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真実という名の

時間も経った。


そろそろ、はじめようか。


サクラ、君だけの物語を。


このシャナの世界で、色あせることなく輝く君のお話を。


だって君は金の――


--------------------


あたしは、はっとなって飛び起きた。隣では、サレイが身体を丸めて、いつのも羊さんがプリントアウトされたパジャマを着て寝ていた。


夢を、見たのだろうか。


耳にまだ、残るような、そんな声を聞いたきがする。


どんな夢だったのか、忘れてしまった。


あたしは喉が渇いて、水差しからコップに水を注いで、水を飲むと、裸足のまま、リンドウといつか見た、あの星空を見るために廊下を走りだした。


みんな寝静まっているが、交代で夜も見張りについている騎士や兵士の姿も見えた。


あたしはそんな人に咎められないよう、隠れながら屋上に続く階段を昇る。


開け放った扉から、夜の風があたしを撫でて消えていく。


季節は冬をあっという間に過ぎ去って、また夏がこようとしていた。


あたしがシャナにきて1年近くが経ったというけど、正式には10ヶ月とちょっと。


だから、今は春の終わりだ。


ざぁぁぁと、夜桜が花を散らす。


シャナの桜は、春の終わり、初夏に咲くのだ。


「綺麗」


桜色の花弁の本流。

海のように敷き詰められた、屋上の桜色の花弁のカーペット。


そこにゆっくりと寝転がると、満開になった桜の花の隙間から、たくさんの光を点す星と明るい月、そしてあたしの故郷であるエデンと呼ばれる地球が見えた。


「綺麗だね」


「うん、ほんとに綺麗――」


あたしは、ばっと後ろを振り返る。誰も居ない。


確かに、何処かで聞きなれた声がした。

青年の、それでいて少年のような声。


そうだ、思い出した。


今まで、何度もあたしに語りかけてきてくれた、まるであたしを導く星のような、その声音を。


「桜は、好きかな?」


桜の幹に座っていたのは、レン・ファウ・ラザー。


あたしとサレイを、奴隷会場で買ってくれて、奴隷から開放してくれて、一時サレイを大切に愛していた、貴族の男性。


そんな人が、何故今ここに?


あたしは分からなくなって、レンの座っている幹の近くに寄る。


「どうして。レンがここに?サレイに会いにきてくれたの?サレイ、喜ぶよ!でも、まだ寝てるから――」


「僕が会いに来たのは君だよ。偽りのメシア」


「何を、言って、いるの?」


あたしは、彼が何を言っているのか理解できなくて、レンの顔を見つめた。


「言葉通り。君に会いにきた。君は金の天使に羽化するとこの国の誰もが思っているようだね。でも、それならただのメシア。でも君は偽りのメシア。金の堕天使に羽化するよ?このままでは」


「そんなことないもん!!」


あたしは声を荒げていた。


「あたしはどちらにも羽化しないわ!あたしは、あたしのままよ!」


「そう。そうだったら、いいのにね」


「あたしは、あたしだけの王よ。どちらにも羽化しない。誰も、あたしの王にはなれないのだから」


ふわりと、金色の光が海の中の一箇所を照らすように、蒼いオーラを帯びたあたしを、月光が金色に照らし出した。


「金色……嘘だよ、こんなの」


自分の長い金髪を、金色に変わっていた髪をグシャグシャにして、それから金色になってしまったオーラに地団駄を踏んだ。


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