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19/26

19.できるだけ長く

開いていただき、ありがとうございます!


前回は、晦と芯の話でした。作者の私が見ても、前回は息抜きのできる回だと思いました笑

そして今回は、慈愛の心が明らかになります。

お楽しみください!


※この作品は、残酷・暴力描写が含まれます

あれから、何週間経っただろう。

広場には、もうほとんど人がいない。みんな戦いで負けたり、勝っても自室に閉じこもってしまうことが多くなっていった。

真夜は広場で目を瞑り、今までの出来事の余韻に浸っていた。

翡翠の戦い方は上手かった。

全ての動きが滑らかと言うか、隙を突く戦い方だ。

でも、殺した後のあの表情が、忘れられない。

鞠も、桃華がいたから勝てたんだろう。桃華が透明な箱にいたから、絶体絶命のあの時に落ち着いて逆転できた。

みんなそうやって戦って、20人いた施設の奴らのうち、10人が生きて帰ってきた。

そして俺たちは、既にA施設の仲間を、家族を、何人か手にかけた。

俺は2人。

慈愛も、柊も同じだ。

桃華と鞠、翡翠は1人。今生き残れてる数人も、同じくらいの人数の仲間を手にかけた。

俺が殺し合った仲間と、俺が見学で見たA施設同士の殺し合いでは、殺された子たちがみんな、口を揃えていっていたことがある。


“自分たちじゃ、上までいけない。”

“生き残れても、嬉しくない。”

“ごめんね、殺して欲しい”


多くの子たちが、互いを傷つけあった後に、そう言った。

殺された子のほとんどが、自分より強いと思ってる人、自分より大切な人に、そう言って死んでいった。

翡翠も慈愛も、柊も桃華も鞠も俺も。

そうやって、生き残った。

しょうがない、なんて思ってない。

後悔だってしきれないくらいしている。

でも、翡翠たちが仲間を殺して、生きて帰ってきたことに、憎悪や恨みなんかこれっぽっちも感じていない。

心の底から、よかったって、ありがとうって思ってる。

だから複雑で、消化しきれない。この先も、一生消化しきれないだろう。

「はぁ…」

真夜は座ったまま膝を抱え、ため息をついた。

「真夜」

すると、後ろから声が聞こえた。

そこには、慈愛が立っていた。

慈愛は少し微笑んでから、真夜の隣に静かに腰を下ろした。

「大丈夫?」

慈愛は笑顔で俺に聞いた。少し顔色は悪かったけど、いつもの笑顔だった。

「どうだろ…微妙。慈愛は?」

慈愛は俺から目を離し、下を向いた。

「俺もかな。」

慈愛は歪な笑みを浮かべながら、そう言った。

翡翠や柊たちは自室にこもっている。無理もない。

今広場にいるのは、俺と慈愛だけだ。

「翡翠たち、当分出てこないよね」

慈愛は悲しそうに言った。

「仕方ないとは思うけどさ…」

慈愛はそう言うと、少しだけ泣きそうな顔になった。

「やっぱ…できるだけ長く、一緒にいたかったな…」

慈愛は顔を伏せ、膝を抱えた。

顔が見えない。

そしてそのまま語り始めた。

「俺ね…この殺し合いのこと、薄々気が付いてたんだ。」

俺は慈愛から目を逸らさず、静かに聞いていた。

「俺と柊、何年か前に施設の外に連れてかれたでしょ?あれ、この戦いの売り込みのためだったんだよ。」

確か、4年くらい前だった。何人かが代表で、施設の人に連れられて外の世界に出た時期があった。

「その時になんとなくね。でも、それと同時に気づいたんだ。」

慈愛は顔を上げた。でも、俺の目は見ない。

「この現実からは逃げられないって。」

俺の心臓が、体から飛び出す勢いで跳ねた。

今まで、慈愛たちがこの事実を俺たちに言わなかった理由が、予想できてしまったのだ。

「だったらいっそさ、知らないままの方が幸せが長く続くんじゃないかって。だから…ごめんね」

慈愛は俺の目を見て謝った。

笑顔のくせに、泣きそうで、少し諦めたような目で。

その目を見た瞬間、俺は思った。

なんで、謝るんだよ。

「謝る必要ないだろ。お前のしたことは、間違ってない。絶対に」

断言できる。

だって、もしそんなこと知ったら、もっと早くに仲間を失っていただろう。

慈愛は少し驚いてから、涙目になった。

「そっか…ありがと」

慈愛は、目のまわりを赤くしながら、くしゃっと笑った。

読んでいただき、ありがとうございました!


初めて慈愛の本当の声が聞けました。

みなさんは、慈愛のあの選択をどう思いましたか?人によっては、真夜と同じ意見かもしれない。他の人にとっては、間違いだと感じるかもしれません。

人によって、考えることが違うと思います。私はそれがおもしろいのです。

ぜひ、コメントして、教えてください!


次話もお楽しみに!!

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