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「おー、よく見えるやん」


リンドウも感嘆の声をあげた。


「あれが、恋人座。ほら、二人の人間が手を繋いでいるように見えるやろ?」


「ほんとだー」


手を繋ぎ合っているような星座を目にすると、目頭が熱くなってきた。


そうだ、あたしが好きなのは。愛しているのは。


「そのネックレスな、本当は俺とお揃いにしたかってん。でもな、サレイがああやろ。サレイの瞳と同じサファイア選んでん。ほんとはアメジストにしたかったんや」


アメジストのネックレスを渡されて、あたしはそれを首にかけた。


間近で聞こえる、リンドウの声。

あたしは目を瞑った。


唇が重なる。


「あ、あ」


服の中に手が入ってくるのを、遠くのように感じた。


でも、そこで終わり。


「拒否、せえへんの?」


「だって、あなたが好きだから。初めてあった時から、ぬるぎゅ!って腹にきました!」


「どんな口説き文句やねん」


リンドウはけらけらと笑った。

あたしも笑った。


「サクラ、リクの寵姫やもん。手出されへんわ」


「じゃあ、寵姫やめる!」


あたしは断言した。


「ほんまかいな?でもリクが怒るで?あれでもサクラに惚れとるさかいに」


「それでも。リクもこともサレイのことも好きだけど、でもリンドウが一番好きかもしれない。全員を手に入れようなんて思わないわ」


「サクラは欲のない子やな」


頭を撫でられた。


「歴代の王妃には、王という夫がいながら何人も愛人をもったような女もおってんで」


「あたしは、でもそんな器用なこときっとできない。誰かを傷つける。だから、選ぶなら一人だよ」


「そか」


新しい絆が、また生まれた気がした。


それは、リンドウとあたしだけの秘密。


秘密の、秘密。


あたしが、シャナの世界に来て半年近くが過ぎようとしていた。


リクの寵姫の座はそのまま。リクも好きだし、未だに一緒に眠るサレイも好きだし、リンドウも好きだ。


未だに、あたしは探している。あたしの愛の答えを。その人の側にいるたびに、ああこの人が好きなんだなって思う、この優柔不断が恨めしいわ。


「昼食を中庭でとろうと思うんだ」


リクが、リリエルを連れてそう誘ってきた。あたしは嬉しくて、すぐに返事をした。


「サレイもリンドウも、もちろん一緒だよね?」


「当たり前だ」


次の日、中庭で昼食を食べるという、ピクニックに行くみたいな気分で外に出たあたし。


でも唖然とした。


シャンシャンシャン。

踊る踊り子の見事な演舞と、それに合わせられる鈴の音。

ハープがポロロロンと、音を奏でる優雅さ。たくさんの楽士が音色を奏でる音。


侍女、近衛騎士まで引き連れての、宴だ、それは。


こんなの聞いてないよ。


少人数で、ささやかに楽しくやるんじゃなかったの?


ちょっと恨めしい目でリクを見ると、踊る踊り子をずっと見ていた。


シャンシャンシャン。

チリリリン。

ポロロロン。


いろんな音が混ざって。


でもちゃんと調和が取れていて。踊る踊り子はこれまた際どいすけすけの服を着て、流し目のような色っぽい視線を、リクに送り続けている。


そんなことで、ムカってくるほど、あたしは器の小さい人間ではない。


ムカアアアア。

ムカデ。違う違う。


あたしが怒っているのは、なんでこんな大きな宴にしたかってことで。


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