20.お前も
開いてくださり、ありがとうございます!!
前話は、慈愛の気持ちが垣間見れる回でしたね!
私はあの回がとても好きです。
それと同じくらい、今回の回も好きです。
今回はC施設の葛藤になります。ぜひ、楽しんで見てください!
※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます
「お前が殺したんだろ!!!」
芯が、同じ施設の男の子から責められているのを、晴たちは目撃した。
殺風景な空間の中に、男の子の怒鳴り声が響く。
「お前…ルリと殺りあったよな…?なぁ、お前、なんでルリ殺したんだよ…」
風途はそう言って芯を責めていた。
かずとくんが好意を寄せていたルリちゃんと芯ちゃんが、今日殺し合うことになった。
結果的に、ルリちゃんが死に、芯ちゃんが生き残ったのだ。
「お前が死ねよ…なんで…なんでお前が生きてんだ…。ルリを返せよ…」
芯ちゃんは泣きながら、静かにかずとくんの言葉を受け止めているようだった。
かずとは、芯の胸ぐらを掴んだまま、泣き崩れている。
芯も、震えながら泣いている。
「返せよ!!なあっ…芯…。ルリを返してくれよ…」
私たちは、ただみていることしかできなかった。だって、かずとくんが芯ちゃんを責めてしまう気持ちもわかる。でも、芯ちゃんが責められていいわけじゃない。
どっちも、間違ってないから。
でも、そう思わない人たちの方が多いみたい。
「いやわかるけどさ…」
「きもwあいつだって、私の友達殺してんだけど」
「まあでも、芯ってちょっとムカついてたし、死んでくれてもよかったけどな」
2人の争いを見ている野次が、冷酷な言葉を口にしていた。
それをみた紫陽が、そいつらの方に一歩踏み出した。
「あんたら…!」
紫陽が何か言いかけたけど、それを紫愛が止めた。
止めた紫愛の顔も、怒りに満ちていた。今にも、そいつらに殴りかかりそうな表情だった。
私も、そいつらに言ってやりたい。
でも今それをしたら、あの2人を止める人がいなくなる。
我慢だ。
晴そう思い、目線を芯に向けた。
その瞬間、かずとが拳を振り上げているのが目に飛び込んできた。
晴たちは目を見開いた。
やばい、このままだと芯ちゃんが危ない。
全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。
私と紫陽ちゃん、紫愛くんはかずとくんを止めに入ろうと足を踏み出したが、完全に間に合わない。
かずとくんの拳が芯ちゃんの顔面に当たる。
そう思っていたみんなは、自分の目を疑った。
「…は?」
晦が、かずとくんの拳を止めていたのだ。
「手出すのは違う」
晦はかずとくんに言った。
かずとくんの顔は、怒りと悲しみに満ちている。その勢いで、かずとくんは晦の手を振り払った。
「うるさいっ!!この女は人殺しだ!!俺のルリを殺した、犯罪者だ!!!」
かずとくんは泣きながらそう叫んだ。
「ごめ…ごめんなさ…」
芯ちゃんは震えながら、泣きながら、かずとくんに謝った。
それを見た晦は、芯ちゃんの前に立ち、かずとくんをまっすぐ見た。
「じゃあお前は?」
晦のその言葉は、その場にいる全員を凍りつかせた。
晦の表情はいつもと変わらない。
静寂を破るように、晦は口を開いた。
「お前も殺してるだろ。3人。施設のやつを。それと何が違う?」
晦の言葉に、かずとくんは反論しない。
できないのだ。
晦が止めてくれている間に、紫陽ちゃんと紫愛くんが芯ちゃんをホールから連れ出した。
私は、晦の言葉の衝撃さに、なにもできなかった。
晦は、芯ちゃんがホールから出たのを見届けてから、かずとくんに伝えた。
「…当たっても、手は出すな。」
それだけ言うと、晦はホールを出た。
かずとくんはその場に膝から崩れ、放心状態になった。
「かわいそぉ…」
「私もルイくんがしんじゃったら、ああなっちゃうかも…♡」
「大丈夫だよ。僕は死なないから」
あぁ、ほんとにイライラする。
ルイくんと、ルイくんの取り巻き女たちがそんな会話をしていた。
この人たちの態度には、いつまで経っても慣れない。
怒りが込み上げてきたところで、男警備員がホールの扉を開けて入ってきた。
みんなが警備員に目を向けた。
「そんなに見るなよ気持ち悪い。あー、明日の試合、ルイと晴。お前らからだからな。」
警備員はその事実を伝えて、すぐにホールを出た。
その瞬間、ホールは動揺と混乱に飲み込まれた。
「え…ルイくん…。晴と?」
「晴さんって結構強かったよな。」
「ちょっと晴さん?!あんたが死んでよね?!」
「晴ちゃん、よろしくね。」
野次や取り巻き女、そして憧れのルイくんの声すら、だんだんと遠ざかっていく。
私の中には、混乱と恐怖が入り混じった感情が込み上げてきた。
私と…ルイくんが殺し合い…?
読んでくださり、ありがとうございました!
今回、晦という人間、芯という人間、C施設という空間が、より鮮明になったような気がします。
晦の言葉は、この世界を生きる全員に突き刺さるような言葉でしたね。
かずとに向けて言った言葉は、野次や味方も凍りつかせました。
もちろん、自分にも。
次話もお楽しみに!気軽に、コメントや評価をしてくださるととても嬉しいです!




