2
シャーライが駆けつけて、あたしは救出されたらしい。
気がつくと、カカオが心配そうな顔であたしを覗き込んでいた。
「大丈夫ですか、サクラ様?」
「あーうん。最近よく鼻血でるなぁ、そのうち貧血になりそうだわ」
かわいかったり、かっこいいものを見たりすると、鼻血を出す。ああ、青春。
ってどんな青春じゃあああ。
トイレに篭る青春も嫌だけど、鼻血に染まる青春もいやあああ!
「陛下がお見舞いに来ておりますよ」
「やー、サクラ」
リクがいた。カカオは部屋を出て行った。こうして二人きりになるのは初めてかもしれない。
「逆上せたんだって?」
「うん」
「あのお風呂は王族専用だからな。まぁ薔薇風呂が気に入ったようでよかったよ」
「なんか、さ。印象違うんだけど?」
「何が?」
「晩餐で会った時に偉そうな態度はどこにいったのよ」
リクは、銀髪揺らした。
「あれはなぁ。まぁ堅苦しい儀式のようなものだ」
「何それ」
「そなたがどんな少女なのか知りたくてな。家臣と接するように話したのだよ」
揺れる銀髪を見ていると、リリエルを思い出す。あのすべすべのお肌。あたしもあんな風になりたいな。
とか考えていたら、また鼻血が…。
「そなた、鼻血を出す病かい?」
「いいや。興奮すると鼻血が出る体質なの」
「変な体質だな」
「そうね」
ティッシュを丸めてつめこんでやったから、大分変な顔になってるだろうが知ったことか。
そもそも、リクの王妃になる気なんてないし。
「そう、聞きたかったのはサクラの年齢だ」
「あたしの?」
「そう。何歳だ、今?」
「16よ」
ガックリ。
リクはまさに、そんな音を立てて床に膝をついて嘆きだした。
「何よ」
「11!サクラ、そなたと11も離れておる。私のストライクゾーンは18から65までなのだよ!16は範囲外だ。あと2年待ってくれ!」
「あんたの王妃になるなんてまだ応えてないわよ」
そもそもだ。
18~はいいとして。上限が65歳ってどういうことだ!
ばばあ専なのかこいつは。
いや、ストライクゾーンが広すぎる。せいぜい、40とかそこくらいまでだろ!
16がだめで65がOKってどういうことだこらぁ!!
気がつくと、あたしはリクの首を締め上げていた。
「あら、いけないわ」
すぐに暴力に訴えてしまう、いけないあたしの右手。
めっ!
……自分でやって凄く寒くなったよ。
背筋がぞわぞわした。
「リリエルのよき友になってくれ」
突然そうリクにもちかけられて、あたしは思案したけどすぐに頷いた。
「もちろんよ」
「あれは、聡すぎる故に、同じ年頃の友達がおらん。おまけに王女ときた。近づくのは貴族の子弟ばかり。それも王位を狙った、な」
「リリエル大変なんだね」
「あれがせめて男であればな。友人も何人かできただろうが。あの性格で女だと、同性からあまり好かれないのか、女の子の友達ができないんだ。できても上辺だけ。親の出世のために嫌々友人になろうとする者しか近づかん」
リクは、愛娘のことを熱く語り続ける。
「天童とまでいわれる頭の良さに加えて、きつい性格、それに親の私がいうのもなんだが、もうハァハァするくらいの美少女!あんな美少女、世界でリリエルしかおらん!」
断言した。
断言したな、お前。
この変態め!
でもあたしもそう思った!
あたしも変態だ!やっほう!
「あなたが27ってことは、リンドウは?リンドウはいくつなの?」
「リンドウが気になるか?」
リクに問いかけれてて、あたしは顔を紅くしながらも首を振る。
「ぜぜぜぜぜぜ全然!全然そんなことないしー!」
「そなた、嘘をつくのが下手だな。見ていて面白い」
真っ赤になったあたしに、そっとリクの手が添えられた。
「リンドウは私の長年のよき友。私と同じ27だ」
「27かー。もちょっと若く見えたのになぁ」
全然、まだまだいけるけどね。
あたしのストライクゾーンは12から35
って、あたしショタ入ってる!
ガーン。
今更、遅まきに気づくけど、でも16から見ての12は幼いけど、あたしが二十歳になる頃には16なんだよね。そんなに違和感ないじゃん。
ふわりと、薔薇の匂いがした。
「忘れるな。そなたは私の寵姫」
押し倒されて、あたしはドッドッドと、心臓がもう鼓動を止めそうなくらい高鳴るのを感じた。




