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「サクラ姫!?」


「サレイのばかあああ!レンはいないって、何度も言ってるのに」


自分でも吃驚するくらい、いつの間にかサレイという存在に心を揺り動かされていた。


リンドウが一番好きだけど、リクやリリエルと同じくらいにサレイが好きだと、前にも思ったけど。

こんな弱い無垢な姿を見せられて。あたしは。

サレイを愛して、癒してやることができればと、思った。


愛そう。友人の愛でも家族の愛でも普通の愛でもいい。サレイを愛して愛しまくって、サレイを取り戻すんだ!


サレイは常に愛に飢えているんだ。レン以上に愛を注げば、いつかきっと。


絆は形となる。


「お友達に、なろ?」


ずっと前から友達だったじゃない!


にこりと、サレイは無垢な微笑を向けてくる。


「うわああああん。こんなんじゃ殴れないじゃないのおお!」


かわりに、隣にいた魔法士をポカポカ殴ってやった。

魔法士はもぎゃっとかふんぎゃああとか、猫のような悲鳴をあげていたけど、知るもんか!


「リク陛下!」


「へい、か?サレイ……」


いそいそと、服を脱ごうとするサレイを、リクは抱きしめる。


「そんなこと、しなくていいだよ、サレイ。もう、父はいない。何度も言っただろう。ライナスは死んだのだ」


「陛下、死んだ?いないの?」


「そう、いないんだ。もう、お前はとっくの昔に自由なんだよ


「自由。サレイ、リク陛下だっけ、あなたとお友達だっけ?」


「リクでいいよ。サレイ……」


流れるような金色の髪を手ですいて、リクはサレイの細い身体を抱き上げて、あたしと一緒に王妃の部屋に向かった。


「この通りだ。サレイは見ての通り無垢で。また如何なる者がサレイに危害を加えるか分からぬ。私とリンドウが目を光らせているが、それでも完全とは言い切れない」


リクに、頭を下げられてあたしはびびった。


「私とリンドウが築いてきた絆が、ばらばらのパズルのピースになってしまったのだ」


「面倒見る!サレイの、面倒あたしががんばるから!」


「すまない。恩にきる」


リクは、深くまたあたしに頭を下げた。

本当は、リクはサレイを閉じ込めておきたいのだろう。でも、サレイは王の所有物ではないし。


まして友人だ。サレイを自由にしておくのが一番なのだが、心から信頼できる者が傍にいてくれないと、不安で不安で仕方ないのだろう。


また、いつサレイが何かされるのではないか。または忌まわしい記憶で過呼吸などの精神不安からくる発作に見舞われないとも限らない。


あたしは、元々サレイの面倒を自分で見ようと決意していたのだ。


サレイは本当に幼くて、まるで子供のようだった。

リリエルと一緒に、絵本を読んだりした。

サレイは、リリエルとすぐに打ち解けて友人になったようだが、あたしにはまだ少し警戒心を抱いている。


特に、お風呂に連れて行こうとしたときなんて、暴れまくる。


男性の裸を見てキャッ!とか言ってる場合じゃないの!


サレイのことは真剣なんだから。そう、やっと歩き出した幼子の世話をしているようなもの。


自分の身体を洗うことも髪を洗うことも忘れてしまったサレイに、一から教えるのは骨が折れるけど、でも、遣り甲斐はあった。


サレイは一度教えると、水を吸収するみたいにどんどん覚えくれる。


今では、もう一人でお風呂に入れる。でも、念のためあたしも一緒にお風呂に入る。


リリエルも一緒だ。


リリエルにとって、サレイは友達であって、異性の裸であるがどうでもいいらしい。それに、サレイは華奢で細くて、リリエルより色白。


悲しい虐待を受けてきて、10年間以上、ライナス王という男に愛を求めていたのか、色気があって、つい目を反らしたくなるようなそんな何かを持っている。


こればかりは仕方ない。



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