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神魔伝(仮) -The story of the magical way-  作者: はりぼて
The ruins of the route - 定路の終わり
3/4

003

ライナスは人気(ひとけ)のない街をひた走っていた。

いつもと同じく、見慣れた道。けれどもどこか違う道に思える。

こんなにも広かっただろうか。こんなにも静かだっただろうか。こんなにも…。

人の居ない街は足音や呼吸を吸い込み、まるで音が消えたかのようだった。

ただ聞こえるのは自分の心音と、足音と、呼吸音のみ。

まるでこの街で自分ただ独りだけが生きているかのようだった。

首を振って、不吉な考えを打ち消す。今はただシェルターへと逃げるのみだから…。


自宅前を過ぎてしばらくが経ち、いつも以上に長く感じた鍛冶通りが終わり、中央地区西の小噴水広場が見えてきた。

「やっと…これで半分だ…!!」

安堵しつつ足並みを少し緩める。

すると突如左側から崩れるような物音が聞こえた。

「なっ…う、嘘だろ!?」

土埃と野蛮な嗤い声の向こうに、悪鬼(ゴブリン)達によって破壊された北方地区が横たわっていた。

襲撃は西の怨龍(ヘイトレッドドラゴン)だけでは無かったのか?防衛軍がいたはずなのに?街が…無くなる?

ふと寒気と共に我に返ると、サーベルを手にした悪鬼(ゴブリン)が一体、こちらに向かってくる。

殺気と舐るような視線を感じる。

恐怖で息が上手くできない。頭がぐらぐらする。

そんな折、ふと手にした砲の存在を思い出した。

固まる体を動かし、トリガーと補助棒を思いっきり握りこむ。

砲弾が前へと飛んでいき…悪鬼(ゴブリン)の横をすり抜けていく。

目の前でサーベルが振り上げられた。

咄嗟に目をつぶった。斬撃音が奔る。

「…あれ?」

不思議と痛みは無い。恐る恐る目を開けた。

すると目の前には切り裂かれ、事切れた悪鬼(ゴブリン)と、男が立っていた。

見ると士官服らしき上等な服をまとっている。

「俺は中央軍の者だ。君は…民間人か?」

「は、はい…あ、ありがとうございます…」

「民間人はシェルターに急ぎなさい。お前らは急ぎ西の援護に迎え!」

「「はっ!!」」

背後から声がしたかと思うと、2人組が西へとすごい勢いで跳んで行った。

「北の悪鬼(ゴブリン)は殲滅する。君は安心してもう行きなさい。」

言われるがままに進もうとする。

「君のその銃…なかなかいい品だな。大事にしろよ。」

「あ、ありがとうございます…」

良くわからないが助かったようだ。

ライナスは震える足腰を奮い立たせ、シェルターへと進み始めた。

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