マルピーと「なおなお」
「······では、丸平さんは10月以降は派遣の更新をしないんですか?」
「あ、はい。総務課にAIシステムを導入をするとかで人員を削減するそうです」
「それって酷い話ですよね。丸平さんはこの半年間 、真面目にコツコツ総務課の為に頑張ってきたのに 」
「い、いえ。俺は派遣社員ですから。こう言う事はある程度覚悟してたって言うか。でも直角さんは正社員だから安泰ですよね」
そう言った瞬間、丸平他与太は猛然と自分の発言を後悔する。
他与太『まずい! なおなおは優秀だからって伝えたかったのに。今の「アンタは正社員だから俺みたいに派遣切りとは無縁のお気楽人生だよなぁ?」的に聞こえなかったか? なおなお怒ってないか? 今のは違うって言わなきゃ。でもどうやって? 誤解の解き方が分からない!』
直子『マルピー可哀想。人事部の阿呆共は何を考えているのかしら。こんな癒し効果を身体全体からだだ漏れさせている素敵な人を切るなんて。アイツ等、私に権限があったら絶海の孤島に転勤させているところよ』
「直角さん。今のはその。違うんです。誤解なんです」
「え? 何が誤解なんですか丸平さん?」
「なおなおは優秀って伝えたかったんです」
「え? なおなお? なおなおが何ですか?」
「!? あ、ち、違います! 今の無しで! 無しでお願いします」
「え? 何が無しなんですか? マルピー」
「だ、たから! ん? マルピー?」
「!? ち、違います! マルピーなんて言ってません! 丸平さんの事をマルピーなんて言ってませんから! 言ってませんよ!? 断じてマルピーなんて!!」
「お、俺だって言ってませんよ!? 直角さんの事を「なおなお」なんて! 言ってないですから「なおなお」なんて!」
「これ追加でよろしく〜」
直子と他与太の会話はそこで途切れた。島流しではない方の総務課から上司が現れ、2人に追加分の仕事の書類を置いていった。




