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僕は、その赤子に名を与えた。


サレイ。


名前は、サレイがいい。


フワという名も、サイカの名もいらない。


サレイ。


それだけで十分だ。


「サレイ。君がいると、僕は憎しみで君を殺してしまいそうなんだ。だから、遥かなる未来へ、君を飛ばす。そこで、どうか幸せになってくれ」


空間をねじ込んで、はるか今より500年ほど先の、一番サイカ王国が輝かしく、安定していた時代を狙って、自分の血をひく赤子を未来の時間へと移していく。


「ああ、忘れては、いけないんだ」


サレイの黒髪黒目も、きっと人目を引いて不幸の原因になるかもしれない。


僕はあふれる力で、サレイの黒髪を見事な金髪に、黒目を碧眼に変えて、未来へと続く波間にゆっくりと、船を象った、僕の力の一旦に乗せて、送り出した。


「もしも、僕が君と出会う未来まで、まだ生きていたら。いつか、父と名乗りたいな」


僕は、知らなかった。


サレイが、シアルー譲りの、美しすぎる美貌ゆえに、僕と同じように壊れていく運命を辿るなんて。


そんなことになると知っていたら、顔の形だって変えておくべきだったよ。


男娼と娼婦の夫婦に拾われて、虐待されて育ち、そして男どもの慰み者にされて奴隷として売られていたサレイを見た時、僕は後悔した。


どうして、サレイまでこんな運命を辿る必要があるのだろうかと。


僕の血を引いているから?


だから、サレイまで不幸になるの?


理不尽すぎるよ。


でも、幸いなことに、サレイには信頼できる友がいて、そして愛する少女がいた。


その子は僕と同じ金の一族で、サレイと一緒に奴隷として売り出されていた。


僕は、サレイと一緒に、サクラという名の同胞を買った。


金は、僕が滅ぼしたラザー王国のものをもっていたから、金に糸目はつけなかった。



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