりできるし、水をかけられて身体を清潔にされるとゲコリーンと変わった鳴き声をあげる。

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