4.やっと死ねる
開いてくださり、ありがとうございます!
ついに晦の試合が始まろうとしています。
晦は、どのような戦い方をするでしょう。
※この作品には残酷・暴力描写が含まれます
時計の針が、19時を指そうとしている。
晦は無心でステージに上がった。
晦は相手の頭の先からつま先まで、静かに、じっくりみた。
相手の顔は、自信で満ち溢れている。
俺がジャージで、相手が学ランか。
学ランがよかったな。
「それでは、試合開始〜」
司会者の気だるげな声と共に、金属をなにかで叩いたような、耳に刺さる音が会場に響いた。
それと同時に、D施設の相手は俺の目の前まで踏み込んだ。
「ぼぉっとしてたら、あっという間に僕が勝っちゃいますよ?」
その言葉の直後、視界が大きく揺れた。
相手の拳が、俺の右頬を強く打った。
「え、初手から強いぞこいつ!w」
「すげー!もっとやれー!!」
「筋がいいな。」
「勝ち残ったらいくらになりますかね」
観客席が一気に湧いた。
晦は少しよろついた。血の味が口の中に広がる。
まっず。
その後も、相手は距離を取ることなく俺を殴り続けた。
「ねーえっ!倒れてくんないっ?立ってられるとっ、殴りづらいんだけど!」
相手は俺を殴りながら、そんなことをほざいた。
えー。めんどくさコイツ。
拳は確かに強いけど、別に倒れるほどでもないし。
でも、いっそ倒れてもいいか。
相手の拳が当たる直前に、俺は言われるがままに倒れた。
仰向けで。
「はい。どーぞ」
俺は相手にそう声をかけた。
両手を開いて、どうぞ殴ってくださいという体制になった。
「は?」
相手の笑顔が引き攣った。
「なになに?!」
「は?え、なにしてんの?こいつ」
「開始から10分も経ってないけど?!」
観客席からも、動揺の声が上がった。
「えなに。舐めてんの?」
相手の声色が変わった。
その言葉と同時に、俺の腹のあたりに相手の拳がめり込んだ。
「ゔっ…」
重っ。ゲロ出そう。
相手はお構いなしに俺に跨った。
そして、怒りのままに俺の顔面を殴り続けた。
「クソガキが!俺を舐めやがって!俺にやられっぱなしのくせにっ、よくそんなこと言えたな!!!」
俺は、揺れる視界の中で相手の顔を見た。
相手の顔は怒りに満ちていて、到底、人間の顔だなんて言えなかった。
「…般若みたいw」
あ、しまった。心の中で言ったつもりが、声に出てた。
相手の表情が、怒りをこえて無表情になった。
「歯ァくいしばれ」
そして、思いっきり拳を振り上げた。
あぁ、やっと死ねる。
読んでくださり、ありがとうございました!
晦の気の抜けた戦い方。
むしろ自分を死へと近づける行動。晦の目的は死ぬことだったのか。
そして、晦は本当に死ねるのだろうか。
次話もお楽しみに!!
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