8.死んでください
開いてくださり、ありがとうございます!
いよいよ慈愛の戦いが本格化してきました。
どのような結果になるのでしょうか。
※この作品は、暴力・残酷描写を含みます
あぁー、戦いたくないな。
慈愛はそう思いながら着替えをしていた。
施設での普段着は、男子はポリエステル素材の白い長袖長ズボン。女子はポリエステル素材の真っ白なワンピース。
俺は今日、この人生で初めてそれ以外の服に、袖を通した。
たいしの時も、服が用意されていた。
たいしは入院者が着るような服を着させられていた。
俺は、丈の短い白のトップスと明るい茶色のワイドパンツ、その上に深い茶色のロングコートを着させられた。
着心地は、施設の服に比べると良くはない。動きずらい。
これで戦うとか、勝たす気はなさそうだ。
着替えが終わると、ステージ裏で待機をさせられた。
隣には、B施設の男の子が座った。
「君…A施設の子…?」
男の子が俺に話しかけた。
髪の毛が少し長く、小柄な子だ。
「あぁ、そうだよ。君はB施設の子だよね」
B施設の子は、小さく頷いた。息が少し荒い。
「…怖くないの?」
B施設の子が、俺に聞いた。
怖い?あぁ、そうだね。怖いかな。
男の子は、無言で、不思議そうな表情で俺をじっと見つめている。
返事を声に出したつもりだったが、声に出ていなかったようだ。
おかしいな、いつもならこんなことないのに。
B施設の子は、何か言いかけたけど、すぐに黙って下を向いた。
「お待たせいたしましたぁ!第二試合、開幕です!!」
さっきと同じ司会者の声が、会場にも、ステージ裏にも響いた。
B施設の子は驚いて、体が固まった。
冷や汗をたくさんかいている。
「A施設からは、慈愛!そして、B施設からは琥珀!!」
名前を呼ばれた。
俺たちはステージに立たされた。
B施設の子は、琥珀くんというのか。
琥珀くんは、さっきとは比べ物にならないくらい震えて、泣きそうな顔をしている。
「それでは、試合開始です!!」
その合図とともに、ステージにスポットライトが当てられた。
琥珀くんの、エメラルドがかった髪がライトに照らされて、チラチラ光っている。
琥珀くんは、ありえないほど顔色が悪かった。
あぁ、やっぱり戦いたくないな。
この子、こんなに震えて、そりゃ嫌だよね。俺も嫌だもん。
そんなことを考えて突っ立っていると、琥珀くんの指がピクッと動いた。
「うあ"ぁぁあああぁああぁぅあぁああ!!!」
次の瞬間、琥珀くんが奇声を上げた。
耳が痛い。
俺は思わず顔を顰めた。
「うるさっ」
「やかましいやつだな」
観客席からは、罵倒と苛立ちの声が上がっていた。
琥珀くんは、そんもの聞こえていないかのように俺に飛びかかってきた。
「お願いします…!死んでください、!」
琥珀くんはそう言って、泣きながら俺に殴りかかってきた。
「ぶっ…っ…!」
琥珀くんの拳が、慈愛の左頬に直撃した。骨に当たったような、鈍い音が耳に刺さる。
いったぁ…。
殴られるのってこんなに痛かったっけ。
柊はよくこんな痛い思いをしてまで喧嘩止めに行くな。
血の味が口の中に広がる。
「うわちょっと!うちの推し殴んな!」
「顔面国宝なのに…」
「あいつがちうぜぇ」
観客の罵倒の中、琥珀くんの声がはっきりと聞こえた。
「ねぇ…お願い…」
琥珀くんは、もう完全に正気を失っている。ここで俺も同じように飲まれたら終わり。
なんとか理性を保たないと。
「ごめん…死ぬのは無理かな」
俺は笑顔で答えた。
最期まで見てくださり、ありがとうございました!
B施設の琥珀という少年との戦い。
慈愛は初手で、主導権を握られてしまった。
この後、慈愛はどのような行動に出るのか。
次話もお楽しみに!!
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