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27.腹の底から

開いてくださり、ありがとうございます!


晴とルイの試合の行方が、前回によってわかりましたね。

これからは、晴の死が残された人たちにどのような影響を及ぼすのかが見どころですね。


ぜひお楽しみください。


※この作品は、残酷・暴力描写が含まれます

「晴ちゃ…うそ…」


晦と芯は、自室からルイと晴の試合を見届けていた。


やっぱり、ルイの戦い方はくそだった。


そして最後だけ、ルイから観客も晴も使っているような感じはしなくて、ただ純粋に、試合を楽しんでいるように見えた。


だからこそ、晴の勝敗は初めから決まっていたんだ。


あんなやつに、優しい晴は勝てない。


この世界に適応するどころか、クソみたいな世界で楽しんでいるようなやつに、俺たちが勝てるわけがないんだ。



『カンカンカンッ』



画面から、金属を叩く音が流れた。


この音を、もう何十回聞いたことか。


『残り時間26分。C施設、晴死亡。C施設、ルイの勝利ぃ』


司会者の気だるげな声と共に、観客席からは黄色い歓声が上がった。


「るいくーん!!かっこよかったー!」

「次も応援するからねー!!!」

「ルイくーーーん!!!♡」


くそうるせぇ。


画面から、絶え間なく観客の声が聞こえる。


その甲高い声を聞いて、俺耳を塞ぎたくなる衝動に襲われた。


そんな中、芯は目を見開いたまま画面を凝視していた。


画面には、勝者であるルイと、敗者である晴が同時に映し出されていた。


「なんで…晴ちゃん…なんで…?顔…綺麗なままだよ…寝てるだけじゃ…」


芯は涙を流しながら、そんなことを呟いていた。


俺は黙ったまま、画面に映る晴を見た。


 本当に、綺麗なままだ。


首に青くあざがあるだけで、顔や体はいつもの晴のままだった。


寝ているだけだと、起き上がりそうだと、錯覚するほどに。


ルイはというと、観客に手を振って、笑顔を振り撒いている。


その顔を見て、俺は確信した。


今ルイは、試合よりもこの状況を楽しんでいない。さっきの試合の時の顔と今の顔じゃ、明らかに全然違う。


ルイは、晴との試合を心から楽しんでいた。


「なんであんな…あんな…期待させるようなことして…」


芯は画面から離れようとして、ふらついてしまった。


俺は咄嗟に、ふらついた芯の背中に手を当てた。


するとそのまま芯は、俺の服を掴んだ。


「ねえ…晴ちゃん、死んでないよね?生きてるよね…?寝てるだけだよね?!」


芯は、ほぼ悲鳴のような声で、俺にしがみつきながらそう言った。


芯の目は、もう正気を保っているような目ではなかった。


今、芯にどんな言葉をかけても無駄だろう。


俺は芯の手を握って、掴んでいる服から芯の手を離した。


その瞬間、芯は何かを悟ったように、膝から崩れ落ちた。


「はる…ちゃん…」


芯は、晴の名前を呟くと、そのまま放心状態になった。


今は、このままそっとしておくのがいい。


晦はもう一度、画面に目をやった。


俺は、もう他人のことを想えないと思っていた。


 それなのに。


「……」


ずっと心臓が痛くて、体が震える。


それと同時に、腹の底から何かが這い出てくる感覚に襲われた。


晦は、画面に映るルイを、睨みつけた。


俺の中で、何かが決まったような気がした。

読んでくださり、ありがとうございました!


晴の死は、芯だけでなく、晦の心境の変化にも影響を及ぼしていましたね。

誰かの死が、誰かの心を変える。皮肉なものですね。


次回もお楽しみに!

コメントや評価、気軽にしていただけると、とても嬉しいです!

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