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3

「サレイ、こっち!」


人相の悪そうな男達に目をつけられたサレイの手を引っ張って、あたしは駆け出した。あたしは全力で走ったので、フードがとれているのに気づかなかった。


あたしとサレイは、フードを被り直して、秋祭りを見つめる。


リンドウとリリエルがすぐに追いついてくれて、あたしたちは、屋台で焼きとうもろこしとか、飴林檎とか、焼きイカに、焼き蕎麦とか。本当に、夏祭りの屋台そのもののようなものを買って、お金を払って食べながら歩く。


こんな経験、リリエルは初めてのようで、凄くはしゃいでいた。


「あっちに、ひよこがいたのよ、サクラ!」


あたしの手を痛いほど引っ張って、ひよこが売られている場所に連れてこられる。

子供たちが、ひよこに夢中になっていた。


あたしは銀貨を払って、リリエルに一羽のひよこを買ってあげた。


「大切に育ててね」


「ありがとう!」


きっと、こうでもしないと、王宮では動物と触れ合えないだろう。あったとしても、観賞用の美しい色の小鳥とか、庭を歩く孔雀とか、そんな優雅なもの。



「なんか忘れてへん?」


「さぁ?」


サレイは首だけ傾げた。


リリエルも分からないようだ。


夜の帳がやってきて、夕方に出かけた私達は星空を見上げて、そこに花火があがる。


たくさんの花火。


ひゅるるるーパーンと、音を立てては儚い光と熱でできた花を鮮やかに咲かせる。


枯れるのは一瞬だ。


蒼とか赤とか、いろんな色が混じった花火をに顔を染め上げられながら、あたしはリンドウの横に座って、彼に凭れ掛かった。


「ん?」


「ううん。平和だなって」


「そやな」


いつの間にか、手を繋いでいた。


胸がドキドキしてきた。


吹き抜ける風が、少し冷たかった。


どちらともなく、目を閉じて、触れるだけのキスをする。

そして、微笑む。


ヒュルルルーパーン。


また、花火が上がった。


「綺麗やね、サクラ」


「うん」


「サクラが綺麗やねん。花火に照らされて」


あたしは、ぼっと顔を赤らめた。



炭酸の効いた飲み物を飲み干して、花火も終わって、今日の秋祭りは終わりだとばかりに家路に帰っていく人々。


際どい格好で踊っていたリクが戻ってくる。どうやって嗅ぎつけてきたのだろうか。


もうあのまま、マッチョの群れに混ざって帰ってこなくてもよかったのに。


なんて思ったりして。

げへへへへへ。


まぁ、リクも好きだから、実際居なくなると寂しいけどね。


「どうだ、私のこの勇姿は!」


「きもい!」


「貧相やな」


「ひどいっ」


顔を覆って泣き出す有様。


でも、原始人のような踊りをクネックネッと続けるリクが鬱陶しくなって、リンドウは蹴った。


「蹴るな!王を蹴るとは何事ぞ!」


「お前なんかこの国の王やあらへん。ただの変態や。なんやねんその格好」


Tバックの水着みたいな、多分下着?


「日頃からこのような下着を愛用しています!」


「変態がうつるわ。近づかんといて」


リンドウは追い払う仕草をする。


そこへ、息を切らせてリリエルが泣きながら駆けつけてきた。


「大変なの!サレイが、何処を探してもいないの!」



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