1/2
プロローグ
注意 これはあくまで小説であり全てフィクションです。
俺の人生には何もなかった。色も、金も、華も。何もなかった。
特段不幸な人生ではなかった。両親にも恵まれたし、学校にも通った。芸人としてデビューすることもできた。
だが、周りが大人になるにつれて気づいた。当たり前のように皆が持っているものを、自分は何一つ持っていないのだと。
俺だけが、いつまでも子供のままでいる気がした。過去に執着し続けている気がした。
こんなことを言えば、贅沢者だと笑われるだろう。それでも、この劣等感の存在そのものが、俺が持てなかった側の人間だという証明だった。
俺には機会すらなかった。
好きになった人も、欲しかったものも、気づいた時にはいつも誰かのものになっていた。
俺は土俵にすら立てなかった。
ずっと、ずっとそんな思いばかり抱えて生きてきた。
悔しかった。ただひたすらに悔しかった。
だけれど、この感情をどこに向ければいい?
誰も悪くないのだ。
強いて言うなら、全てが遅すぎた俺が悪かった。
分かっている。そんなことは分かっている。
だが、割り切れるわけがない。
しかし、もう後悔したって遅い。取り返しはつかない。
これから何をすべきかは、もう分かっている。
長いこと迷っていた。
だが、ようやく決心がついた。




