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あたしは、乱暴に何かの馬車の荷台のようなものに乗せられて、そのまま、サレイと一緒に城下町から、遠く離れた奴隷バザールが開かれる、コンスウという町まで運ばれた。


途中で与えられるのは、水と粗末な乾パンだけ。


それでも、命を繋ぐために、あたしは食べて飲む。

サレイは、壊れてしまった。

何も口にしないし、しゃべることもない。目は開いているけど、空ろで何も見ていない。


見かねたあたしが、せめて水だけでもと、口移しで飲ませると、なんとか嚥下してくれた。


あたしとサレイは、同じ狭い部屋に押し込められた。


サレイと離れるのは嫌だったけど、サレイを風呂にいれ、医者に見せるという言葉に、あたしはそれでも誰にもサレイを委ようとしないので、困り果てた男たちが、奴隷の壮年の女性を呼んだ。


サレイを綺麗にするからという言葉に、あたしはついていくと言い切った。


サレイと一緒にシャワーを浴びる。サレイの肌にこびり付いていた、男の体液が、やっと流されて落ちて行く。


「サレイ……ごめんね」


無残に男達の欲望のままに弄ばれた身体に残っていた痣も、大分薄くなっていた。


サレイは何も言わない。


でも、ふと口を開くとアヴェ・マリアを歌いだした。


あたしはサレイを抱きしめて泣いた。泣いて泣いて泣き続けて、そしてあたしとサレイのためだという、まるで襦袢、遊女が着るような衣服を出されて、他に着る物もないのでそれを切る。


サレイもあたしも化粧されて、奴隷だという女の人たちに髪をすかれ、絹ではないがそれでも粗末ではない透けた服を重ね着して、着飾らされた。


あたしは、サレイを、その美貌をみて、男娼奴隷としてきっと貴族か裕福な金もちに買っていかれるだろうという、奴隷の人の言葉に酷く傷ついた。


「サレイ。一緒だからね」


奴隷バザールは、いろんな人種の子供から老人までの奴隷が、競りにかけられる。

普通は、粗末な腰布一枚なのだが、美しい女や男は、着飾って出される。


そのほうが、値段が高くつくからだ。


汚れていては、値段が落ちる。


「さて、次は掘り出し物!あまりの美貌に開いた口もふさがらない。これで女じゃなというんだから世の中不思議なもんだ!しかも男に抱かれなれているから、閨の相手にはぴったりだよ。女でも無論満足させてくれるだろうさ!さぁ4000万リラから!」


「1億!」


サレイが、会場に出される。足かせをされているし、首には魔法封じの首かせ。でも、銀などの装飾品で飾られた全身。


サレイは、誰も見ていなかった。何も聞いてもいない。

もう、サレイの心は閉じていて。


あたしはそれが悲しくて悔しくて。


ざわりと、また何かの感触を感じたけど、結局なにも起こらなかった。


「1億2000!」


「5億!」


その言葉に、会場がシーンとなる。


「さぁ、5億がでた!これは新記録だ!」


それ以上値段を言う者はいなかった。サレイは、遊学中だという上流貴族の青年の手に落ちた。


あたしは、順番を押しのけて、会場に走って、その男に叫ぶ。


「あたしも買いなさい!サレイだけじゃなくって、あたしも!」


「おっと、順番が違ったが、これも珍しいものだよ!遠い東の島国からの流民か何かの美しい少女だ!見よ、この見事な黒髪、黒目。偽者じゃあないよ、本物の黒だよ!」


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