10.現実的なやつ
開いてくださり、ありがとうございます!
殴られ続けていた慈愛が、突然姿勢を整え、構え始めた。
一体なにが起こるのでしょうか。
※この作品は、残酷・暴力描写が含まれます
俺は、慈愛は誰よりも現実的なやつだと思っている。
だから真夜は、慈愛が30分もの間殴られ続けていることに、さほど驚いていないのだ。
「慈愛ぁ!!なにしてんのよ…!」
桃華が泣きながらポロポロと言葉を落としている。鞠は、ほぼ放心状態で泣き崩れている。
顔もあんなに腫れてるし、血も出てるし、俺でもちょっと心配になるレベルなのは確かだ。
「しんでよぉ!お願い…!」
相手は、泣きながら喋ってる。ここには聞こえないけど、多分、死んでお願い、そんなことを言ってるんだろう。
「ごめん…死ぬのは無理かな」
慈愛は、そう言って笑った。
その笑顔を見た瞬間、体中がざわめいた。
あぁ、本当の慈愛だ。
慈愛は姿勢良く、相手に向かって歩きだした。
「そりゃ、死んでくれってなるよね。それが普通だ。俺だって怖いんだから」
慈愛の表情は、変わらず笑顔のままだ。
「い…や…っ…ごめんっ…なさい…」
相手は涙を流し、後退りしながら慈愛に謝っている。
「謝ることじゃないよ。俺の方こそ、ごめんね。」
慈愛はそう言いながら相手の目の前で足を止めた。
「え、なに?この展開」
「今回はハズレの回か?」
「おそらく…w」
観客はというと、ざっとこんな感じの会話をしているだろう。
確かに、ただ見てるだけならそう思うのが普通だ。
現に、桃華も鞠も、驚きすぎて口が開いてる。
「ほんと…ごめんね」
慈愛は、相手にもう一度謝った。
次の瞬間、会場中に大きな音が響いた。
「は?!なにした?あいつ」
「なん…でしょう…」
「っ…びっくりしたぁ…」
観客も驚いているようだ。
無理もない。俺でも、目で追うので精一杯だった。
慈愛は、相手を地面に叩きつけたのだ。
「カハッ…!ゔっ…いたいよぉ…」
相手は泣き出した。背中と頭を強く打ったせいで、起き上がれていない。
あの一撃で、よく気絶しなかったな。
慈愛は立ったまま相手に跨り、相手の胸ぐらを掴んで顔を近づけた。
「あぁ、ごめんね。一撃でやろうと思ったんだけど。」
慈愛の顔は、優しくて穏やかな笑顔だった。
「今やるからね」
読んでくださり、ありがとうございました!
慈愛の本当の顔が、一部見えた回でしたね。
慈愛の優しさを、真夜は理解していたのでしょう。
読者様にとって、これは果たして優しいと捉えられるでしょうか。
次話も、読んでくださると嬉しいです!
コメントや評価も気軽にしていただけると幸いです!




