表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/69

そのまま、ふわりと、広がる銀髪と蒼い瞳を見上げる。


唇が重なった。


うっわ、ファーストキッス!?

相手がリクだなんて……悪くないかも。


「ん」


なぞるように舌が動いて、あたしは縮こまった。頬を撫でられて、決して性的な意味をもたない感触で全体のラインをなぞられる。


「そなたはういな」


「やん」


首筋をきつく吸われて痕を残されて、あたしの口から自分のものとは思えない甘い吐息と艶のある声が出た。


うおおおお。


恥ずかしい。


恥ずかしさのあまりに。


「うりゃああああああ!」


あたしは、リクにアッパーをかました。見事に決まって、ぽふりとベッドに沈むリク。


白目剥いてる。

やべぇ、これ、歯折れてるよ。


やちゃった。

かましちゃったああああ!!!


あたしは、いそいそと衣装を整える。ゴシックドレスだ、今日も。昨日とは違うもので、なんでもリリエルのために作られたものの何着かのうちの一つらしい。


亡き王妃マリリアージュの衣装は、幅がありすぎて着れたものじゃないし。

トドかセイウチが着てた服を着れるもんなら着たいわ。


いや、決してマリリアージュ王妃を蔑ろにしているわけではないんだけど。リリエルの話を聞いていると、凄い賢母だったようだし。


できれば生きているうちに会いたかった。


こんな、王妃の部屋なんて与えられて、あたしは惨めだ。


だってさ。


亡き王妃の部屋をそのまま与えられて、亡き王妃の装身具として買われたまま使われなかったものを与えられて。


おまけに、あたしは後妻としてその亡き王妃の埋め合わせにこの世界にきたんだ。


リクはまだマリリアージュ王妃を愛してるというし。あたしなんて、身代わりじゃんか。愛されるかどうかも分からない、最悪のパターンの身代わり。


リリエルはかわいいし、リンドウはかっこいいし、サレイはバカだと思うけどさ。

リクはどうなんだろう。


よくわからない。


あたしの中のリク像って、威張ってるただの王様だった。さっきまで。


でも、娘を心配する姿を見ていたり、キスされたり、触れられたりしていると、その像が崩れていくのが分かる。


ああ、リンドウに会いたい!


あたしは、白目を剥いて気絶した上に、前歯を一本失った王様を放置プレイして、部屋を飛び出した。


リンドウは昼から出勤したが、毎度の如く悩まされる二日酔いはなかった。


サレイは朝に出勤したが。


血生臭い匂いをとるために、安い宿の小さな風呂で身体を洗って、衣服も変えたが、身体に刻み込まれた感覚や記憶まで変わるわけではない。


騎士の剣についた人の血と脂を念入りに拭き取ったけれど、それでもどこか自分の身体に血がついているようで、少し気分が高揚していた。


サレイは、さっさと魔法士の塔に行ってしまった。サレイは朝には王宮についていたが、リンドウを心配して待ってくれていた。リンドウが王宮について、二人は軽い挨拶を交わしてすぐに別れた。そもそも、サレイの私服は目の毒だ。


無駄に肩とか腕とか背中を露出していて、白い肌を見せているし、女かと疑いたくなるのも分かるような、どこか中性的な衣服ばかりを着る。


サレイには、なんというか色気がある。他の魔法士にはない、人を魅了することに長けた者が持つ色気が。

サレイの母親は娼婦で、父親は男娼であることをリンドウは知っている。だがその天性の魔法の才で、通えるはずもない魔法学校の資金を免除してもらって通い続けていた。仕官学校では、魔法士としての全てを叩き込まれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ