表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/58

奇襲

 その攻撃的なノックをする人物は、すくなくともパーシーとチャーリーではないことがわかる。


 そんなことを考えている間にも、攻撃的なノックは執拗なまでに続いている。よくきいてみると、攻撃的なだけでなく複数人がノックしているように感じられる。


「どうぞ」


 とりあえず、そう言うしかない。


「『どうぞ』ですって? えらそうに、そっちが開けなさい」

「そうよ。わたしたちに扉を開けさせるなんて、何様のつもり?」


 驚いた。


 扉の向こうからきこえてきた声は、まぎれもなくレディのものだったからである。


 そう認識したときには、扉へ向かって歩いていた。


「いますぐ開けます」


 そう告げながら。


「当り前でしょう。はやくなさい」

「そうよ。グズグズしないで」


 扉を開け、さらに驚いた。


 扉の向こうに、瓜二つの美女が立っている。


 しかも胸がありえないほど豊か。それがキラキラ光るド派手な乗馬服の上からでもよくわかる。


「なにこれ? このちんちくりんが陛下の?」

「これって成熟したレディなの? 子どもじゃないの?」


 瓜二つの美女たちが同時に口を開いた。


(彼女たち、いったい何者なの?)


 おもいっきりうしろへひきながら、当然抱く疑問で頭の中がいっぱいになった。


 しかも、「これ」呼ばわりされてしまった。


「あの、どちら様でしょうか?」


 わからないときには、素直に尋ねるのが一番手っ取り早い。だからそうした。


「『どちら様でしょうか?』、ですって?」

「わたしたちを知らないなんて、弱小国の傷物だけはあるわよね」


 彼女たちは、また同時に言った。


 同時だったけれど、なんとかききとれた。


 片方のレディが言った内容は、彼女たちがわたしのことを知っていることを示している。


「これが陛下の婚約者だなんて信じられない」

「これが陛下の未来の妻だなんて信じられないわ」


 彼女たちは、またまた同時に言った。


(っていうか、彼女たちはいつも同時に発言するのかしら?)


 いまの素朴な疑問は、彼女たちに尋ねるつもりはない。面倒くさいことになるでしょうから。


「いい加減にしないか」

「レディに近づくんじゃない」


 そのとき、彼女たち越しにパーシーとチャーリーがやって来るのが見えた。


 双子の将校たちは美貌を真っ赤にし、すごい勢いでこちらにやって来る。


 その瞬間、彼女たちが弾かれたようにうしろを向いた。頭だけではない。体ごとうしろへ向いたのである。


「パーシー、チャーリー、ろくでなしたちね」

「パーシー、チャーリー、バカ者たちね」


 彼女たちは、同時に罵った。


「きいたか、チャーリー?」

「ああ、きいたよ。パーシー」


 パーシーとチャーリーは、彼女たちの前までやって来ると立ち止まって美貌を不機嫌そうに歪めた。


 というか、ほんとうにオーディントン国は双子率が高い。


 兵士たちの中にも双子がたくさんいる。双子どころか、三つ子や四つ子なんて兵士もいる。この駐屯地の中での最高は五つ子で、同じ顔が五つもあったら圧巻である。いつも感心してしまう。


 そしてオーディントン国での最高は、七つ子だったそうである。


 いまではなく、二代前の国王の時代だったらしいけれど。


 七つ子だとお母様が育てるのが大変なことは当然だけど、産むときはそれこそ命がけだったに違いない。


 七つ子のお母様はすごすぎる。同じレディとして、尊敬せずにはいられない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ