第15話 【約束】
アモルが新たに仲間に加わったことで私とアモルは従者契約を行った。
その後、アモルにはオメガの金庫番及び商売部門での収益を担ってもらうことにした。
アモルをカイの下につけたのは理由がある。
カイの情報網は必ずや商売にも利用できると思ったからだ。
カイからの直接の指示伝達と、アモルの商売の才、これが上手く噛み合えばきっと素晴らしい結果を出してくれるはずだ。
そのため、彼女には商売で役に立つように【鑑定】と【転移】を付与し、さらに【交渉術】なる加護を作成し付与した。
そして「オメガ商会」として商人ギルドに登録してもらい、商会の代表として表に立ってもらうことにした。
盗賊アジトから回収したお金と、カイによって闇取引で売買した財宝類の総額はなんと、5億ギル!
驚きの収益となった。
とりあえずこれでエマの奨学金と、カイの学費生活費もまかなえるようになり、一安心である。
アモルには引き続き、商会の発展と併せて卒業後に拠点となる建物を至急探すように指示した。
私達の作戦についての世間の様子については、やはり次の日には街は騒然となっていたようであるが、カイに暗殺された冒険者パーティー達は黒い噂の絶えないパーティーだったようで、相当数の恨みを買っていたため容疑者不明として終結した。
さらに盗賊については、私達が襲撃した後に現場を発見した、とある冒険者らが懸賞金がかかった盗賊の遺体を回収し、自らの功績として虚偽申告して多額の懸賞金を得たようだ。
どうあれ、丸く収まって安心である。
私達の冒険者稼業についても次のランクアップに向けて着々と準備を進めている。
私の基本能力は400を超えAランク相当まで引き上げた。
4人の美女達についても各々の適正基本能力を300超えにまで成長させ、こちらはBランク相当にまで引き上げた。
とりあえずこれで次のCランク昇級試験も問題ないであろう。
しかし能力が上がればその動きに慣れていかなければならないので、迷宮探索は休日度に行っている。
そんなある日の迷宮で、私達が20階層をまわっている際、あるソロ冒険者に遭遇した。
それも剣が折れてかなり危険な状況で…
「エマ!助けてあげて!」
「はいっ!」
エマに助太刀をさせて事なきを得たのであるが、そのソロ冒険者は瀕死の状態にも関わらず、私達に丁寧に頭を下げ、何も喋らずに立ち去った。
「ん?鬼人族かな?…美人だったね…」
仲間達の視線が痛い…
彼女はおそらく鬼人族。
青い髪に青い瞳、額の中央部に短いツノが見えていた。
そして…立派な…胸…
仲間達の視線が痛い…
そしてラムダが呟いた…
「…どっかで見たことが…」
貴重な休日の迷宮探索を終え、夕刻ギルドに換金に訪れたところ
「ロザさん!いい加減にして下さい!本当に死にますよ!ソロで活動できるレベルじゃないんです!ギルドマスターに言ってDランクからEランクへのランクダウンを進言しますよ!」
誰かが怒られている。
ふと目を向けると、さっきの瀕死の鬼人族の女の子だった。
「あ!やっぱりロザか!どっかで見たことがあると思ってたんだ」
ラムダが叫んだ。
ロザと呼ばれた子は受付の女性から怒られて泣きそうな顔をし、うつむいている。
「ラムダ、知り合いか?」
「同郷のハイエス共和国の元貴族の令嬢だ。私達と同じ歳だよ」
「元?貴族?」
「そう、私が学院に来る少し前、たしか取り潰しになった貴族の令嬢だわ」
とりあえずラムダの知り合いなら放ってはおけない。
「あ、すみません、うちのラムダの知り合いなんで、あとはこっちで面倒見ますから…」
半ば強引に私は受付からロザを回収した。
「ロザ…なんでここにいるんだ?何してるんだ?」
ラムダが彼女を問い詰めると同時に、隅のテーブルに連れて行き私達は彼女を囲んだ。
彼女は目に涙を浮かべるも喋ろうとしない。
「アルファ、みんな、すまない。この子は昔から寡黙であまり喋らないんだ」
「いいよ。無理に喋らせなくても。事情があるんだろう?」
しばらくの沈黙の後、ようやく彼女の口が開いた。
「私…ラムダの後を追って…きたの。取り潰しにあった…あの国では生きて…いけないし…」
「え??」
ラムダが1番驚いた。
「え?どういう事?私を追いかけて?」
ロザは頷く。
「昔…約束した…一緒に冒険しよう…て」
とりあえず、少し落ち着いてきたとはいえ傷だらけの彼女の体をミューに回復させた。
そして時間をかけてゆっくりと話を聞いた。
ロザは幼少期のラムダの顔見知り。
幼い頃にラムダと一緒に冒険をしようと言った約束を叶えるために、故郷を捨てイスニアまで来たそうだ。
しかし取り潰しにあった元貴族令嬢、お金も爵位も何もない。
あるのは鬼人族特有の剛腕のみ。
ところが、イスニアに来たはいいが、そこで見たのはすでにパーティーとして活動するラムダの姿。
どうすることもできずに、ソロで戦ってきたものの、Dランクで壁に当たっていたようだ。
「はぁ…どうにかしてるよ…」
ラムダが頭を抱えるが、私は好きである。
こんなにも愚直で真っ直ぐな人柄は…そして美人で胸も…
視線が痛い…
とりあえず冒険者ギルドにアモルを呼び出し、
明日からの日中のロザの世話を命じた。
食事なども援助するように伝え、宿はアモルの隣室を抑えるように併せて指示を出した。
夕方からはラムダが対応できるが、日中は私達は授業があるからだ。
突然の同郷との再会、ラムダも少々困惑気味ではあるが、私は好きだ!…美女だし…胸が…
…視線が痛い…




