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13/17

13.男子学生

開いてくださり、ありがとうございます!


慈愛の試合を見届けていただき、ありがとうございます。

今回は、誰の覚悟と想いを垣間見ることができるでしょうか。


※この作品には、残酷・暴力描写が含まれます

昨日の出来事から、あっという間に1日が経ってしまった。

芯はベッドの上で考え事をしていた。


“明日の試合は、晦。そいつからだからな”


あの言葉が、ずっと頭を支配している。

「かい…」

晦は、私の知る限り、物静かで何を考えているのかわからない性格だ。施設でも、誰かと話すこと自体が珍しいのだ。

でも、強いのは知ってる。だから、勝つって信じたい。

晦のことを考えていると、突然ドアが開く音がした。

「なに…!?」

私はベッドから飛び降りて、構えた。

「うわっ!ご、ごめん!」

ドアを開けたのは、晴ちゃんだった。私の声に驚いて、少し後退りをした。

その後ろには、紫陽ちゃんと紫愛くんもいる。

「あ、いや!大丈夫だよ!」

私は両手を振って、明るく答えた。

晴ちゃんは少し歪な笑顔で、紫陽ちゃんと目を合わせた。

その行動に、少し違和感を感じた。

「なんで、私のところにきたの?」

私がそう聞くと、晴ちゃんは少し下を向いた。

「えっと…かいくんの試合…見学したいなら来いって昨日の警備員さんが。芯ちゃん、くる…?」

晴ちゃんは気まずそうに言った。

あの歪な笑顔の理由は、これだったのか。

晦の試合。本音は、見るのが怖い。負けちゃうんじゃないかって。

ちがう、だめ。そんなこと考えちゃ。

かいは勝つよ。

私は覚悟を決めた。

そして、部屋から一歩踏み出し、晴ちゃんの目を見た。

「行く。ありがとう、呼びにきてくれて」

私がそう言うと、3人はほっとした表情になった。

「行くならはやくしろ。」

昨日の男警備員はイライラしている様子で私たちに呼びかけた。

急いだ方がいい。

私たちは早足で、男警備員について行った。

歩いていると、紫陽ちゃんが私の隣に駆け寄ってきた。

「つらくなったら部屋に戻れるらしいから、無理しないでね」

紫陽ちゃんは私にそう耳打ちした。

優しいな、この子達は。

「大丈夫よ!ありがとね!」

私はできるだけ明るく答えた。そんな芯を見た紫陽は、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

しばらく男警備員について行くと、汚れた白く、長い廊下から透明な通路へと様変わりをした。

その先には透明な箱があり、その中に入れと言われた。

「騒いでも無駄だからな。防音だからよぉ。」

男警備員はそれだけ言って、乱暴に扉を閉めて出て行った。

中には、私たちの他にルイくんとその取り巻きの女の子たちがいた。

「かいくん勝てるよね…?わたし、かいくん死んじゃったらかなしいよぉ…」

1人の取り巻き女が、ルイくんの右腕に自分の腕を絡ませながらそう言った。

「君は俺だけじゃなかったの?」

ルイくんは、取り巻き女の頬に優しく触れながら言った。

「うっ、うそです…!ルイくんだけだよ…♡」

取り巻き女は、まんざらでもない顔をしている。

なんでここにいるんだよ。晦を使って媚売るなんて、絶対許さない。

私の中には恐怖をも上回る怒りが込み上げてきた。

「芯ちゃん…深呼吸」

紫愛くんが私に声をかけた。

手…手というか、拳に力が籠っていることに気がついた。

紫愛くんの声がけがなかったら、あの女に何かしでかすところだった。

「うん、ありがと紫愛くん…」

私は深呼吸をした。息を吐いたと同時に、透明な箱の中に声が響いた。

「それでは、試合時間となりましたので始めて行きまぁす」

男の声だ。気だるそうな声で、やる気も生気も感じられない。

「あっ晦くん…!」

紫陽ちゃんがステージを指差して言った。

そこには、運動着のような黒いジャージを着た晦と、おそらくD施設の子で、学ランを着た背丈の高い男の子が立っていた。

「えー、C施設からは晦、D施設からは聖夜です。テーマは男子学生」

テーマ?なんのテーマ…?

「ねぇ、テーマってさ、服のテーマかな。相手学ランだし、かいくんもスポーツ服だし…」

晴ちゃんはおそるおそるそう言った。

「確かに…多分あってる。…最悪」

紫陽ちゃんは、顔を顰めながら言った。

紫愛くんも、顔色が悪い。

殺し合いにテーマ決めるとか、ほんとにどうかしてる。

ステージに立っている晦は、いつもとなにも変わらない様子だ。それがやけに怖い。

「それでは…」

さっきまでのやる気のなさそうな司会者の雰囲気が、一瞬で変わった。

「今宵も、皆様にとって濃い夜になることを祈っております」

読んでいただき、ありがとうございました!


晦の試合を見届ける覚悟を決めた芯たち。

人の命を媚びる道具として使うC施設の女たち。

なんの変哲もない晦。

この後の彼らの運命はどうなるのでしょう。


次話もお楽しみに!

コメント、評価など気軽にしていただけると嬉しいです!

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