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同じ男に、欲望の的にされて、散々弄ばれて。奴隷に売られて。買われた先がレンでよかったと心から思う。
ああ、この場にサレイを犯した男たちがいたら、八つ裂きにしてやるのに。
「陛下………私、壊れるよう」
うっすら目をあけたサレイ。
リクが、サレイの額のタオルをかえてやる。
「ライナス陛下………もう嫌なの、私。こんなの、もう嫌なの……」
ライナス。サレイを苦しめ続ける悪魔の名前。
それは、この国の先代王。
名声高かった男は、影でサレイを弄び続けていた。それに気づくのが遅すぎたリクとリンドウ。
10年も、奴隷のように扱われて。サレイは壊れていたのだ、最初から。
10歳で会ったとき、あまりの幼い口調に驚いた。魔法に関すること意外すぐに忘れるし、どこか変だと気づくべきだったのだ。
だが、サレイが17になるまで気づけなかった。
ライナスは、サレイを恐怖という鎖で縛り付けていた。
サレイは魔法士の長にも友にも、自分があっている性的虐待を言えずに隠し続けて。
そして、壊れて、また一からサレイが形成されて、バカみたいに明るいナルシストのサレイという人格ができた。
そこにライナスにされたことの記憶はほぼ皆無。自分で封印したのだ。
記憶を封印するか、別人格を作るか。逃げ道はそれしかなかったのだろう。
きっと。
「サレイ……」
「熱が大分下がりました。もう大丈夫でしょう」
医師の言葉に、皆ほっとする。
しばらくして、サレイの意識が戻った。
それから、彼は視線を彷徨わせて、眉を顰めた。熱のためだけでなく、恐怖に涙をためて。
「陛下はもう来ないの?サレイに意地悪しない?」
「こない。絶対にくるものか!何もさせない!」
リクは、自分が母親似であることに感謝すらした。
あたしは……沈痛な面持ちで、口を挟むこともできなくて。
「おやすみ、サレイ」
また眠りはじめたサレイのおでこにキスをして、リクは立ち上がった。ここ数週間で貯めてしまった仕事を片付けなくてはいけない。それは王としての責務である。
「俺も手伝うわ、リク」
リンドウも、サレイのおでこにキスをしてから、リクの執務の手助けをすべく、病室を後にする。
残されたあたしは、何もすることができなくて。
ただ、ただずっとサレイの細い指に指を絡めて、手を繋いで。
それからあたしは涙を何回も流してはそれを拭き取って、サレイのベッドにもたれかかるような形で、いつの間にか眠ってしまったらしい。
朝になると、ベッドはもぬけの空で、あたしは慌てた。
「サレイ、サレイ!?」
急いでサレイの姿を探すと、いつもの中性的な衣服を着て、でも他の魔法士に支えられるような形で、魔法士の仕事をこなすサレイの姿をみつけて、拳骨で頭を殴ってやった。
「こんのお、病み上がりのくせにうろちょろすんなああ!」
「痛い」
「痛くて当たり前!昨日40度の熱で生死の境うろうろしてたんだからね!」
「鬼ばばぁ」
びしっ。
ちょっとあたしのプライドに皹が入ったけど、我慢しなきゃ。
サレイは、よく見ると背中にかわいいリュックを背負っていて、そこに薔薇を入れていた。
「サレイ!元に戻ったの?」
「何が?薔薇、綺麗だったから。レンにあげるんだ」
あたしは、屑折れるように、泣き出した。
「うわあああああん!」
もう、レンはいないんだよ?
会いにいくことは可能だろうけれど。




