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そのまま夕方になり、あたしはリクとリリエルと一緒に、晩餐をとる。
リリエルは、あたしが教えたというか、勝手に覚えてしまったあたしの食べ方で、食事をしていく。
ズズーっと、スープを音を立てて飲む愛娘のあまりの変化ぶりに、リクは口をあけて呆けていた。
ガツガツムシャムシャ。
テーブルマナーはでたらめ、手づかみで食べれるものは手で食べる。
残ったチキンの骨を、リリエルは立ち上がって、思いきり父であるリクの顔めがけて投げた。
「うりゃあああ、ホームランですわ!」
あたしが、前にしたことそのままだ。
骨は、こつんと、リクの頭にぶつかった。
「あー。サクラ?」
「ギク」
あたしは、食べる腕を止めて、ぎこちなく微笑んだ。
「こ、これ、あたしの世界のテーブルマナーなのー」
できるだけかわいく微笑もうとしたが、一喝された。
「そんなわけあるかああ!私のかわいい、上品なリリエルを返せええええ!!」
さっと、右横にあった白い紐をひっぱる。
クイっとそれをひっぱると、ゴン、ガンとリクの頭の上にでかいたらいが降ってきた。
「しまったぁ、席の位置を間違え……」
ばた。
リクは椅子ごと倒れて、目を回している。
白目剥いてるし。
ちょっとこええな。
あたしは、とりあえずそんなリクの顔に、マジックでうんこマークとか、額に肉ってかいてやった。あと眉毛を繋げたり髭をかいたり、アホバカマヌケと書いてやった。
「サクラ、ほどほどになぁ」
晩餐を守るために、護衛に当たっていた、近衛騎士筆頭で、サイカ王国騎士団の団長でもあるリンドウは、紫の瞳を和ませていた。
「ああ、俺もかきたいわ。書こ。我慢できへん」
自分の持ち場を離れて、リンドウはリクの顔を黒いマジックで塗っていく。
もう顔面真っ黒だよ。
あたしがせっかく書いた文字やラクガキが、判別できないよ。
面白いけど、ちょっとつまんない。
「ほれ、この蛍光ペンでラクガキし。黒のマジックの上からかけるで」
「おお、ほんとだ!」
リンドウは、リクの額に肉と書いた。
額に肉、それはどこの世界でも共通の顔のラクガキなのかまでは、あたしには分からない。
ただ、リンドウのあまりのラクガキの腕前に、あたしは呼吸することを忘れて、笑い死にするかと思ったくらいだ。
「リンドウもサクラもお子様ね」
デサートのプリンを口にして、しれっとした態度のリリエル。
ええー、リリエルのほうが7歳だしお子様だろうに!
でも、あたしはリリエルのかわいい顔にラクガキする気はなかったし、父の顔にラクガキしなさいなんて誘う気もなかった。
「ご馳走様。シャーライ、湯浴みしたいわ。先に準備しててちょうだい」
「畏まりました、姫様」
リリエルの後ろに控えていた、乳母で、リリエルの身の回りの世話のほとんどを任されているシャーライは、一足先にリリエルの部屋に戻ったようだ。
そして、リリエルはというと。
もぎゅ、もぎゅ、ぶにょ。
リクの身体を足から顔までふんづけて、歩いていった。
わざとだ。絶対わざとだ!
顔のとこなんか、足首の捻りがきいていて、ぐにょっとかなんか変な音したし!
やるなリリエル。流石リクの娘。っていうか、リンドウとかサレイに囲まれて育てば、上品でも実の父に対しての仕打ちはすばらしいものになっている。
このまま突き進め、リリエル!




