表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/58

さらなるレディが……

『ダメだダメだ。ビアトリスに王座簒奪などという危険なことをさせてたまるか。彼女には、愛とやすらぎこそが似合っている。許されるならば、そんなくだらない野心やしがらみを捨て、二人で静かなところで愛し合いたい』

『アイリーンにそんな殺意や野心は似合わない。公爵令嬢にさえ生まれなかったら、穏やかで愛に満ちた一生をすごせるはずだったのに。いまからすぐにでもおれがそうさせてやりたい。このまま手を取り、逃げだしたい。そして、彼女に愛され、彼女を愛してすごしたい』


 パーシーとチャーリーの赤面ものの「真実の声」が流れこんできた。


『ああ、なんて不幸なの。パーシーはすぐ目の前だというのに、陛下みたいな野獣を好いているふりをしなければならないなんて。しかも、その座を狙っているという悪女を装うなんて……。レッドグレイブ公爵家に生まれてきたことを、いまほど悔やむことはないわ』

『わたしたち、なんてかわいそうなの。レッドグレイブ公爵家の娘にさえ生まれてこなければ、陛下のような野獣の妃の座を狙うふりをしなくてもよかったのに。野心満々の大悪女と呼ばれることもなかったのに。ああ、ふつうに生まれていれば、チャーリーと添い遂げられたかもしれないのに。彼と愛し合い、しあわせな家庭を築き上げられたかもしれないのに』


 それから、彼女たちの「真実の声」も流れ込んできた。


(なるほど。彼女たちは、野心満々の家柄の出身なのね。公爵家の子女は、国王に嫁ぐことが約束されているといったところかしら。彼らの考え方により、妃になったら夫である国王の命をみずから狙い、奪うことが許される。彼女たちは、ほんとうの気持ちを封印して家の為に必死に演じているわけね)


 それを考えたら、気の毒になってくる。


 そして、自分と照らし合わせてしまう。


 わたしもまた、そうだったから。物心ついたときから、皇帝の妃になるべくがんじがらめにされていたから。


 それを考えると、彼女たちに親近感がわいてくる。


「このちんちくりんが邪魔さえしなければ、わたしたちの計画はスムーズに進むはずだったのよ」

「そうよ。このちっちゃい傷物レディが邪魔なのよ。だったら? 排除するしかないわよね?」


 彼女たちは、体ごとわたしの方に向き直った。


 二人の美しい顔には、いまや悪意と敵意がみなぎりすぎている。


(同情なんてするものですか。わたしをどうにかするつもりだなんてどうかしているわ)


 先程までの共感は、一瞬にして消え去ってしまった。


 正直、ショックすぎる。


 しかもいまのは本音のようで、「真の声」がいっこうに流れ込んでこない。


「いいかげんになさいっ!」


 そのとき、彼女たちとパーシーとチャーリーの向こう側にあらたなだれかが現れた。

 

 そのだれかは、小気味よいヒールの音を響かせつつこちらに向って来る。


「小娘たち、舐めた口をきくのはたいがいにすることね」


 凛とした一喝に、眼前の双子のレディたちが目に見えて怯え始めた。


 ついに現れただれかは、背が高いだけでなく出るところはおもいっきり出ている。しかも、顔は「絶世の」を超えるほど美しいレディである。


「王女殿下」

「王女殿下」


 パーシーとチャーリーだけでなく、彼女たちも同時につぶやいた。


 王女殿下と呼ばれたレディは、控えめに表現してもカッコよすぎる。


 彼女もまた乗馬服姿。その地味な色とデザインのそれは、大柄な彼女によく似合っている。


 一瞬、どこかで見たことがあると感じた。というよりか、だれかに似ていると思った。


 外見、それから醸し出す雰囲気も。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ