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「あ」
やべ、どうしよう。
あたしは、リンドウに頼まれて、はさみでリンドウの髪を切っていた。
リンドウは肩甲骨くらいで髪をいつも揃えていて、それ以上は伸ばさないし短くもしない。
いつもは黒いリボンで結われて、無造作に背中に流しているけど、女のあたしから見ても羨ましいキューティクル!
この艶、絹のような手触り!
サレイの髪が一番だったけどね。
サレイ、リリエルの次くらいの感触だ。
で、あたしはびびっていた。
いきなり、余所見して切ったら十円はげをこしらえたのだ。
ばさって、たくさんの髪の毛が床に落ちて、眠っていたリンドウは気づかなかったけれど。
「ま、まぁなんとかなるよね」
十円はげを3つもこさえたリンドウは、結局、サレイを頼り、サレイの育毛剤でまた髪を伸ばして、切ったら感染する時間を置いてから、綺麗に切り揃えてやるのだった。
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マッチョな男たちが、際どい黒い水着で、布なんてないんじゃないか、ピーを隠してるくらい、って姿で、どんどこどんどこ踊っている。
これが、城下町で行われた秋祭り。
豊穣を願って、筋肉を輝かせる祭り。
あたしとリリエルとサレイは、顔を蒼くして、気分が悪くなった。
お忍びなので、フードを深く被って、顔が分からないようにしているけれど、でもこの秋祭りを見ようと、遠方からも客が訪れるらしくて、旅人のような格好でフードを被った人は他にもいるので、怪しまれることはなかった。
「こんなのいやよ!せっかくのはじめての城下町の思い出がマッチョだなんて!」
リリエルの言葉は最もだ。
ドンドコドンドコ。
マッチョの胸の肉がピクピク痙攣している。
「あ、ポロリや」
「「いやあああ!」」
あたしとリリエルはガチガチ歯を鳴らして、その恐怖のポロリを想像してしまった。
中には騎士団の男性もいるらしくて、リンドウは遠くからあれは知った顔だだの、いい体つきしてる、相当鍛えてるだの、それなりに楽しそうだ。
リクは、頭にバカ殿のづらを被らされて、マッチョの群れにまじって、わりと筋肉のついたその体をさらしてどんどこどんどこ踊っていた。
「お父様は放置で、あっちにいきましょう」
マッチョの踊りの群れを外れたら、普通に屋台が並んでいて、夏祭りを思い出した。
みんな、秋の装いをしていて、もう夏は終わったんだなって、涼しくなってきた気温を感じ取った。
「懐かしい。金魚すくいだー」
あたしは童心に返って、銅貨を払って掬うためのやつと容器をもらった。
「えい」
すぐに、紙は破れてしまった。
「下手ね。私を見習いなさい」
リリエルは自慢したけど、やっぱり一匹も掬うことができなかった。
「貸してみい」
リンドウが、銅貨を払う。
「よっと」
人の行列ができてしまった。
リンドウってば名人級の腕前。
掬った金魚を、あたし、リリエル、サレイが貰った。
サレイは困ったように、微笑んでいた。
「なんや、嬉しないのか?」
「ふはははははは、金魚たちが私の美しさに喘いでいる!」
いきなりそう切り替えしたもんだから、みんなサレイを見た。
やべぇ。
サレイ、フードをおろしていた。露になった顔に、みんなが釘付けになる。




