あらたなる「真実の声」
「チャーリー、おまえはろくでなしのバカらしいぞ」
「それはパーシー、おまえも同じだろう? おれたち、一括りにされているのだから」
「そうだったか? まぁいい。おれたちがろくでなしのバカなら、目の前のド派手なレディたちはいったいなんだと思う、チャーリー?」
「パーシー、いちいちおれにきくなよ。きまっているだろう? バカのろくでなしだ」
「いやいや。それだけじゃないだろう? 汚くてはしたない。違うか?」
「パーシー、それもそうだ」
パーシーとチャーリーは、ケラケラと笑った。
「ふんっ! 能力の劣るあなたたちの言いそうなことね」
「ふんっ! お頭の足りないあなたたちの言いそうなことね」
そして、また彼女たちが同時に言った。
『わおっ! まさか彼女たちがここまで来てくれるなんて。どれだけ会いたかったことか。ビアトリスは、あいかわらず美しいな。いっきに癒されたよ。いずれにせよ、彼女が元気そうでよかった』
『うおおっ! まさか彼女たちがここにやって来るなんて。会いたいという思いが通じたのか? それにしても、アイリーンは最高に美しいな。心が洗われるよ。いいや。そんなことより、彼女が元気で安心した』
そのとき、心に流れ込んできた。
パーシー、それからチャーリーの「真実の声」が。
『キャー、どうしましょう。恋い焦がれたパーシーにもう会えるなんて。緊張してどうにかなってしまいそう。彼ったら、あいかわらず美しいしカッコいいわ。ほんと、彼が元気そうで心から安心したわ』
『まぁぁぁぁっ! どれだけチャーリーに会いたかったことか。それなのに、こうして会ってみると緊張と不安でなにも話せない。彼ったら、どうしてこんなに美しくて気高いのかしら? ああ、彼が元気でよかった。ケガや病気をしているんじゃないかっていつも心配でならなかったから、安心したわ』
それから、彼女たちの「真実の声」も続けざまに流れ込んできた。
(な、なんてことなのかしら……)
わたしの力は、わたしに対してだけのことじゃないのね。
自分の力に驚きを禁じ得ない。
(というか、なんなの? もしかして、すごくややこしい事態になるかもしれない?)
かなりの確率で荒れそうな気がする。
いいえ。ぜったいに荒れるわね。
「それで、あいかわらず陛下の追っかけか? こりもせずよく出来るな」
「ああ、その通りだ。陛下の尻を追いかけましてなにが面白いのかね」
イヤな予感しかしていない間に、パーシーとチャーリーがムカつくほど嫌味たらしい表情で言った。
「当り前よ。陛下の心を射止めるのは、わたしたち姉妹以外にないわ」
「そうよ。わたしたちのどちらかが正妃に、もうひとりは側妃に。陛下を一生涯守り、慈しむの」
彼女たちは、やっと同時にではなく順番を守って喋った。
(って、そこじゃないわね。彼女たち、ヴィクターの妃候補なの? でも、彼女たちってパーシーとチャーリーのことが好きなのでは……)
「ハッハ、どうだか。おれたちにはわかっているんだぞ。ほんとうは、陛下の尻ではなく陛下の地位を狙っているということをな」
「そうそう。尻をのせる座を狙っているんだよな」
「パーシー、チャーリー、ろくでなしのバカな男たち。当然、わたしたちが正妃と側妃になって陛下になにかあれば、その座はわたしたちのどちらかのものになる。当たり前のことよ」
「女王の誕生よ。それは、わたしだけじゃない。どの時代の正妃や側妃も狙ってきたこと。なにもわたしだけがよからぬことを考えているのではないの」
(なるほど。これがパーシーとチャーリーが話していた、『向って来るなら向かってこい』という理論ね。だれかが暗殺者を雇うのが多いって言っていたような気がするけれど、彼女たちはみずから狙っているわけ? しかも自分が女王になる為に?)
すごすぎて開いた口がふさがりそうにない。




