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「3000万リラから」


「1億!」


「1億1000」


「1億1500」


あたしは、きっと、サレイを競り落とした貴族の男を睨んだ。


「あたしを、ここで競り落とさないと、あたしを買わないと、あたしはここで死ぬわ。舌を噛んで。そして、あんたを永遠に呪うわ!」


「面白いことを、いう――」


あたしは、それでも男を睨み続けた。背後から、猿轡をしようと男に羽交い絞めにされても。


「いいだろう。5億。この金髪の子と同じ値段で買ってあげるよ」


また、会場が静寂に包まれた。


「おおっと、なんという金持ちだあ!10億合計を、たった二人の奴隷に投資するなんて!10億もあれば、小国の国家予算だよ!」


司会のうるさいアナウンスを無視して、あたしは羽交い絞めしようとする男達から逃れて、貴族の男がそばにやってくるのを待った。


その男の手には、眠ってしまったサレイが横抱きにされている。


ここで、サレイを見失ったら、きっともう二度と会えない。


「サレイ――」


「それが、この子の名前か?」


あたしは頷いた。

あたしは、足枷から解放された。サレイも、足枷も首枷すらもとられて。


逃げれる。


そう思ったけど、あたし一人でサレイを担いで逃げても、すぐに力尽きる。

リクかリンドウがいれば―――。


唇を噛むしかなかった。


奴隷バサールから出て、男はやっと名前を口にした。


「レン・ファウ・ラザー」


「その人はサレイ。あたしはサクラ。枷を外してくれてありがとう。奴隷のままなの、あたしたち?」


「いいや。枷を外した時点で、僕としては奴隷解放としたつもりだけれど?」


「じゃあ、自由なのね!」


あたしが喜ぶと、赤い髪に赤い瞳を持ったレンは、笑った。


「自由?ははは、君達は僕が買ったんだよ?僕の所有物だ。主は僕。わかったね。バカなことをしたら、焼き鏝を押すよ」


その残酷な言葉に、がっくりと項垂れる。

それから馬車に乗せられる前に、衣装が下品で卑猥だと、絹の上等の下着からドレス、サレイにもドレスが買われて着せ替えられて、馬車に押し込まれた。


胸がないだけで、ドレスはサレイにぴったりあっていて、まるで本当の貴婦人に見えた。


いつまで経っても目を覚まさないサレイの、目をあけて覗き込む。それから、脈をとる。


「麻薬か何かを打たれたね。酷い中毒症状になって昏睡状態だ」


「そんな!」


「安心しなさい。麻薬と反対の中和剤も売っている。高いが買おう」


「ありがとう……」


今は、従うしかないんだ。

レンに。


あたしとサレイの運命は、レンの心一つで決まるのだから。


貴族などを専門として診る医者に診させて、この世界で一番高いけれど、一番有効な中和剤を処方してもらった。


本当に、何処にそんな金があるのだろうか。

クレジットカードのようなものでお金を払っていたけれど。


「不思議そうな顔をしているね。どうしてそんなにお金を持っているのかって?」


「うん」


「簡単だよ。今はない、ラザーという王国の末裔だったんだ。銀行に預けられていたという、国家予算の金が見つかってね。一晩にして、貧乏貴族から、400億リラの大富豪さ」


さも可笑しそうなレン。




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