覚醒とB級1位の男
カクヨムにも連載しています。
親友の亡骸の前で膝をついてひたすらオウガの拳を強く握る。
「ごめんな………」
すると、
後ろで誰かが起き上がった後が聞こえる。
「ルナ……起きたか……」
振り返る。
信じられなかった。
「はぁ………なんでお前が生きているんだ!!!」
そこに立っていたのはルナではなく篠原だった。
篠原は歯を思いっきり出して笑う。
突然上着を脱ぎ出す。
「防弾チョキ!!」
篠原の上半身には防弾チョキがあり心臓部分が凹んだ形跡があった。
「残念だったね!そこのお友達死んで!」
「黙れ……!その薄汚ねぇ口を閉じろ!」
怒りが止まらない。
親友が死んだ悲しみよりも。
「閉じてたよ!そいつが死ぬ前では。」
奴のトーンが変わった。
「実はそこのお友達を尊敬したんだ。自分の腹に刀を刺されてもなお諦めずに立ち向かったんだ!」
「最後に俺を撃ち抜いた!尊敬する要素しかないね」
「だからお友達が死ぬまで黙っててあげたんだ。」
間が開く。
「まぁ無駄死にだっけどね!!」
ニヤリと思いっきり口を開いてみせて歯茎がハッキリと見える。
「きもちわリィ……こんな人間が生きてていいのかよ!」
「なぁオウガ……」
返事は返ってこない。
「死人に口なしってのはこういうことだ!!」
「お前は絶対殺す!!」
トーヤの黄色の目は奴を鋭く睨みつける。
「やってみるだね!相手してあげるよトーヤくん!」
篠原は背中にあるもう一本の刀を抜いた。
「拾いなよ。そこの刀。」
足元にはオウガの命を奪った刀が落ちている。
刃には彼の血がベッタリくっ付いている。
ゆっくり手を伸ばす。
「ごめんな……」
「じゃあ殺ろうか!」
篠原は刀を構える。
「すぐに終わらせる……!」
怒り、悲しみ、ありとあらゆる感情が混じり手が震える。それでも奴に刃を向ける。
お互い間合いを取る。
距離は3メートル程度。
(刀なんか振ったことねぇよ。)
奴と腕の差なんてハッキリしている。
それでも奴に立ち向かわないといけない。
親友の仇だから。
ただ目の前のこいつを絶対殺す!!
(なんだ……?)
違和感。
視界がぼやける。
篠原が2重、3重に重なって見える。
奴から残像のようなものが見える。
(頭に血が回ってねぇのか……クソッ。)
お互い円を描くようにすり足で移動する。
一歩、一歩進む。
どちらも動かない。
(チッ。奴が重なって見えずれぇ。)
こう着状態。
先に動いたのは篠原だった。
左足を思いっきり踏み込んだ。
(速ぇ!?)
そう思った頃には刃が首元にあった。
防げねぇ。
グサッ!!。
刀が首元に刺さる感覚があった。
(は……?)
死んだと思った。しかし、刀は首をすり抜けて行った。
それは残像だった。
すると残像は消えた。
(意味わからねぇ……)
奴の本体はまだ動いていなかった。
そして奴は残像の動きを再現するかのような足取りを始めた。
理解した。
(奴は残像の通りに動いてやがる!)
左足を思いっきり踏み込もうとしている。
(来る!!)
刹那、高速で近づいてきている。
奴は再現通り首元を狙って来ている。
まだ回避はしない。
耐えろ。まだだ。油断させろ。
「もらったね!」
推測通り、反応できていないと思ってやがる。
正面から飛んでくる奴に対して刃が当たる瞬間左に飛び刀を上げる。
「やるね!」
俺がいた場所に奴は突っ込む。
一瞬隙ができた。
「この世から消えろ。」
ザクっ!!
感触があった。そのまま振り下ろす。
「痛えよ!クソガキっ!」
奴は刀が刺さった腕を振り解いた。
そして後方に離れて行った。
すると何かが落ちる音がした。
鼻をつくような血の匂いが充満している。
それは左腕だった。篠原の肘から先はなかった。
「トーヤ君!!君絶対殺す。死んでも殺す。」
奴からケラケラとした笑いが消えた。
また距離が空くおよそ4メートル程度。
篠原は片手で刀を持っている。
左からは血が垂れている。
奴が少し動く。
するとまた残像だ。
映像のコマ割りのようだ。
残像は刀を持ったまま右手を内ポケットに突っ込む。
そして銃を取り出した。
バンッ!バンッ!バンッ!
音はしなかったがそう聞こえた気がする。
銃弾は首、腹、顔に命中した。
その瞬間残像は消えた。
篠原は再現通り胸ポケットに突っ込む。
そして銃を取り出した。
刹那時計回りに走る。
バンッ!バンッ!バンッ!
木の後ろに隠れる。
軌道は少し変わったが被弾はしなかった。
「……」
篠原は何かに気づいたようにトーヤの事を見ていた。
「君未来見えてるよね!?」
「さぁな。クソ以下のお前の行動なんて読めるに決まってろだろ……」
言いかけてる途中奴は何かを投げた。
よく見えない。
その物体は円を描くように宙に飛ぶ。
だが最大高度の時見えた。
月明かりで全貌を表した。
手榴弾だ。
気づくのが遅れた。
とにかくその場から飛び出した。
が間に合わない。巻き添えを喰らう。
コトン。
地面に落ちた。
数秒経っても爆発しない。
その光景を見て篠原は笑った。
「理解したよ!君の未来視は自分で使えない!おまけに死ぬ攻撃を喰らう時しか見えない!」
「なら簡単だ!死なない攻撃を送り続けるだけだね!」
(奴のおかげで大体はわかった。あの狐面と同じようなものか……?)
「未来なんて見えねぇよ。」
「バレバレだね!」
奴と向かい合う。
刀を構える。
奴は銃を構えている。
バンッ!バンッ!バンッ!
躊躇なく撃ってきやがった。
左右の頬にかする。
かすり傷で済んだ。
「お前全部撃ったら弾切れだよな!」
篠原に向かって走る。
奴は刀を拾った。
最後の瞬間だ。
篠原が構え、俺が走る。
奴は上半身を刀で狙っている。
だが残像は見えていない!
なら狙っている位置は足元!
刀が混じり合う瞬間足に全ての力を込めて飛んだ。
予測通り足元スレスレを刀が通って行った。
刀を飛び越えた。
後ろを取った。そして奴は刀を振った。
前方にある。
防御もできない。
貰った。
グサッ!!
俺の刀が奴の体を貫いた。
「グハッ!!」
篠原は口から血が溢れ出して手にしていた刀を落とした。
「お前は命を奪いすぎた……突然の報いだ……」
「トーヤ君は人殺しだね……」
「お前は人なんかじゃねぇよ。」
「ははっ酷いこと言うね……ゲホッ……」
「君から時計を奪うように……ゲホッ……命じた依頼人だが……現首…….相浅間弘一だ。」
「首相だと……!?」
「そうだよ……。依頼人はそいつだ……後君は終わりだ。俺は……一度任務をしくじった……だから監視されてる……聞こえ……るかヘリ……の音……が……」
「おい!!」
もう既に奴は死んでいた。
ゴゴゴゴ!
空中に鉄の塊が現れる。
深夜の森に本来ないはずの音が響く。
暗黒に包まれた森をライトが照らす。
それは見つかってはいけない光。
するとその光がこちらに向いた。
あついらは味方ではないそれだけはわかる。
意識を失っているルナに駆け寄る。
「おい!ルナ起きろ!」
動かない。
「クソッ!!」
ルナを肩に背負いこの場から立ち去るしかなかった。
撃たれた肩からズキンっと身体中に駆け回る。
それでも進むしかない。
「すまない……オウガ……!!」
親友の亡骸を置いていかなければならない屈辱。
ゴゴゴゴ!
ヘリが真上にいる。
すると中が開いた。
隊員が降りてくる準備をしている。
「チッ!」
ルナを背負いとにかく闇の中へ走った。
背後を見る。
奴らは既にロープで地上に降りている途中だ。
走る。体が痛くたって走る。
後ろから声が聞こえる。
奴らの声かいや違う。もっと高い声で真後ろから聞こえる。
「どういう……状況なの……??」
「ルナ目を覚ましたか!説明は後だとにかく俺から降りてくれ!」
「うん。わかった……」
ルナを下ろそうとした瞬間だった。
銃弾の残像が走った。
「いや降りるな!」
「えっ……?」
ダダダダ!
機関銃だ。既に奴らは地上に降りていた。
ルナを抱えたまま残像で見た安全な場所で一時凌いだ。
「今のは……未来視?」
「わかんねぇが死ぬ攻撃を受ける時に見えるんだ。」
「とにかく今は俺から離れるな死ぬぞ!」
銃弾がやんだ瞬間走り出す。
ルナはトーヤの背中に乗りながら考えていた。
(トーヤの力は異能…….でもどうしてガーディアンは来ない?)
(トーヤの異能は永続型なの……?)
(それになんで異能が使えるの……?)
「!?」
ダダダダ!!
銃弾が森一体を貫く。
だが、トーヤにはどこが安全なのか見えていた。
「すまんルナ限界だ。降りてくれ」
「うん……」
2人は走った。
背後からライトが照らしている。
奴らは俺たちを確実に殺す気でいる。
汗が止まらない。息が切れる。足が動かない。
すると目の前に小屋が現れた。
「ルナここでやり過ごす。」
追手と距離は少しあるだが100%見つかる。そんなことはわかってる。だが、もうこの小屋に何かがあること賭けるしかない。
「うん……」
小屋をゆっくり開ける。
中は使われていなく荒れていた。
「隠れるぞ。」
何もなかった。やり過ごせるわけがない。かと言って森にいても逃げれるわけがなかった。
ドタドタっ!
外から足音が聞こえる。
複数人の足音だ。
もう囲まれている。
「クソッ!」
わかっていた。こうなる事を。
そんな中ルナは1人考えていた。
(あの後アイツはどうなったの?この部隊は何?)
(こんなところに逃げても囲まれて終わりだよ……)
(私1人だけなら時計を使えば逃げれる……でもトーヤは……)
外の音が響く。突入の準備だろうか……いや小屋ごと撃ち込む気だ。
トーヤひたすら何かないか探している。
繋がった。
(トーヤは異能が使える!ってことはエージェントの子供ってことは時計が使える!)
「トーヤ腕時計をつけて!早く!」
カチャカチャ。
外から装填音が聞こえる。
「腕時計か了解だ。」
「そのまま動かないで!」
トーヤの時空間跳躍時計を一回転させて秒針と長針を12に合わせる。
「トーヤ合図をしたらリューズを回して!」
そして私のも同じようにする。
「今!!」
2人は一斉にリューズを回した。
その瞬間2人の姿が消えた。
ダダダダ!!
同時に小屋が跡形もなく破壊された。
2人の視界は瞬く間に変わり星々が映し出され一つの星の輝きで視界が真っ白になる。
すると2人は真夜中のプライムの他世界統制局前にいた。
「ルナ。ここはどこだ?」
「説明は後……着いてきて……」
道路は整備されているが辺りの景色は一面雪月照だった。
ルナに着いていく、早歩きだった。
真夜中の未知の世界を歩いた。
「ルナここは一体どこなんだ?」
ルナの顔は青ざめていた。
何かに恐れているようだった。
「平気か?」
「大丈夫……」
トーヤはとにかくルナを追いかけた。
するとこんな時間なのに通行人がいた。
それもとても目つきが悪くスクエアメガネをかけた黒髪のセンター分けのした男だった。
そいつは数秒こっちを見て立ち去った。
ルナは急に立ち止まる。
「トーヤ……ごめん変なところ連れてきちゃって……」
「それはいい。ここはどこなんだ?あの時計はなん……」
言いかけてた途中だった。
また残像。
首元を刃物で掻き切られる。
残像が見えた瞬間。前へ走った。その場から距離取った。
「トーヤ…?」
ルナは困惑している。
すると残像の再現をした男が現れた。
「避けた?いや違う。まるで知っているような動きだ。」
それは先ほどの通行人だった。
ルナはその瞬間震えていた。
「あの人は……B級1位ヨシアキ……」
ヨシアキがメガネをクイッと上げて鋭い目つきでこちらを見る。
「なぜこの世界にいる?破斬りトーヤ。」
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