絶望をを見るのは明日でもいい
カクヨムにも連載しています。
篠原が運転してる黒の車は森へと入っていく。
「おっこの先にいるね!」
乗り捨てられた2つのバイク。急ぐようにして木が生い茂る森に入ったようだ。
「逃げてもいつまでも追い続けるぞ!」
車を降りトランクを開ける。
トランクから鉄と硫黄が混じり合った匂いが鼻に付く。
中には銃や刀、手榴弾といった武器が入っている。篠原は黒いゴーグルのような物を取り出す。
「悪いが人数不利だぜこっちは!これぐらい許してもらわねぇとな!」
暗視スコープを着けた。
そして篠原は何故か刀を2本持って森へと足を進めた。
◇
篠原到着の数分前。
「時間がない。手短に作戦を立てるぞ。」
トーヤが怒りを抑え冷静に話す。
「とりあえずぶっ殺す!!!!」
暗い森中に響き渡る。
「声がデケェよ。オウガ。」
「悪い……アイツを殺さないと怒りがおさまらねぇよ!」
「俺もだ。だが、冷静にならないと奴を殺せない。」
「そうだな。」
オウガは思いっきり深呼吸をした。
「ルナ。お前銃弾残り何発だ?」
「3発……。」
「俺は残り1発だ。」
「なんでお前ら当たり前のようにチャカなんか持ってるんだよ」
オウガ正論を言う。確かにその通りだ。
「それは後だ。ルナ、弾補充はできるか?」
「できない……」
「わかった。」
「奴が警戒しているのは俺かルナの2人だ。オウガは俺のを持ってくれ。いざとなったら使え。」
拳銃を渡す。
「奴に持ってないと錯覚させろいいな。」
「おう。」
「ルナは奴の注意をひいててほしい。頼めるか?」
「うん……。」
「すまない。」
「……三手に分かれるから誰に来るかが運頼みだがな。」
◇
篠原は刀を背負い二丁目の銃を持ちゆっくり森を歩く。
(足跡が枝分かれしているね)
(この場所からトライアングルにでも分かれたか?わかりやすいね!)
(まぁ油断は禁物だね)
篠原は枝分かれした一つの足跡を辿る。
足跡が途切れているその上、草むらの前に靴が置かれている。
「これどう見たって罠だよね!」
すぐさま振り向く。
「ここでしょ。」
バンッ!バンッ!
背後の草むらに撃ち込む。
ガサッ。
「シネェ!!」
オウガがすかさず靴の前にあった草むらから現れる。
篠原に向かって飛びます。
「見た目の割に頭回るんだね!」
篠原の脇の下から銃口が飛び出す。
バンッ!バンっ!
「クッ!!」
脇腹と左足に被弾した。
それでも止まらない。
オウガの暴れ牛のような突進が篠原の背中に当たる。
「重ッ!」
ガンッ!
木に叩きつける。
「オウガ!!」
別れていた2人が銃声でこちらに向かってくる。
「お前らコイツにトドメだ!!!」
オウガは腹と左足から出血している。
血の匂いが鼻を刺激する。
それでも木にに抑えつけている。
「避けろ!!オウガ!!」
篠原の左足から刃物が顔を出した。
「クソッ!」
手を離すしかなかった。
「残念!」
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3人は篠原をトライアングルで囲む。
およそ距離は7メートルって言ったところ。
篠原の声は森中に響き渡る。
「なんで誰も銃を出さない!」
「切り札のつもり?君たちのエイムじゃ当たらないのに!」
「黙れ。」
その言葉はを放ったトーヤからは殺意しか感じられなかった。
「オウガ、平気か?」
「かすり傷だ!!」
だが、オウガは腹を抑えている。
「……無理をするな。絶対に、だ。」
「おう!!」
「……」
(この暗さじゃ当たらない……)
(至近距離で撃たないと…!)
(そうだ……私がアイツの注意を引くんだ。)
(じゃないと2人が死んじゃう……!!)
腰にある銃に手を伸ばす。
(今なら多分行ける……)
篠原の背後に位置にいる。
すぐには対処できないはずだ。
その時だった。
「誰も来ないなら俺が行くよ!」
篠原は180度体を傾けた。こっちを見た。
「えっ……」
篠原が突っ込んできた。
予想外アイツから来るなんて。
銃を構える。
手先が震える。
左手で押さえて引き金を引いた。
バンッ!
「見えてるよん!」
手元で軌道を読まれた。
でも、捉えた。
バンッ!
当たらない。
そして彼は視界にいない。
(飛んだ……!)
篠原は横にあった木を蹴り中に浮いた。
そして片手に持っていた銃を捨てた。
彼は片手で枝を掴み、ターザンの要領で勢いをつけた。
「フォウ!」
3メートルぐらいの高さからこちらに向かって飛びかかった。
篠原は片手に持った銃を向ける。
だが、アイツの方が圧倒的に不利だ。
(落下中は避けられない!!)
ルナはよく構えた。
ほぼ同時に引き金を引いた。
シュッン!
バンッ!
一瞬早く打ったのは篠原だった。
篠原に被弾する弾は直前座標がズレた。
(外した……!?)
確実に当たる軌道だった。
どうして。
(違うアイツが撃ったのは銃じゃない!!)
ワイヤー銃だ。
アイツは前方の木に撃って速度を上げたんだ。
篠原が勢いをつけてこっちに飛んでくる。
引き金を引いた。
カチャッ。
弾切れ。
篠原は足を顔に向けた。
(まずい……!?)
グチャ。
勢いがついた蹴りが顔面に直撃した。
衝撃で吹き飛ぶ。
ガンッ!
後方の木に思いっきり頭をぶつけた。
「………」
意識が完全に消えた。
奴が近づいてくる。
先ほど落とした拳銃を拾いルナに向ける。
「まずは1人目!」
バンッ!
その弾は空中へ飛んでいく。
「させねぇよ。」
蹴りで座標をずらす。
「トーヤ君かっこいいね!」
ドガッ!!
篠原は背後から後頭部を殴られる。
「やれ!!トーヤ!」
一瞬よろけた篠原にすかさず追撃を入れる。
1発、2発、3発、オウガとトーヤによる拳蹴りは止まらない。
篠原に隙を作らせない。
だが、ほんのわずか篠原は腕をトーヤに向ける。
「避けろ!!トーヤ!!」
バンッ!
鉄の塊はトーヤの肩を貫く。
「イテェ。」
致命傷は避けた。
しかし、
「離れろオウガ!!」
回し蹴りが飛んでくる。
「ガハッ……」
オウガの撃たれた脇腹に直撃した。
「クソッ!!」
腹を抑える。
篠原が近づいてくる。
「2人目いや1人目だ!!」
オウガに焦点を合わせる。
トーヤ背後から殴ろうと走ってきている。
「残念こっちだ!!」
バンッ!!
狙っていたのはオウガではなかった。
「はっ……トーヤ!!」
オウガが森中に響き渡る声で叫ぶ。
胸に直撃した。
倒れ込む。
ボロボロのオウガを見る。
「やっと1人目だ。でもすぐ2人目になるね!」
「お前は絶対殺す!!!」
「怖い怖い!」
カチャッ。
銃を構える。
オウガは歯を食いしばり拳を構える。
「しねぇ!!」
「残念死ぬのはそっち!!」
カチャッ。
「弾切れじゃん!」
オウガは踏み込んで全力の拳を放った。
だが、遅い。
軽く拳を掴まれた。
「もう君立ってるので限界だよね!」
篠原は彼を突き飛ばす。
そして背中にある刀を一本抜く。
刃を向ける。
踏み込む。
右から左へと降っている。
オウガは後ろに下がった。
だが、刀を握った拳を捻り軌道を変えた。
グサっ。
刃をオウガの腹を貫通させた。
「2人目!」
「何勝った気でいるんだ!!」
オウガは笑った。
「君気持ち悪いね!」
オウガ突き刺さった刃を両手で強く握る。
「今だやれ!トーヤ!!」
その瞬間心臓を撃たれたトーヤが篠原の首を両手で締め上げた。
「カッ……」
篠原は握った刀を抜こうとするが抜けない。
「オウガ!俺ごと撃て!!」
「ああ!!」
オウガは震える手でポケットから銃を取り出した。
心臓に構える。
最初で最後の1発。
「これは死ぬね!」
篠原は撃たれる瞬間笑った。
「死ね!!!」
バンッ!!
心臓を撃ち抜いた。
「ガハッ!!」
篠原から力が抜けていく。
バタン。
オウガが倒れる。
「オウガ!!!」
近寄る。
重傷だった。
腹は切り裂かれ足は出血している。
「よぉ!トーヤナイスだった!」
呼吸が荒かった。
「あぁ。オウガが気を引いてくれたおかげだ。」
「トーヤ、お前なんで撃たれたのに死ななかった?」
「胸ポケットに入ってた時計のおかげだ。」
「運のいい奴め!」
オウガは無理していつものように振る舞っている。しかし、限界は近い。
彼自身も悟っていた。
「オウガ……すまない……。俺のせいでお前の仲間を沢山死なせた。俺が巻き込んじゃったせいで……」
「親友が困ってたら助けるのは当たり前だろ!気にすんな!ゲホッゲホッ。」
彼の口から血が溢れ出す。
「それに俺が選んだ選択。お前に責任はない…。」
「だけど……」
「黙れ!」
「すまない……」
「そんなことよりトーヤ楽しい話をしようぜ。」
「あぁ……」
「そうだな。お前が教室でうんこを踏んだ話でもするか!」
「おいやめろ。その話は……」
「傑作だよな!教室でうんこをした奴じゃなくてお前が虐められるなんてな!ゲホッゲホッ。」
「意味がわからねえょ。」
「楽しかったな!お前と過ごせて。」
「俺も最高に楽しかった。オウガ……」
「高校が違って中々会わなくなったがこうして最後に会えてよかったぜ!トーヤ!」
オウガはゆっくりと拳を挙げる。
「ありがとう……オウガ。」
コツン。拳を合わせる。
「別れじゃねぇ!これは再会の約束だ……。」
「あぁ。」
「じゃなあ、トーヤ…………」
オウガは静かに息を引き取った。
顔は満足して後悔など感じさせなかった。
「オウガ………………!!」
涙が止まらない。
◇
背後からゆっくり立ち上がる者がいた。
「ルナ……起きたか……」
「はぁ……なんでお前が!!!」
そこに立っていたのは心臓を撃ったはずの篠原だった。
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