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3.旅立ち

「と、いうわけで皆さんに良いツテをお教えしましょう。ハイ」


 冒険者ギルド(ドード・ヨーン)ギルドマスター・ショーは微笑みながら、話題を変えた。


「ツテ?」


「ええ。魔王討伐に必要なツテ、ですよ。ハイ」


「魔王討伐に必要って・・・もしかして、伝説の聖剣とか!?」


 しーん。


 自分自身の発言で静まりかえったその場で、タスクは、あれ?と呟く。


「・・・あんた、相当な天然ボケか?」


 リョーに呆れたように言われ、ガクリ、と肩を落とす。


「・・・あっははは!面白い!タスクって、ホント面白い!」


 突如笑い出したのはナギ。目には涙さえ浮かんでいる。


「伝説の聖剣、なんてものはありませんよ。それは、物語や叙情詩の中の話です」


 ココが冷静に訂正すると、タスクは頬を赤らめる。


「こほん、とにかく、私が言いたいのはですね、人脈の紹介ってヤツですよ。ハイ」


「人脈?」


 全員が声を揃える。ショーはそれに頷くと、懐から封のされた手紙を取り出す。


「魔導騎士が2名に、重剣士、呪文使い。・・・アンバランスでしょう?このギルドには、他にも優秀な方々はいますが、癒し手や後方支援のエキスパートなんかは、他のギルドから紹介を受けているんですよ。なんせ、このギルドは、テストが厳しいもので、癒し手や後方支援といった能力しか持たない方々には、少々辛いものがありますのでね。ハイ」


 かく言う私も、かなり入団時は苦労したものです。とショーは続ける。


「そっか。・・・確かに、ココも治癒の呪文が使えるけど、癒し手の専門じゃないから、大きな怪我とかになると治しきれないものね」


 ナギが納得の声をあげる。


「今のままじゃ、攻撃に特化したパーティーってことになるのね。・・・少なくとも、癒し手くらいは欲しいわ」


 ミオンも頷きながら、同意する。


「でしょう?・・・だから、私の知り合いがギルドマスターをしている、神官ギルドをお教えしますから、そこで、紹介を受けて下さい。この手紙を渡せば融通してくれますから。ハイ」


 そう言って、ショーはタスクに手紙を渡す。


「ご武運を祈っておりますよ。・・・タスクくん。それから、ミオンちゃん」


 タスクはありがたく手紙を受け取った。


「ありがとうございます。ショーさん。」



***



 ギルドを出た4人は、まず物資の調達に入る。


「タスクとミオンは、旅とか慣れてる方?」


「俺は、あんまり。任務でも付近の砦まで行くくらいでしたから」


 ナギの質問に、タスクは首を横に振ると、ミオンを振り返る。


「私は、旅には慣れてるよ。・・・荷は城を出る前に作って来たから、後は、魔法薬を少し買い足ししないと」


 ミオンはにっこりと笑って、革袋を取り出す。国王から貰った費用だった。


「それから、魔王の拠点付近になると食料の調達が難しくなるだろうし、携帯食も買った方が良いね」


「・・・ずいぶん、ぎっしり入ってるわね」


「命がけだし、相応なんじゃないかな」


 手元を凝視するナギにミオンは笑いかける。


「そっちは?・・・確か、ココさんは魔法薬を買わなきゃいけないのよね」


「はい。長旅には少し足りないと思うので。・・・それと・・・杖を修理に出していたので、取りに行かなきゃいけないです」


「修理?」


 タスクが首を傾げる。


「それは、貴女のじゃないんですか?」


「・・・修理店のです。杖が無いと制御できないので・・・修理している間、貸してもらってるんです」


「ココはね、魔力が生まれつき高くて、杖が無いと暴走させちゃうのよ。たまに杖を使ってても、暴走しちゃうけど」


 ナギが補足すると、ココは申し訳なさそうにうつむく。


「そんなに魔力が強いなんて、心強いですよ。・・・相手は魔王だし」


「・・・あ、ありがとうございます。タスクさん」


 ココは嬉しそうに微笑む。


「じゃ、杖を受け取ってきますから、先に魔法薬店に行ってて下さい」


「りょーかい。・・・【ダースター】にいるからね」


「はい」


 ナギに応じたココが行ってしまうと、ミオンが首を傾げる。


「【ダースター】なんて魔法薬店、あったかしら?」


「ま、商店ギルドに正式に登録されてはいないわね」


「それって・・・非合法的な店ってコト?」


 それには答えず、にやり、とナギが笑う。


「まあ、いいけど・・・。私達を連れて行っても平気なの?魔導騎士は街の風紀の取り締まりも仕事なんだけど」


 ミオンの胡乱気な視線に、ナギは肩を竦める。


「平気よ。・・・絶対」


「それなら、いいけど・・・」


 ナギに案内され、タスク達は裏路地を進み、スラム街の方へと向かう。


「ナルホド、ナギさんが平気って言った理由がわかってきたわ」


 スラム街のど真ん中に来た時、ミオンが呟く。


 スラム街はどこの国に行っても必ず1つはある異種族達のための街だ。


 この街で行われるすべてのことが、公式記録には無かったことにされる。たとえ、疫病が流行ったとしても、入り口を封鎖されてお終いだ。


「こういう街だからこそ、あたし達みたいな冒険者には便利なのよ。・・・表の街より安いしね」


「勉強になります。・・・魔導騎士団でもこの街の情報屋とかジャンク屋とかを使ってる人がいるみたいだけど、魔法薬店もあるんですね」


 タスクが感心すると、ナギは頷く。


「まあ、なんでも屋って感じもするけど。・・・意外と柔らかいのね」


「なにがですか?」


「頭。・・・ミオンはともかく、タスクはこんな非合法なところ!って怒り出すかと思った」


「ああ、ナルホド。でも、俺、そんなに固くないですから。便利なものなら使った方が良いと思うし」


 気を悪くするでもなく、タスクは答える。


「・・・ところで、【ダースター】って、ここで良いの?」


 ミオンが尋ねると、ナギが振り向いて頷く。


「ええ、そうよ」


「しっかりとした店構えですね」


 タスクが目を丸くする。


 【ダースター】は、スラム街のどの店舗よりも、もしかしたら、表の街の店舗よりも立派な建物だった。


「でしょ~?【ダースター】はスラム街一、どころか、この国一くらい顧客の多い店なのよ。・・・王宮御用達だし」


 最後の一言に、タスクとミオンは固まる。


「お・・・」


「王宮・・・?」


 だいぶショックだったようだ。口をパクパクさせて、ナギを見つめる。


「そうよ。確か、元老院と、王族と、近衛隊が顧客リストの中に入ってたと思うわ」


「・・・この国は、おおらかよね」


「・・・そ、そうだね」


 とりあえず、この話題を終わらせたいらしい。そんな2人を苦笑しながら眺めやり、ナギは肩をすくめた。


「じゃ、早速中に入りましょ。品揃えの多さにビックリするわよ~」


 ナギに言われるまま、2人は店の中に入り、そして、感嘆の声を上げた。


「すっごい・・・」


「うん・・・」


 表の街でさえ並ばないような高級な品がずらりと棚に並び、それが安値で売られているのだ。驚かない方がおかしい。


「こんにちは~。店長いる~?」


 ナギが呼びかけると、透き通るような肌に、真っ白な髪を腰辺りまで伸ばした女性が出てくる。


「ナギちゃん。こんにちは。・・・あら、新しいお客さまね」


「そう。魔王討伐隊のタスクとミオン。2人とも魔導騎士なの」


「魔導騎士?・・・若いのに優秀なのね。カーネヤスくんが団長さんだったかしら?」


「団長のこと、ご存知なんですか?」


 タスクが尋ねると、女性はにっこりと笑う。


「小さい頃から知ってるわ。カーネヤスくんは、うちの常連さんでもあるしね」


「・・・だ、団長も」


 経費削減が叫ばれるこのご時世だ。確かに、表の街より安く良い品が手に入るなら、スラム街で買った方が良い。・・・現実は厳しい、ということだろう。


「改めまして、いらっしゃいませ。タスクくんにミオンちゃん。私がこの【ダースター】の店長、ミオリです。よろしくね?・・・見ればわかると思うけど、私はなの」


 ミオリは色素の薄い青の目を細め、薄く紅をひいた唇に笑みをたたえる。


 あまりの美しさに、タスクとミオンは見とれてしまった。


 水人族は、人族とほとんど変わらない姿をしているが、ミオリのように白い髪が特徴で、目の色も薄い青か緑という者がほとんどだ。更に、人族と比べて寿命が約3倍もあり、湖水の近くに住む者が多い。性格は温厚で、社交的な面が強い一族だ。


「・・・水人族とは、初めて会いました」


 タスクが呆然と言うと、ミオリは笑みを深める。


「そう。・・・確かに、このスラムには水人族があまりいないわね。内陸の国だから、水辺も少ないし」


「水人族って、やっぱり、水辺が好きなんですか?」


「ええ。その名の通り。・・・綺麗な水辺が側にあると、とても落ち着くの」


「じゃあ、ミオリさんはどうして・・・」


 理由を聞きかけたタスクを、ミオリは無言で首を振ることで制した。


「あ・・・。えっと、火の魔術の補助薬(ほじょやく)ありますか?」


 とっさに話題を変え、タスクは店内を見回す。


「どんな物が良いかしら?いろいろ種類があるけれど。・・・いつも使っているのはどれ?」


「いつもは、召喚薬(しょうかんやく)で代用しているので・・・」


「あら、そうなの?・・・じゃあ、補助薬では比較的初心者向きのモノが良いわね。・・・だけど、召喚薬は専用じゃないから、威力が激減しているでしょう?よく使い続けてたわね」


 ミオリが首を傾げると、ミオンがそれに答える。


「実戦ではあまり呪文は使いませんし、訓練で安価で威力の低くなる物を使ってるんです。召喚薬が一番安いし、効果も低いので」


「そうねぇ、魔法薬は高いものね。・・・召喚薬って、元々は召喚師がいた頃は良く使われていたけど、今は、召喚師自体滅多に見なくなったから。習熟するまでにやたらと時間がかかって、目指す人が少なくなったって聞くけど」


 ミオリは思い出したように、呟く。


「ミオリさんは召喚師を見たことがあるんですか?」


「あるわ。もう、10年くらい前かしら・・・。同じ水人族の男性でね。かなり若くして召喚師になったのではないかしら。確か・・・40歳くらいで、マスタークラスになってたもの」


「・・・スゴイ人ですね」


 タスクが感嘆の声を上げると、ミオリはクスクスと笑う。


「ええ、例の魔王を倒した勇者のパーティーに参加していたらしいの。・・・でも、魔王と対峙したとき、その召喚術は役に立たなかったって言ってたわ。ワケは教えてくれなかったけど」


 ミオリは少し残念そうに言うと、棚からピンク色の液体が入った瓶を手に取り、タスクに渡す。


「コレが、一番使い勝手が良い補助薬。・・・タスクくんは、火の魔術が得意なのかしら?」


「はい。火と風と光の魔術と相性が良いみたいで・・・」


「じゃあ、補助薬はコレと、あと、この緑のがいいわ。・・・光の魔術には補助薬じゃなくて・・・ああ、これこれ。光石(こうせき)の指輪」


 ガチャガチャとミオリはタスクの腕の中に魔法薬やら道具やらを積み上げていく。


「こ、こんなにいっぱい必要なんですか・・・?」


「そうよ、呪文使いなんて、もっといっぱい魔法薬を使うんだから」


「そうなんです~・・・。だから、表の街で素直に買い物なんて出来ないんですよぉ~」


 ミオリが言うのと同時に、背後からココがおっとりと付け加える。


「ココさん。もう、杖は受け取ってきたの?」


「はい」


 ミオンが尋ねると、ココは頷いて持っていた包みを開いてみせる。


「“四精霊(しせいれい)の杖”・・・ミオリさんが私専用に仕入れてくれたモノなんです。それまではしょっちゅう杖を壊してばかりいて・・・」


「ココちゃんは、魔力が高すぎるの。だから、ちゃんと専門職の人が作った魔力の宿っている杖を使わないとね」


「でも、杖って高くって。・・・それで、その事をミオリさんに相談したら、この杖を安価で仕入れてくれたというわけです」


 にこりと笑って、ココは杖を抱きしめる。


「この杖に何度助けられたかわかりません」


 魔力の宿った杖の相場は知らないが、恐らく表の街で買えば、家が2、3軒建つくらいの料金を取られるだろう。ならば、安価な杖で使い回した方が良いはずだ。


 ミオンに説明を受けて、タスクはミオリを見る。


「どうして・・・そんなに安いんですか?」


「それはね、商品を直接買い付けに行ったり、水人族の仲間に調合士がいるからほぼ材料代だけで魔法薬を作ってもらったりしてるの。だから安いのよ。ちょっと手数料だけ上乗せすれば、もうそれで十分な利益があるから」


 スラムは敷地に対する税もかからない。国に納付するのはスラムに住むための住民税のみだ。


 だから、表の街のように余計な費用がかからない分、安くできるのだとミオリは微笑みながら付け加える。


「買い付けって、ミオリさんが直接行くんですか?」


 ミオンが尋ねると、ミオリはまさか、と笑う。


「私、交渉能力はゼロなの。だから、以前は仲間の調合士が作る魔法薬だけを売ってたんだけど、今は私の養女が交渉から仕入れまで全部やってくれてるわ」


「養女?」


「そんな話、初めて聞いた」


 ココが首を傾げ、店内を歩き回っていたナギが話に加わる。


 ミオリはそうだったかしらと呟く。


「あの子、滅多にここには帰ってこないから。ついつい紹介しそびれてたのね。・・・でも、王宮へ物資を届けに行くのは、あの子の役目だから、月に一回は王宮へあがってるはずよ。会ったこと無い?」


 タスク達を振り返るが、タスクには覚えが無く、ミオンに視線を向ける。どうやら、思い当たる節があったようで、ぽつりとミオンは呟く。


「・・・カナ?」


「あら、ミオンちゃんは知ってるのね。そのカナがうちの娘よ」


「王宮で何回か会って、話もしてますけど・・・人族を養女にしたんですか?」


「ええ。あの子はもともと水人族の集落に出入りしていた商人の娘でね。まあ、色々あって、私が引き取ったのよ。商才もあるし、何より度胸があるから、頼りにしてるの。・・・元気な子でしょう?」


 ミオンは一瞬、うっと詰まる。タスク達が怪訝な目で見ると、はあ、と溜息をついて頷く。


「・・・元気すぎるほどに。・・・何度、大臣達の寿命が縮んだか・・・」


「あらあら。・・・でも、国王陛下は気に入って下さっているようだけど」


 にこにことミオリは笑顔のままだが、ミオンは尚も困ったような、戸惑うような表情を浮かべている。


「あの内向的な王が、カナは大のお気に入りで・・・。月に一回の納入の日をすごく楽しみにしていらっしゃいます。・・・あの、歯に衣着せぬ物言いが小気味良いとかなんとか」


「まあ。・・・うちの子もなかなかやるわね。国王陛下のハートをゲットしちゃうなんて」


―――親バカ?・・・親バカだ。


 一瞬、全員の頭にその言葉が浮かぶ。


 ミオリはそんなことは全く気付かないようで、大サービスしちゃう、と機嫌良くタスクの腕の中とココの持っている袋の中に魔法薬を詰め込んでいる。


「あ、あの、こんなには・・・あ、ちょっと・・・」


 困惑したタスクが遠慮の声を上げると、ミオリはにこっと笑って、手を差し出す。


「これに、2ヶ月分の携帯食をつけて、全部で、1250フェイ(世界通貨)ね」


「これで!?・・・たったの1250フェイ!?」


 仰天したのは、タスクだけではない。ミオンもナギもココも驚きで目を瞠っている。


「魔王を倒すんでしょう?私達の生活の安全を守るために。・・・商売ですから、少しは戴くけど、命がけで私達のために戦ってくれる人からいっぱい貰うわけにはいかないわ」


 ミオリの目に気遣う色が浮かぶ。


「・・・頑張ります。皆さんのためにも」


 タスクが頷き、料金を支払う。


「大体のルートを教えておいて。・・・カナに色々と届けさせるわ。必要なモノがあれば、遠話(の呪文)で教えてちょうだい」


「・・・はい。ありがとうございます」


 人の親切が身に染みるとはこういうことなのだろう。感謝の気持ちを深々と頭を下げることで表わし、タスク達は【ダースター】を後にした。



***



「・・・ミオリさん、こんなにいっぱい詰め込んでくれました」


 ココが袋を開けて、覗き込む。袋がいびつな形になるほど魔法薬がぎっしりと詰まっている。


「私がよく使う魔法薬ばっかりです。・・・手当たり次第って感じだったのに、ちゃんと選んでくれてたんですね」


「そこがミオリさんのスゴイところよね。・・・ちょっと説明しただけで、その人に合う薬や道具を選んでくれるんだもの」


 ココの言葉に同意して、ナギはにこりと笑う。


「ご贔屓にしてあげてね、タスクもミオンも」


「もちろんですよ。・・・こんなに良くして頂いて・・・」


「そうだね。・・・もっと前から知ってたかったね」


 タスクに同意して、ミオンは頷く。


 一行はスラム街を抜け、北門へと向かった。


 この城下町には東西南北に門があり、それぞれに通行証の確認をしている。城下町を出る者、そして、入る者。すべてここで管理されて、王宮へと報告される。


 この北門は、滅多に人が通ることはない。魔導騎士達の任務の際に開かれるくらいで、一般の旅人達は北側に用事があっても、北門は避けるのが慣例になっている。


 この先は危険な地帯になっているからだ。


「さあ、ここからが始まりだよ、気を引き締めていこうね」


 先頭を歩いていたミオンが3人を振り返る。


「北門から・・・ノースレスト砦までは安全に行けると思いますが、そこから先は野盗やら獣やらがたくさん出てきます。ショーさんの紹介してくれた神官ギルドはノースレスト砦から北西へ更に進んだところにあるみたいですね」


「あたし、この国の北側へ行くのは初めてだわ。・・・魔物の生息エリアに近い上に、翼ある者・レラ族の勢力圏だから・・・」


 ナギが戸惑ったように北門を見上げる。


「レラ族・・・魔物よりやっかいですね。・・・しかし、そんな場所に神官ギルドを建てるなんて、どんな強者なんでしょうか」


 ココも眉根を寄せて呟く。


「とりあえず、日没までには着きたいね。・・・急げば、夕方にはギルドに着くと思うよ」


 ミオンが地図を広げる。


「じゃあ、急ぎましょう」


 タスクは北門での出国手続きを済ませ、通行証をそれぞれに返す。


「開門!」


 重い音を立て、門が開かれる。

 

  静かに運命の歯車が回り始めた。魔物の生息エリアに程近いこの国から、魔王居城までは歩いていけば約2ヶ月。


  魔王討伐隊の初日はこうして旅立ちを迎えたのだった。

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