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最も、ここ最近サイカ王国が自国を脅かす戦争に巻き込まれたことはない。同盟国を助けるべく、騎士を動かしたことはある。
兵士でもよいのだが、騎士団を使わぬままでは、宝の持ち腐れだ。何より、無敵とまで言われるサイカ王国の騎士団。敵を蹴散らす様は、圧倒するものがある。
同盟国に恩を売り、そのかわりに同盟国から領土をもらったり、必要不可欠な輸出品などをサイカ王国優先で回してもらったりする。
サイカ王国は、海では真珠がとれ、鉄も銅も金も銀もとれる。おまけに、サファイアの鉱山まである。
他国から見れば、侵略し征服したい国家であろうが、海は面積が少なく、領土を高き神の峰と呼ばれる山々に囲まれているために、建国700年と少し。王都まで完全に侵略されたことはない。
侵略の手が入っても、国境境で止まり、神の峰を抜けることができず、王都まで他国の兵士が入ったことなど一度もなかった。
建国から708年。
元々、分裂していた多数の国々を統一したのが、サイカ王国の始まりであった。
「お父様、魔法士学校のこと忘れてましてよ」
「はえ?リリエルいたのか」
「まぁ、失礼な!会議に出席しろといったのはお父様でしょ!」
リリエルは頬を膨らませて、リクの隣だった席を立つと、騎士の人に頼んで、リンドウの隣の席に座った。
まだ7歳だもんなー。
ちょっと難しいこともあるから、てっきり寝ると思っていたのになぁ。
リリエルは、真面目に聞き入っていた。
そして、リリエルが指摘する。
「最近、魔法学校で不正が目立っているらしいわ。金で入学し卒業する輩がいると聞いたわ。そんな者に魔法士の称号を与えても、この国の不利益になるだけ。理事長を初めとして、一度取調べをしたら如何かしら?」
蒼い目を瞬かせる、ビスクドールのような7歳の幼い少女の言葉とも思えない、賢明さであった。
聡い。
その場にいた誰もが思った。確かに、リリエルはマリリアージュ王妃の子である。マリリアージュ王妃も賢かった。それこそ、リクの上をいくくらいに。語学だけでなく医学にまで秀でていた。
リリエルには語学の才能があり、すでに7歳にして3ヶ国語をマスターしている、天童である。
リクの自慢の娘だった。
それからしばらく、軍議は続き、国内のことに視点がかわり、続いて貿易に話が延びて。
こっくり、こっくりと、リリエルは眠い目を擦りながらそれでも懸命に聞こうとしていたが、眠気に負けてリンドウに身体を預けて眠ってしまった。
「まだまだ子供やなぁ」
リンドウは苦笑して、羽織っていたマントをリリエルにかけてあげた。
「リク陛下、リリエル殿下を寝室にまで連れていきます。ご許可を」
いつもの関西弁も消えた風体で、リリエルを抱き上げると、リンドウは席を立って、リクの許可をもらうと、リリエルを王女の部屋まで送った。
「まぁ、姫様。湯浴みもまだなのに、眠ってしまわれたのね。仕方ないわ、湯浴みは明日の朝にしましょうかしら」
リリエルを受け取った乳母のシャーライは、リリエルのドレスを脱がせてパジャマを着せていく。
リンドウは、シャーライにリリエルを受け渡した後、そのまま会議に出るために会議室に戻った。
今度は、肝心のリクがこっくりこっくりしている。
マジックで瞼に目玉を書いていたが、寝ているのはばればれだ。
「あほやなぁ、無理すっからや」
会議は、王がいなくなっても続けられる。許可がいることは全て書類で報告し、王の判断を待てばいい。
その他も書類にまとめていく。一番この時間に忙しいのは、筆記官であった。
会議が終わっても、リクは放置したまま。そのままリクは朝まで寝ることになった。
「よう、サレイ、たまには一杯どうや?」
犬猿の仲であると噂されているが、これでいて結構仲がいい二人。
サレイは頷いて、二人で王宮から出て、城下町のある酒場に入った。
そこは兵士などの姿も見られる。
「サクラのこと、どう思んや?お前さんからみてさ」
「どうもにもこうにも。私が一番美しい」
いつも持っている手鏡を取り出して、ふっと格好つけるサレイ。ナルシルトなサレイに、なんとも言えない顔をリンドウは作った。
「俺口説いてんの?」
「誰が貴様みたいなムカデを口説くかあああ!しゃあらぁぁぁっぷ!!」
かっと、仁王像のように目を見開いて、怒声を飛ばした友人。
サレイは、時折異国のわけの分からないカタカナの文字を使う。大体分かるのだけど。




