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24/26

24.見ない方がいい

開いてくださり、ありがとうございます!


いよいよ、ルイと晴の試合が始まりました。

この試合の行方、当事者たちの心情、帰りを待つ仲間の想い、それぞれの葛藤をお楽しみください。


※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます

あれから、2時間半が経とうとしていた。

晦はベッドの横に座り、なにも考えずにぼうっとしていた。


あー、そろそろ2時だ。

もうすぐ、試合が始まる。


今回の殺し合いはルイと晴。この試合は見ておいた方がいい。


晦は軽くそんなことを考えながらベッドに目をやった。

正確には、ベッドで寝ている芯に目を向けたのだ。


さっきよりは確実に顔色がいい。

よく眠れているようだ。


さて問題だ。


「…起こすか?」

晦は、腕を組みながらつぶやいた。


さっきまで泣いてたし、あんな感じだったし。

でも、今は気持ちよさそうに眠っている。

普通なら、後でキレられても起こさないだろう。


でも、普通の状況で起こさないのと、今この状況で起こさないのとでは、全く意味が違う。


自分が眠っている間に、仲良いやつが殺し合ってて、起こしてもらえずに仲間の戦いが終わってた、なんて知ったらキレるなんてもんじゃない。


ここは起こすべきだ。


「…芯。2時になった。」


俺は芯に触れずに、声をかけた。

何度も、何度も。多分10回は声をかけた。


「ねえ…もう始まるんだけど……」


でも全然起きない。

晦は、ため息混じりに声をかけた。

いくらなんでも寝すぎじゃないか…?そろそろほんとに始まるのに。


でもだからといって、触れるわけには行かない。


「はぁ…もう…」


情けない声が漏れた。


時計を見ると、もう2時を過ぎていた。

仕方がないから、見学に行くのは諦めた。


俺は部屋に備え付けられている、配信テレビの電源を入れた。


そこに映ったのは、固まっている晴と、晴の手の甲にキスをしているルイの姿だ。


観客席からは、興奮と嫉妬の声が溢れかえっている。


「…やっぱりか。」


俺の予想が大当たりした。


ルイの戦い方は、なんとなくこうじゃないかと予想をしていたのだ。


そして、これを見て確信した。


この戦い方は、観客と相手の好意を利用した、精神的な戦いなのだと。

その証拠として、観客が湧き、晴が固まり、ルイは純粋な笑顔を浮かべている。


もしかしたら…いや、もしかしなくともこの試合、芯は見ない方がいいのかもしれない。


少し経つと、画面に動きがあった。

ルイが晴の顔に近づき、言葉をかけたのだ。


その時のルイの顔が、大きく画面に映し出された。


「…きも」


俺は思わず声に出してしまった。


次の瞬間、まるで俺の声が聞こえていたかのように、ルイと画面越しに目が合った。


そして、ルイの楽しそうな、純粋な笑顔が画面に映し出された。

偶然だと思うが、このタイミングでルイはカメラに目線を合わせたのだ。


「…ほんとにきもいわ。こいつ。」


寒気がした。悪寒だ。

そして同時に、再び頭に浮かんだ。


この戦い、芯は見ない方がいい。


でも、見ないと確実に後悔する。

自分を責める。


そうなると、まためんどくさいことになる。


「よし。起こそ」


晦はこの決断に至ると、すぐさまベッドに向かって歩き出した。


そして、布団の上から、位置を確認して芯に触れた。


「おーきてー。ねえー。試合始まってるー」

俺は声をかけながら思いっきり芯の体を揺らした。


「うわっ!!!」


芯は大声を出しながら飛び起きた。

俺の体は、思わずびくついた。


「ありがと、かい!ほんとにありがと」


芯は変な汗をかきながら、俺に礼を言った。

そして、テレビの前まで走っていった。


一瞬の出来事すぎて、晦は体を動かすこともできず、固まっていた。


もう…ほんとに疲れた…。

読んでくださり、ありがとうございました!


晦が、少しずつですが変わってきました。

個人的には、芯を起こすシーンが好きです笑

彼が変わったきっかけが、良い意味でも悪い意味でも、この世界ということが、とても皮肉なものですね。

晴とルイの試合を、ぜひ見届けてください。


次話もお楽しみに!

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