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長い波打つ金色の髪。金色の瞳。金色のオーラ。そして黒い一対の翼。


「こんなの嘘だよ」


あたしが否定すると、全ての色は消えうせた。


あたしは、走り出した。


目的地なんてない。


ただ、走って、走り続けた。


この鼓動が止まるまで。


走りたい。



あたしは。


空に向かって、手を伸ばしていた。


透明な水盤に映し出された、セーラー服という、異界の服に身を包んだサクラを、リクもリンドウもサレイもリリエルまで見ていた。


「サレイ、彼女を元のこの世界に戻す方法は?」


サレイは首を横に振る。


「一度帰った者を、また召還できるか分からない。召還の儀はもう何度もした。でも、サクラは応えてくれなかった」


「でも本当にいいの?金の堕天使だったんでしょ。サクラが元の世界に戻って正解だったのではないかしら。寂しくはあるけれど、でも金の堕天使は破滅を呼ぶというわ」


「サクラなら、それさえも乗り越えてくれる」


リンドウの言葉に、皆が頷き、リリエルは頬を膨らませる。


「別に、帰ってきてほしくないとか、そんなんじゃないわよ!」


「分かっている」


愛娘の頭を撫でて、抱き上げて、リクは走り続けるサクラが何処にいこうとしているのかを、水盤で見続ける。


彼らにできるのは、その姿を追うことくらい。


はぁはぁはぁ。


大分走った。ちょっと休憩。


あたしは自動販売機でポカリを買うと、それを一気に飲み干してまた走り出す。


そして、気づくとあたしは、不破家という知らない家にきていた。


扉が開いている。


誘われるように、中に入る。


家人は誰もいなかった。物騒だなと思いつつ、泥棒のような自分の行為をはしたないとも、何故こんなことをするのだとも思わなかった。


レン、と書かれた部屋のプレート。


中に入ると、殺風景な男の部屋だった。


ただ、写真たてにあたしが映った写真が入れられてあった。



「不破レン。レン・ファウ・ラザー」


涙が、止まることなく溢れてくる。


机の上を見ると、金色に光る一通の手紙。その封を切って、中身を読む。


やぁ、また会ったね。


「そうだね」


僕が知る、シャナの世界にもう一度いく方法を残しておくよ。もう僕はこの世界にもシャナの世界にもいない。


消えてしまったんだ。


力の全てをこの手紙に託した。


どうか、君に幸あらんことを。


サレイを任せたよ。


「うん」


シャナと繋がる鍵を見つけなさい。そうすれば、扉はまた開かれる。


「鍵を……」


あたしは、ポケットに手紙をねじ込んで、校庭のあの桜の大木に向けて、走り返す。


いっぱいいっぱい走って、やっと辿りついた。


もう、夕日が空を染め上げていた。


校庭には人影もない。


「鍵……桜」


何故か、あたしは鍵が桜であると思った。こんな季節に遅咲きする桜は、この一本だけ。


満開に花を咲かせるそれに手を伸ばして、あたしはシャナの世界でリンドウからもらったペンダントを右手に握り締め叫んだ。


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