23.純粋な笑顔
開いてくださりありがとうございます!
いよいよ、晴とルイの試合が始まります。
お楽しみに。
※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます
いやだ…戦いたくない…。
晴はステージ裏で、頭を抱えていた。
晴が動くたびに、試合のために着せられた短いスカートが揺れる。
鬱陶しい。
なんで私が、ルイくんと戦わないといけないの。
なんでみんなの…私の…憧れの人と…。
「大丈夫?」
甘く、艶のある声が耳元で聞こえた。
それと同時に、私の左肩に心地の良い重さがのしかかった。
「晴ちゃん?」
顔を上げると、そこには私の憧れの人であり、今から殺し合う相手、ルイくんが笑顔で私の顔を覗き込んでいた。
「ルイ…くん…」
ルイくんの顔を見ると同時に、全身に力が入った。
そして思った。
今から、この人と戦うんだ。
「お待たせいたしましたぁ。時間となりましたので、試合を開始いたしまぁす。」
突然の声に、大げさなほど驚いてしまった。
そんなこと構わず、司会者の気だるげな声と共に、私とルイくんはステージの上に連れて行かれた。
「テーマは“アイドルと“ファン”です。C施設から、ルイと晴です。」
司会者のテーマ通り、ルイくんはキラキラで黒がメインのかっこいい衣装を着ている。
私も、フリフリで大きな黒いリボンがついた服を着させられた。
「きゃー!!!るいくーん!!♡」
「がんばってるいくーん!」
「は?なんで女と?触ったらマジで許さん」
「こいつが噂のルイというやつか」
観客席からは、ルイへの黄色い歓声と、晴への妬みの声で溢れかえっている。
私は落ち着くために、深呼吸をした。
それでも、体の震えが止まらない。
ルイくんはというと、観客に手を振って、笑顔を振り撒いている。
私は、おそらく人生で初めて、ルイくんに本気で恐怖を感じた。
「それでは、試合開始ぃ」
カンカンカンッ
金属を叩いたような音が会場に響く。
この音を、もう何回聞いただろうか。
その音と同時に、ルイくんは晴に近づいた。
私は全身に寒気を感じた。
そして構えた。ルイくんを、相手に。
「はるちゃん、手を貸して?」
ルイくんは、天使のような笑顔で私に言った。
そして、まるで女の子をエスコートするような手振りで、私に手を差し出した。
私は不思議に感じながらも、ルイくんの手に自分の手をそっと置いた。
「…いい子」
ルイくんが小さくそういうと、観客、特に女の観客が叫んだり、嫉妬したりしている。
こんな小さな声でも聞こえるのは、ステージに結構な数のマイクが備え付けられているからだろう。
「怖いよね、はるちゃん。でも安心して。相手は僕だから。」
ルイくんは、甘い言葉をかけると同時に、私の手の甲に軽くキスをした。
「っ…?!」
私の体は、一瞬にして固まった。
照れたのではない。
背筋が凍るほどの恐怖を感じた。
「いやぁぁぁあ!!!私もされたい!!」
「あの子いいなぁ!私も死んでもいいからやられたい…♡」
「あの女マジでなに?手引っ込めろよ」
観客席は、瞬く間にルイくんの虜になっていった。
ねえ…みんな、気づかないの?
ルイくんのこれは下心とか、そういうんじゃない。
絶対何か裏がある。
だっておかしいよ。こんな殺し合いで、こんなことを、あんな天使みたいな笑顔のままするなんて…。
固まっている私をみて、ルイくんはにこっと笑った。
次の瞬間、私の体がルイくんの体に密着した。それと同時に、ルイくんは観客に背を向けた。
そして自分の顔と私の顔を、唇があたるほどの距離まで近づけた。
「怖がらないで」
その言葉に、甘い声に、全身の力が抜けてしまいそうになった。
ルイくんの顔には、殺気も恐怖もない。
ただ純粋に、楽しんでいるような笑顔を浮かべていた。
読んでいただき、ありがとうございました!
ルイは単なる残酷な子ではなく、純粋に楽しんでいる様子でしたね。
彼の考えや価値観は、どのようなものなのでしょうか。
次話もお楽しみに!
コメントや評価、気軽にしていただけると嬉しいです!




