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理を穿つ!  作者: 李・テイナ
普通世界編
4/8

五つ目の世界

※カクヨムに連載しています。

(ここは…どこ?)


周囲は見渡す限りの夕焼け空。

ルナが立っている小さな浮島以外の地面が見えない。


島から顔を覗く。下には空以外何もなかった。



重力を無視して浮遊する高さが異なる無数のビル群。

そのビル全体を囲むように膨大な量の瓦礫の輪が周囲を旋回している。




状況を理解しようと周囲を見渡しているとあることを思い出す。


(私はあの男に撃たれて死んだ…の?でもあの時狐面が私をワープさせた気がした。ていうかガーディアンは!?…)


ガーディアンは周囲にいない。


一安心。



(はっ!そうだトーヤは!?)


辺りを見回すがいない。


(私だけが連れ去られた…?)


狐面の正体、目的をあれこれ考えていた。

すると、正面のビルから人が現れた。


「あんた…誰?」

赤の着物を着た赤髪の狐面の女が歩いてくる。


彼女はルナの全身を隅々まで見回してくる。

すると裾からはみ出る腕時計をじっと見る。


狐面の女は、何かに気づいたようには腰にあるレイピアに手をかける。

そして彼女は思いっきり踏み込んだ。


シュン!!


彼女は左右に動きながら高速で動く。


(早い!!)


「ッ!」


気づいた時には彼女のレイピアが首元まで迫っていた。


「待て、ミレイア」


どこからともなく男の声がした。

その声で狐面の女はレイピアを下ろした。


「驚かせてごめんねー」


先ほどの狐面の男が2人の間に割って入る。


「ちょっとメティス!この子はなんなの?」


狐面の女、ミレイアが男に詰め寄る。


「あー俺が連れてきた。」

片方の手で頭を掻く。


「そういう事じゃなくって!普通世界の人間を連れてくるって話だったじゃない?この子はどう見たってエージェ…」


狐面の男、メティスが会話を遮って話しだす。


「いい感じの奴はいた。がちょっと俺は好きじゃなかったかなー」


「でも敵を連れてくるのは違くない?」


(敵…?)


「まぁ状況が状況だし仕方ないと思うんだよねー」  


「今回は許してあげる。次はないから」

両手を腰に当てる。


ミレイアがルナの方を見る


「……ワタシはミレイアよ。」


すると自身の狐面を取った。

面の下はエメラルドグリーンの瞳が特徴的で整った顔立ちだった。


「あんた名前は?」


「ルナ…です。」  


「よろしくね。ルナ」


ミレイアは革手袋を取る。

そして手を伸ばす。握手だ。


ルナは応えようと手を伸ばそうとした。


「やめてねーミレイアさん」


2人の間にメティスが入る。

まるでミレイアの手に触れることを恐れていたように。


「何よ?握手しようとしただけよ」

眉にシワがよっている。


「あはは、ならいいんですけど」

両手を少し上げて苦笑いをする。


「改めてよろしく」


「よろしくお願いします。」


普通の握手だった。なぜメティス(狐面の男)がわざわざ止めたのかわからなかった。


「こんなところで話すのなんだし場所を変えようかー」


メティスが歩き出すとミレイアが並んで歩いていく。


ルナは2人の数歩後を着いていく。


ミレイアが出てきたビルに入った瞬間別のビルにいた。


(!?…さっきあの人が出てきた時は普通だったはず…)


驚いたのに気づいてかメティスがヒョイっと後ろを向き話しかけてきた。


「驚いたでしょー。俺未だにこの仕組み知らないんだー。」


「…そうなんですか。」


(…なんて返せばいいの!!この人得体が知れなすぎる!!)


「てか戦闘邪魔してごめんねー。あれには事情があって…まぁ後で話すからいっか。」

メティスはそっと前を向いた。


空中都市はややこしい構造だった。

廊下を歩き扉を開けると別のビルへ移動している。


横倒しになったビルの壁を歩いているはずなのに、足の裏には地面を踏みしめる確かな重力を感じる。


三半規管が狂いそうな光景と、あまりに正常な感覚のギャップに、ルナは軽い眩暈を覚えた。


しばらく2人に着いて行っていると前から人が歩いてきた。


白銀の短髪で狐面を被った灰色の和服に黒い帯が垂れ下がっている。


彼はメティス達の前で立ち止まる。


「メティスか。その者は新たな仲間か?」


「仲間…になる予定かな。」


「そうか。」


会話はそれで終わった。


白銀の狐面はルナとすれ違う瞬間彼は耳元でボソッと囁いた。


「汝が来るには早い。命を粗末にすべきでない。」


「待って!それはどういうこと?」


振り返るともう彼の姿はなかった。


ビリッビリッ。


ただそこには稲妻のような跡が残っていた。


「どうかした?」

ミレイアが振り返る。


「…なんでもないです。」

無意識に隠してしまった。


「ふーん。」


彼が去り際に行った言葉が引っかかる。


(命を粗末にすべきではない…?どういうこと。この人たちは何をしようとしているの…?)


考えながら歩いていると2人は会議室と書かれた場所で立ち止まった。


「まぁここでいっかー」


「そうね。ルナこっち。」


ミレイアの手招きで中に入る。

中は普通のオフィスの会議室のようだった。


「適当に座ってー。」


メティスの言葉通りルナは適当に一番手前の席に座る。


メティスはルナと向かい合った席に座る。

ミレイアはメティスの隣に座った。


まるで面接のようだった。


(何この状況…少し気まずい。)


メティスが真剣な目で見てきているのが狐面越しにわかる。


「君エージェントだよね。」


心臓が跳ね上がった。体中が寒気に襲われる。


その言葉は疑問というより確信だった。


(なんで私の正体を…!!…早く否定しなきゃ!)


「違います…」


ルナには否定する選択肢しかなかった。

ただどう見たって顔が肯定しているようにしか見えない。


「あー。そっか君この問いに否定しかできないよねーごめんごめん。」


「肯定したら理、破っちゃうもんね。」


(私の正体を分かってて言っている…このままじゃ…ガーディアンに殺される…!!!)


顔が真っ青になっていく、、


「ちょっとメティスあんまりからかわないであげて!ルナ泣きそうよ!」


「はは、マジごめん。そんなに脅かすつもりはなかったんだー。」


メティスが軽く手を合わせてごめんねーと言っている。

そして彼は続けて話す。


「それにここにはガーディアンは来ないから安心して欲しいんだー」


(ガーディアンが来ない…?そんなはずはない!

それは世界にとっての理なのに!)


「…どうしてですか?」


口では冷静に返答しているが頭の中は騒がしかった。


「ここは君達が知っている4つの内の世界ではない。ここは他局ですら知りえない5つ目世界さ!」


「テンション上がりすぎよ!」


ミレイアは彼を少し引いた目で見ていた。



(ありえない…他局は世界は4つしか存在しないって言っていた…!)


メティスは続けて話す。


「”奴”はこの世界に気づいていない!だから、来ないのさ!」


「まぁ見せた方が早いか。」


するとメティスは懐から青い球を取り出した。


そして青い球を投げてミレイアに当てる。


「え、ちょなに!」


彼女は消えた。

しかしよく見ると一番端の席に居た。


(異能…)

鼓動が早くなったのを感じる。


「本来なら少ししたらガーディアンが来るでしょ…?」


彼はまるでマジックを披露するかのようにこっちを見てきている。


数分が経った。

一向にガーディアンが来る気配はない。


「ほら!来ないでしょー。」


「ほら!じゃないよ。人をワープさせんな」


「だって近くにいたし…痛っ!」


ボコっ。


ミレイアは彼の頭にゆっくり拳を落とした。

そしてほっぺを思いっきり摘む。


「ごめんなさいーミレイアさん。」


「よろしい。」


和やかな空気が流れた。

ちょっと面白いって思ってしまった。


少しして話は再開した。


「信用してもらえた?」

メティスが心地よいトーンで喋った。


「少しは…」


「じゃあ改めて聞く君はエージェントだよね。」


「……はい。」

勇気を振り絞った。


「だよねー!。地下であった時から思ってたんだ。」


ドヤ顔をしている。口元で分かった。


「まぁそんなことはどうでもいいんだ。」

急に声のトーンが変わった。


「単刀直入にいう。俺達の仲間にならないか?」


「え…?」


「俺達はある目的の為に集っている。」


「目的…?」


「奴”を世界から消滅させることだ。」


「奴って誰なの…?」


「奴は…か」


喋ってる彼にミレイアが視線を送る。


「おっと危ないところだったー。」


「やっぱ君には教えられないー」


(彼は「か」って言いかけた…。か、カ?、ガ?ガーディアン?)


「もしかして…奴ってガーディアン…なの⁇」


一瞬沈黙が生まれた。


2人は顔を見合わせた。そして何か耳打ちをした。まるで口裏を合わせてるようだった。


「間違ってはいないかな。」


「そんなの不可能に決まってる…!」

つい声が出てしまった。


「あんたの裁量で決めないで!」

ミレイアの声が響く。


「だって…ガーディアンは理の番人なの。人間が勝てる相手じゃないんだよ…」


「戦ったことあんの?やってみないとわかんないでしょ!」


「ないけど…私の家族は全員ガーディアンに殺された。」


「私の両親は強かったはずだった。でも、一瞬で….」


「もういいよ。」

メティスが肩に手を置く。


「ごめんルナ…何も知らないで」


「私こそごめん…なさい」


空気を重くしてしまった。


そう思っていたのは私だけだったかもしれない。メティスは会話を戻した。


「そう俺達は、ガーディアンの被害をこれ以上増やさない為に各地で戦力を集めている。」


「本来なら普通世界の人間を連れてくる予定だったが君を連れてきてしまった。」


「まぁこれも何かの運命か偶然かもしれない。一緒に戦ってくれないだろうか。」




メティスが手を差し出している。











ここで手を伸ばしていたら、きっと後悔していただろう。


そして私はあの結末に辿りつけなかった。










「私は…ガーディアンと戦う勇気がありません………すみません…。」


「そっか、まぁ強要はしないから安心してねー。」


「ところで君はここでたら他局に戻るのー?。」


「はい…そうします。」


「それはそうか。」


(…?)


2人は一瞬顔を引き攣った。


「近々他局に行くからそん時はよろしくねー。」

            敵として。ボソッ。


小さくそう聞こえた気がした。


「てか何か聞きたいことあるー?」


(聞きたいこと…)


「あなた達は何者…ですか?。」


(違う…私が聞きたかった事は別にあった。)


「さぁー」


受け流された。


(そうだ…!私はトーヤと逸れたんだ。彼の行方は…?)


「ここに来る前に私と一緒にいた人はどうなったの…?」


「あの男は殺されたよー。」

メティスは軽く答えた。まるでどうでもいいかのように。


(嘘…トーヤが死んだの…)


呆然と立ち尽くしていた。


そんな私を見てメティスが口を開いた。


「そろそろいいかな。」


「勝手で悪いんだけど色々喋っちゃったから君消さないといけないんだ。」


(消す?どうして…まさか断ったから!?)


「ミレイア。いけるー?」


「いつでも」


2人から異様な雰囲気を感じる。


(逃げなきゃ!)


ルナはとにかく会議室から飛び出した。


会議室を出たあと通路を全速力で走る。


後ろを見る。

彼らはゆっくりと会議室から出てくる。


メティスが懐から青い球を取り出す。

狙いを定めている。


シュン!


高速で青い球が飛んでくる。


グルン。

床に転がるように回った。


ヒュン!


頭上スレスレを通り抜けた。


「ナイス回避ー」


「褒めてる場合?」


「だって俺から逃げれるわけないでしょー」


ルナは全力で目の前を走る。

通路が物凄く長く感じた。


振り返る。また構えていた。


バタン。


転んでしまった。後ろに気を取られすぎた。


メティスはその隙を見逃さなかった。


「残念詰みだよー。」


すかさず転んでる彼女に青球を投げる。

避けられない。


スッ!


青球はルナの体を通り過ぎた。


(危なかった。異能を発動してなかったら確実に当たっていた…。)


「なるほど幻影かー」


「あれがルナの異能ってわけね。」


「てっ感心してる場合か!逃げられるわよメティス。」


しかし2人は一切焦っているようには見えない。


「そうだね。」

メティスは狐面を少しとって片目を見せた。


(もう少しで曲がり角だ。曲がった瞬間、跳躍時計を使って逃げるだけ…)


後ろを見ても弾は飛んできていない。安心していた。


(あと少し!)


角は目の前。後は右に曲がるだけ。


シュンッ!


その瞬間曲がり角は、はるか先にあった。


(えっ…どうして!!)


そして2人が真後ろにいた。


「ごめんねー流石に逃すわけにはいかないんだ。」


「じゃあね、ルナ。」


ミレイアが革手袋を取りルナに触った。


その瞬間意識がぼんやりしてきた。


ぼんやりする中でメティスの目を見た。


瞳は真っ白でまるで何も見えていないようだった。


意識が切れる寸前。


「私たちは出会っていなかった。」


ミレイアからそう聞こえた気がした。


そして意識は完全に消えた。














ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!!


誤字などがありましたら是非コメントにお願いします!

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