↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/32

29.私たちは

開いてくださり、ありがとうございます!


今回は、C施設の出来事が少し落ち着き、A施設に戻ってきます。

物語も、中盤に差し掛かってきましたね。


ぜひ、最後までお楽しみください!

※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます

久しぶりに、広場にきたな。


桃華は、広場の草原に1人、立ち尽くしていた。


広場は、静かで、寂しくて、悲しい場所に変わってしまった。


みんな、個人の部屋から追い出されて広場に追いやられた。


無理やり連れてこられたみんなは、個々でいる。


誰かと寄り添いあったり、慰め合ったりしてる子は、1人もいない。


慈愛でさえ、1人でいる。


広場に描かれた空は、青空のはずなのに。


みんなの顔は、絶望と後悔に満ちている。


それとは対照的に、桃華の顔は、覚悟と怒りに満ち溢れていた。


桃華が広場全体をしばらく見ていると、背中を触られるような感覚がした。


桃華は、ゆっくりと振り返った。


「桃華…」


鞠だった。


淡い桃色の髪を靡かせて、綺麗で大きな瞳でこちらを見ている。


鞠は、不安そうな、泣きそうな顔で、私を見つめて離さなかった。


そして、鞠は私の手を握った。


鞠は、わかってる。それでも、不安なんだろう。


 大丈夫だよ。心配しないで。


桃華は、鞠の手を強く握り返した。


「うん。」


鞠は少し息をついた。そして、私たちは手を繋いだまま、その場に座り込んだ。


鞠は、広場にいるみんなを見た後に、悲しそうな表情で目を伏せた。


「生きてるのに、生きてないみたい…」


鞠は独り言のように、そう呟いた。


「…そうね」


当たり前だ。


みんな、仲間を、家族を、何人も手にかけている。


今残っているのは、私と鞠を含め、慈愛、真夜、翡翠、柊の6人だけだ。


他の子はみんな、先に逝ってしまった。


私たちはみんな、打ちのめされていた。


そんな中、施設の扉が開いた。


空気も読まず入ってきたのは、あの女警備員だった。


女警備員に目を向ける人は、誰もいなかった。


「次回の試合は、桃華様と鞠様の試合になりますので、よろしくお願いします。」


警備員は、そんなのお構いなしに、そう言い放った。


そして、いつものように立ち去っていった。


「っ…」


警備員の言葉を聞いた柊は、顔を伏せた。


翡翠も、静かに泣き出した。


真夜と慈愛も、私たちに声をかけるでもなく、ただただ、悲しそうな顔をした。


そんな中、私と鞠だけが、ほっとしていた。


警備員が出て行くと、鞠は私の袖をぎゅっと掴んだ。


「6歳の時に書き換えたやつ、成功したね…」


鞠は、不安気だけど、笑顔で私にそういった。


鞠の言葉に、私は少し感心した。


6歳か…もう12年も経ったのね。


ここまで細かく覚えてるのが、鞠らしい。


「うん、よかった。まずは一個突破だね。」


私は、鞠を見てそう言った。


自然と、口角が上がった。


何日ぶりだろう。

2人で笑ったの。


私たちは、みんなにバレないように、小声で小さく喜びあった。


鞠の、控えめで優しい笑顔をみて、私は思った。



こんな世界に、時間も感情も人生も、全て奪われてしまう。


それはとても悔しく、憎いこと。


でも、その世界でしか生きられないのなら、私は。


 私たちはーー。

読んでくださり、ありがとうございました!


鞠と桃華の不思議な関係、会話。

周りとの対比が、彼女らをより一層不思議なものへしてくれましたね。

彼女たちが考えていることは、一体なんなのでしょう。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。