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サレイが、士官学校で色子と影口を叩かされているのを一掃したのはリンドウとリクだ。
その頃、サレイは12になっており、大人への階段を確実に昇り始めていた。
だが、それから何年たっても一向に、サレイは声変わりもしないし、喉仏が出たり髭が生えたりと、二次性徴の特徴を出さなかった。
いつまでも、美しいままのサレイ。その笑顔は時を経つごとに妖艶になり、今の地位も、実力だけでなくその顔で手に入れたと本人も認めている。
魔法士が、政治に携わるなど今までのサイカ王国の歴史にはなかった。政務大臣の地位までもつサレイ。
サレイは美しくそして残酷だ。まるで蝶のように妖艶なのに、必要ないと分かったら蟷螂のように食い殺す。
それは、王者にいる冷酷さ。
仲間を裏切り殺す覚悟。
サレイは、リクの密使でもある。王宮で不正を働いたりしたが、法で裁けない者に直接、隠蔽はするが、手を下すのはリクではなくサレイだ。
魔法士や騎士団の、重臣に入り込んだ他国の間者を見つけ出して殺すのもサレイだ。
サレイは、美しい上に人を殺すことに躊躇がない。ある意味リンドウやリクより残酷だ。
どん。
思いっきり人とぶつかって、リンドウは紫の瞳に灯った貪欲な光を鈍くした。
目に飛び込んできたのは、美しく着飾ったサクラだった。
「どうしたん?泣いてるやん」
そっと、その黒い瞳からとめどなく溢れる涙を拭い取ってやると、サクラはわっと、リンドウに抱きついて、震えたまま泣き続けた。
「リクとなんかあったん?」
こっくりと、サクラは頷く。
あたしは、リンドウの大きな身体に精一杯抱きついた。
そしてこれでもかってほど、涙を流して、そして思い切って、言ってみた。
「あたしが好きなの、リンドウなの!寵姫なんて身分いらない!王妃になんてなりたくない」
リンドウは、燃えるような紫の双眸を揺らめかせていた。
何かに迷っているのだろうか?
「ええの?俺は怖い男やで?」
「それでも、あなたが好きなの」
「そうか。でも、まずは友達からな」
にまーっと、リンドウは笑ってから、それからあたしの頭を撫でた。子供扱いされたけど、リンドウから見れば16のあたしなんて小娘同然だもんね。
仕方ないや。




