9.笑顔
開いてくださり、ありがとうございます!
いよいよ慈愛の戦い鎌スタート。
やられっぱなしの慈愛。それを見守る翡翠たち。
慈愛は、生きて帰って来れるのでしょうか。
※この作品は、残酷・暴力描写を含みます
「慈愛…つらそう…」
翡翠は、自室で試合の配信を見ていた。
気がつくと自室に戻っていたため、目に入ったテレビをつけてみたのだ。
すると案の定、試合の様子がリアルタイムで配信されていた。
「慈愛…」
私は、ただただ祈ることしかできなかった。
慈愛が、生きて帰ってくることを。
「翡翠」
慈愛は、いつも家族を1人にさせない。
「なんで泣いてるの?」
小さい頃、よく慰めてもらったのを鮮明に覚えている。
「だって真夜がっ…っ…しんやがぁ〜…」
泣いてる私を、いつも優しい笑顔で撫でてくれていた。
慈愛だって小さかったのに、お兄ちゃんみたいな存在だ。
「真夜。今週で3回目だよ?翡翠泣かせてるの」
慈愛は、いつも喧嘩の仲裁に入ってくれていた。
私たちだけに関わらず、施設の子全員に同じようにしてくれていた。
「だって翡翠、俺がトイレ行くだけで泣くんだもん…」
慈愛はそれを聞いて、固まった。
「ぷっ…あははっ!なにそれっ…はは」
次の瞬間、慈愛は大笑いしだした。
真夜は固まって、私の涙は引っ込んだ。
慈愛はいつも笑顔だ。優しくて、穏やかな笑顔。
でも、たくさん笑ってる慈愛は珍しかった。
慈愛が笑ってくれるのが、嬉しかった。
今の笑顔は違う。
痩せ我慢とか恐怖が混ざった笑顔だ。だからつらそうで、見てられない。
でも、見ないと。慈愛が頑張ってるんだから。目を逸らしちゃだめなんだ。
慈愛は何度も相手に殴られた。
顔、お腹、頭、胸。
殴られるたびに、慈愛の体が揺れる。
音も、鮮明に聞こえる。骨が折れたんじゃないかってくらいの音が、ずっと聞こえている。
たくさん殴られてるのに、慈愛は一度も相手を殴らない。
「なんでよ…殺されちゃうよ…」
私は思わず呟いた。
殴られすぎだよ。貧血にもなるし、怪我だって軽くないのに…。
慈愛たちの試合が始まって30分が経過しようとしている。
慈愛はもうフラフラだ。顔も、左頬が腫れて紫色になっている。
「やだ…慈愛…」
涙が溢れる。そのせいで、視界が悪い。
私は袖で涙を拭った。
「慈愛…っ…」
私が名前を呼んだその時、慈愛は背筋を伸ばした。
さっきまでフラフラだったとは思えないくらい、ピシッと立って、構えた。
慈愛の顔は、いつもの優しい笑顔だった。
読んでくださり、ありがとうございました!
自室で慈愛が帰ってくることを願う翡翠。
ボロボロだった慈愛は、突然構えて…
次話も読んでくれると、嬉しいです!
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