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「さぁのんだのんだ」
無理やりサリーに飲ませると、彼女がぎょええええと、断末魔の悲鳴をあげた。
さて、次はシータかな。
シータの部屋にいくと、シータは顔を染めてあたしを出迎えてくれた。シータをお忍びで、城下町に連れて一緒に遊びにいった時、シータは暴漢に会った。
あたしはそいつらの股間に蹴りを入れてから、シータを横抱きにして逃げ出したのだ。シータって、このあたしが横抱きにできるくらいに軽い。けっこう走って、角を曲がったとこで息を切らして彼女を下ろすと、それから彼女の熱い視線を受けるようになった。
「サクラ様、わたくし、ずっと待っておりましたのよ」
上品なかんじの部屋に入る。シータが自ら焼いたというケーキを食べながら、談笑する。
「あの、これわたしくが作った服ですの。着てくださると嬉しいですわ」
薄い青の上着をさしだされて、あたしは腕を通す。丈もばっりちだし。
「ありがとう、シータ!」
「いいえ」
ポッ。
シータはあたしに惚れてしまったのだ。もともと、男性のように強い女性に憧れていたのだという。
シータは美人だしかわいいし、性格もいいので、あたしもシータのことが大好きだ。
「ああ、悲しい運命だわ。サクラ様が王子なら、わたくし、サクラ様のお嫁さんになったのに!」
妄想に耽りだしたシータ。
でもかわいくてかわいくて。熊の縫いぐるみを抱きかかえて涙を零すその姿に。
ブバッ!
やっぱか、あたしの鼻血め!
「あら、いけませんわ。ティッシュを」
鼻血をふいたティッシュを、シータはゴミ箱に捨てずに後ろに隠した。
シータ!!
頼むから、あたしがつかったものとか毛髪とか、集めるのやめてええ!!
それ鼻血ついてるよおお!!
あたしは、シータと何時間も過ごしてから、シータの部屋を出た。引き止められて、いつもうるうる目線で上目遣いされて、あたしは出て行く時間を引き延ばされる。
こういう仕草に弱いんだよな、あたし。
小動物見てるようで。あたしがいじめてるみたいでさ。
さて、最後はエルニカかな。
エルニカの部屋にいくと、蛙がいっぱいいた。あたし、蛙平気だから。
蛇とかもいるけど平気だ。
全部、彼女のペット。
「あら、ご機嫌麗しゅうサクラ姫」
「みんな元気そうだね~」
エルニカのペットたちの頭を撫でる。大の男さえも怖がるそのペットたち。リクでさえ未だに怖がっている。
「サクラ姫には、この子たちのよさが分かるというのに。この後宮の兵士や侍女は全く分かってくれません」
「あーうん。まぁ、なんかちょっと変わった趣味っていうのかなぁ」
「でもかわいいでしょう?」
「うん。なれたら、かわいいね」
後宮には兵士もいる。宦官ではない。普通は宦官を雇うのが常識か、女しか入らせないのだが、かなり前に宦官制度が廃止された。
寵姫が、王以外と密通するなど、愚かなことはまず起こり得ないとは言い切れないが、姦通がばれれば処刑ものだけに、する者は滅多にいないだろう。
「エルニカ、本を返しにきた」
「あれ、サレイ?」
「あらいらっしゃいまし、サレイ様」
あたしを見て、サレイは顔を真っ赤にした。
「違う!これは誤解!私は、エルニカとは友人で」
「その通りですわ。サレイ様とはよき友。私のペットたちのよさを分かってくれますし、頭脳明晰容姿端麗にして、私が師匠よりいただけました、まだ読むことも難解な魔法書の数々を、よく借りにこられるのですわ」
「サレイやるう」
「私は!サクラが、好きなの!」
後ろからだらーって、抱きつかれて。サレイは背も165センチないだろう。あたしは160センチくらい。近くにいても男女の身長差がないのが、サレイには悲しいらしい。
あたしは、別にエルニカとサレイが付き合っていても……って考えただけでだめだ。
サレイ好きなんだもん!
リクが一番どうでもいいのかもしれない。
あ、あたし酷いやつだな。
まぁいい。
本当のことだ。阿呆なリクは王としては好き。
リンドウも大好き。
でもサレイ、最近はもう魔法士の仕事に復帰して、執務を手伝うようにまで回復してくれた。
まだ、あたしのベッドで夜は眠るけれど。
サレイには、なんだろう。
美しいとか魔法士だからとか。そんなことでは言い表せない、何かを感じる。
それがなんのか、あたしにはまだ分からない。
サレイが、大震災の時に凄い魔法を唱えたから、そんな理由でもない。
でも、その理由を知ったとき、あたしは頭を抱えて泣き叫ぶ羽目にはろうとは、まだ知る由もなかった。




