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2

同じ男に、欲望の的にされて、散々弄ばれて。奴隷に売られて。買われた先がレンでよかったと心から思う。


ああ、この場にサレイを犯した男たちがいたら、八つ裂きにしてやるのに。


「陛下………私、壊れるよう」


うっすら目をあけたサレイ。

リクが、サレイの額のタオルをかえてやる。


「ライナス陛下………もう嫌なの、私。こんなの、もう嫌なの……」


ライナス。サレイを苦しめ続ける悪魔の名前。

それは、この国の先代王。


名声高かった男は、影でサレイを弄び続けていた。それに気づくのが遅すぎたリクとリンドウ。


10年も、奴隷のように扱われて。サレイは壊れていたのだ、最初から。

10歳で会ったとき、あまりの幼い口調に驚いた。魔法に関すること意外すぐに忘れるし、どこか変だと気づくべきだったのだ。


だが、サレイが17になるまで気づけなかった。


ライナスは、サレイを恐怖という鎖で縛り付けていた。

サレイは魔法士の長にも友にも、自分があっている性的虐待を言えずに隠し続けて。


そして、壊れて、また一からサレイが形成されて、バカみたいに明るいナルシストのサレイという人格ができた。


そこにライナスにされたことの記憶はほぼ皆無。自分で封印したのだ。


記憶を封印するか、別人格を作るか。逃げ道はそれしかなかったのだろう。


きっと。


「サレイ……」


「熱が大分下がりました。もう大丈夫でしょう」


医師の言葉に、皆ほっとする。


しばらくして、サレイの意識が戻った。


それから、彼は視線を彷徨わせて、眉を顰めた。熱のためだけでなく、恐怖に涙をためて。


「陛下はもう来ないの?サレイに意地悪しない?」


「こない。絶対にくるものか!何もさせない!」


リクは、自分が母親似であることに感謝すらした。


あたしは……沈痛な面持ちで、口を挟むこともできなくて。


「おやすみ、サレイ」


また眠りはじめたサレイのおでこにキスをして、リクは立ち上がった。ここ数週間で貯めてしまった仕事を片付けなくてはいけない。それは王としての責務である。


「俺も手伝うわ、リク」


リンドウも、サレイのおでこにキスをしてから、リクの執務の手助けをすべく、病室を後にする。


残されたあたしは、何もすることができなくて。


ただ、ただずっとサレイの細い指に指を絡めて、手を繋いで。


それからあたしは涙を何回も流してはそれを拭き取って、サレイのベッドにもたれかかるような形で、いつの間にか眠ってしまったらしい。


朝になると、ベッドはもぬけの空で、あたしは慌てた。


「サレイ、サレイ!?」


急いでサレイの姿を探すと、いつもの中性的な衣服を着て、でも他の魔法士に支えられるような形で、魔法士の仕事をこなすサレイの姿をみつけて、拳骨で頭を殴ってやった。


「こんのお、病み上がりのくせにうろちょろすんなああ!」


「痛い」


「痛くて当たり前!昨日40度の熱で生死の境うろうろしてたんだからね!」


「鬼ばばぁ」


びしっ。


ちょっとあたしのプライドに皹が入ったけど、我慢しなきゃ。


サレイは、よく見ると背中にかわいいリュックを背負っていて、そこに薔薇を入れていた。


「サレイ!元に戻ったの?」


「何が?薔薇、綺麗だったから。レンにあげるんだ」


あたしは、屑折れるように、泣き出した。


「うわあああああん!」


もう、レンはいないんだよ?


会いにいくことは可能だろうけれど。


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